蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第二章 英雄の力

2-3 ナギサイド

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 どうも。第一章で突然、出番が無くなったナギです。ナギっていうのは仮の名です。なんせ、私は、自分の名前すら、記憶がなかったんです。だから、取り敢えず、ナギと名乗っています。そして、現在の私は、何故か、精神体となって、カチュアの中にいます。

 ……私も、誰に説明しているんだろう?



 そうだ! カチュア達はというと。

「ふぅ~。いいわね~、銭湯。癒されるわ~」

 カチュアは湯の中に入り、ゆったりしている。

 お風呂、暖かそうね。入れたら、気持ちいいのに。今の私には、この感覚が感じられないのよ。……本当に残念ね。……残念だ。……残念だ!

 私こと、記憶を失ったナギが、目を覚ましてから、色々合ったわね。正直、疲れたわね。いや、精神体である私は、カチュアの体に居座っているだけだから、身体は疲れてはいないのよ。

 ……それにしても、いつみても、カチュアの持っている、この凶器。そう、女性の精神を抉る凶器は凄まじい。

『わー、デカいと、浮くって、ホントなんだねー』

 テンションがまったく感じられない、ボー読み。

「どーしたの?」
『いや~。何でもない』
「そーいえば。さっきまで、わたしの中でも、喋らなかったのよね~」
『カチュアの口を使って、喋ると、かなり体力が消費するのよ』

 あの戦いで、私は一度、カチュアの口から喋ることができた。

 その後は、カチュアの口から喋る感覚を思い出しつつ、カチュアの口で喋れるよう試したんだが、ようやく、喋れることが出来た。だけど、あそこまで、体力が消耗するとは、思っていなかった。

 やっと、表に出て、喋れるようになったのに。デメリット付きとは。

「お待たせしました!」

 やっと、頭にタオルを巻いたエドナが、浴室に入ってきた。

 エドナは、まず体を流す。だけど、頭を流す時でも、タオル巻いたままか。てか、どうやって、髪を洗うのか? タオル外さないのか?

 頭にタオルに、巻いているところを見ていると、ふっと、思ったことが。

『そう言えば。あの子の、頭辺り見たことがないような……』

 エドナは普段、頭にスカーフを付けているんだ。だが、そのスカーフを取った、ところを見たことない。この街に着くまでの、カチュアとエドナの旅の中でも、あのスカーフを、取っていなかったんだ。

「乙女には秘密があるのよ~」

 まあ、人は誰しも、何かしらのコンプレックスを持っている思う。エドナの場合、それを隠すために、頭にスカーフを付けるのは頷ける。

 でも、気には、なるよね。

『あなたは、あの子が、何を隠しているか、わかるのでは?』

 前回のカチュアの戦い方を見ると。まるで、相手の考えていることを読んで、攻撃を躱わして、いるんじゃないかっと、感じしまう。呑気そうに見えて、意外と勘が鋭いところがあるんだ、カチュアは。

「そんな~。わたしは超能力者じゃ、ないから、わからないよ~」
『ほんとかな?』
「でも、いつかは話してくれるから、それまで待っても、いいじゃないかな~? 心の準備もあると思うから~」
「それって……」
「あ! エドナちゃん、背中流すよ~」
「え? ありがとうございます。では、お願いします」

 私はエドナの隠し事よりも、あの凶器が気になる。なんで、小柄なのに大人顔負けの大きさ何だろうか? ここまで、大きな胸に憎悪を抱くのは、以前の私は胸が小さかったのかな? この二人がお風呂に入るたび、精神にダメージを受けてしまう。

 そういえば、ここって、浴室だよね? 足元は滑りやすいから、このドジっ子エドナちゃんなんか、転びそうな展開があったりして。

 ツルーーーン!

「はわわ!?」

 うん、この子なら期待を裏切らないわね。

 エドナは足を滑らせてしまう。気のせいだろうか。カチュア目掛けて飛んできたような。

 ドボーーーン!!!

 滑って飛んだエドナは、カチュアが入っている浴場へ、落ちて行った。

 エドナの唇の動きを見ると「あれ? カチュアさーん、どこ? カチュアさーん」と聞き取れる。……てか。

 もしもーし! エドナさーん! 早く退かないと、カチュアが息できなくなって、死んじゃうよ!

 今、カチュアは、あなたが滑っったことで、カチュアにぶつかっったんだ。そして、カチュアは、あなたの、下敷きになって湯の中に溺れていたんだ。




 お風呂から出た、カチュア達は自分達の部屋へ戻ってきた。

「は~。いい湯だったわ~」

 いや、何呑気なことを言っているんだよ! 危うく、エドナによって、溺れる死ぬところだったんだよ!?

「はう~。疲れたんだよ!」

 エドナはベットに入り、すぐに寝てします。さすがに。疲れているよね。あんなことが、あったんだから。無理もないか。

「あらあら~。エドナちゃん、寝ちゃったわね~」

 トントン。

 ドアを叩く音が。誰かが、ノックしているのかな?

 トントン。

 また、ドアを叩く音が。

 トントン。

「あら? ドアを叩いて遊んでいるのかしら~?」

 いや、それ、本当にやっていたら迷惑な客だから。

 ドアを叩く……あー。なるほどね。

『カチュア。恐らく、お部屋の外にいる人は、入っていいかの、返事を待っているんだと思うんだが』
「あら? そーなの? じゃあ、入っていいわよ~」

 カチュアが返事すると、ドアが開いた。

「失礼します」

 ドアが開くと、この宿屋を案内してくれた女の子の姿があった。確か名前は、ルナだったような。自分のことを「ルナ」って、言っていたし。

「あっ! さっきの女の子だわ~! ありがとね~」
「あ! いいえ! ……しかし、出会って、ビックリしましたよ! ルナが話しかけたお二人方が、まさかのおっぱ……じゃなかった! ……その内一人が、蒼炎伝説の女将軍みたいな容姿の方なんて!」
「よく言われるわ~」

 今、「おっぱいデカい」と言いそうだったよね? それにしても、蒼炎伝説の女将軍か……。エドナにも、カチュアが、その女将軍に似ているって言っていた記憶があったね。その女将軍はいったい何者だろうか? 私は記憶を失っているから、カチュアがその伝説の女将軍に似ているって言われても、ピンっとこないんだ。

「ところで、あなた方は旅の方ですよね? お名前は……?」
「ん? カチュアよ~。そこに、寝ているのはエドナちゃんよ~」
「……」

 あれ? 沈黙しちゃったよ。

「どーしたのかしら~?」
「え!? いいえ! てっきり、会ったばかりの人に名前を聞きかれても、尋ねた側が先に、答えるものだと、言うものだと」

 だよね。でも、カチュアはお人好しだから。エドナもだけど。出会った頃も、出会ったばかりなのに、仲良くしていたし。

「なんで?」
「いいえ!? なんでもないです!」
「ん?」
「改めて、ルナです。今年で十三歳ですが、これでも帝国の魔術研究員です」
「研究員?」
「ご存じないですか? 魔術関連の研究をする人たちです。ルナは今、この、宿一部屋を借りて、研究しているんです」

 魔術というと、エドナが風の矢を作っていた、あれのことか。それ関係の研究している人ってことか。こんな小さな子が研究員? かなりの優等生というか、もしかして神童? 相変わらず意味は説明できないけど、なんとなくわかる。

「ルナのことは、もういいかな……。ところで、あなた達は、どこから来たのですか? 結構ボロボロな恰好でしたよね?」
「えーと~……。確か、ライムの村だったわね~。こっちに来る際に、迷子になったのよ~。本来の目的地はアウルだったんだけどね~。成り行きで、この街に着いたのよ~」
「ライム……そうですか……」
「あら? どーしたのかしら~?」
「あ! いいえ! ……そうだ! これも何かの縁だし、明日、この街を案内しましょうか?」

 さっきの沈黙は何だったんだろう?

「ん~。そうね~。エドナちゃんは街に入るのは、初めてらしいわ~。わたしも、しばらくは街でゆっくりしようかな~。分かったわ~」
「いいんですか? ルナ達は会ったばかりですよ?」
「ん? 何か問題があるのかしら~?」
「いいえ! 何でもないです!」
「決まりね~」
「では、ルナはこれで。待ち合わせは、十時に、この宿屋入口でいいですか?」
「うん。だいじょぶだよ。それで」

  ルナが、部屋から出て行った。と思ったら、また部屋に入ってきて。

「あっ! そうそう、カチュアさんは、明日、これを上から、着てください」

 ルナは黒い布切れをカチュアに渡した。

「絶対に、ですよ!」

 そう言うと、ルナは部屋から出て行った。

「むにゅ~~」

 え? 何? この声は? どこかで、聞いたことがあるんだけど。

「むにゃ~~」

 なんだ、エドナの寝言か。そう言えば、この子、寝言が多かったんだよな。

 この街に着くまでの、途中での野宿で。その寝言で危険種っていうんだっけ? そいつらが寄ってきちゃったんだよな。でも、カチュアが全部倒したんだけど。

「むにゃ~~。お父さん、どこですか? エドナを置いていかないでくださいなんだよ~~」
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