蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

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第十四章 親と子

14-8 マリンサイド

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「覚醒!?」

 まずな! てか、キレた拍子で、覚醒しやがった。

「グゥおおおおお!!!」

 覚醒したガロンは、カチュアに殴り掛かったが、その拳をカチュアが素手で受け止めた。

 しかし。

 ピュシューーーン!!!

 カチュアが力負けした? カチュアは後方へ飛ばされていった。やはり、覚醒は別格なのか?
 
 シューーーン!!!

 ガロンから、突風が吹いてきた。まさか、こいつの拳は、殴った拍子に、衝撃波を生みのか? それなら、いくら、カチュアが力で勝っていても、衝撃波には、耐えきれない。できる人がいるなら、ハリケーンに直撃しても、飛ばされてない人だろう。まずそんな人はいない。

 だけど。

「オおおおおお!!!?」

 何故か、ガロンもカチュアが飛ばされた方角へ飛んでいってしまう。

 そして。

 ドーーーン!!!

 カチュアが飛び蹴りで、ガロンを蹴り飛ばした。てか、何で、カチュア戻ってこれたんだ? 飛ばされたはずだろ?

 よく見たら、ガロンの左足に鎖が巻きつけられていて、それがカチュアの左手に持っている鎖と繋がっていた。つまり、カチュアが飛ばされる前に、ガロンの右足に鎖を巻いて、飛ばされている途中で、鎖を引っ張って、戻ってこれたんだ。

 しかし、よく咄嗟に、そんなことができるよな。自分が、吹き飛ばされるのが分かっていたのか?

「ぐぉぉぉぉぉ!!!」

 ガロンの両手から、炎が出現した。空振りで殴ると、そこから、螺旋状になった炎が出現し、カチュアに向かってきた。

 カチュアはそれを避けても、次々と、螺旋状の炎が襲いかかってくる。避けながら、カチュアはガロンへ近づいていく。

 ガォーーーン!!!

 カチュアは蒼い炎を纏った闘技をガロンの腹部へぶつけた。

「グゥおおおおお!!!」

 効いたが?

「ぐぅぅぅ」

 耐えた。勇能力相手に、有効な、蒼い炎を纏った闘技を、受けたのに、ぴんぴんしているな。そう言えば、こいつ、覚醒してから人の言葉が出てきていない。奇声しかあげていない。

「きぎゃああああああああ!!!」

 奇声をあげると、同時に、ドーム状の雷が出現。ドームが徐々に広がっていき、その雷のドームが妾達の方へ向かってくる。

 カチュアは、妾とエドナの前に立ち、地面に拳を叩きつけると、前方に蒼い炎の壁が出現した。

 蒼い炎の壁と雷のドームがぶつかり、雷のドームの進行が止まった。

「いくわよ~」

 雷のドーム全体が蒼い炎に包まれる。そして、雷のドームがなくなる。

 ガロンは両手に炎を包み、カチュアの方へ向かってきた。カチュアも対抗して、両手に蒼い炎を纏う。

 二人の殴り合いが始まる。それは、激しい物だった。若干だが、カチュアが押し切っている。

 ガォーーーン!!!

 カチュアは一瞬の隙を見て、ガロンの懐に入り、蒼い炎を纏った闘技を叩きこんだ。

 ガロンは後方へ飛ばされていった。結構、遠くに飛ばされていった。

「やったのかな?」
「だといいんだが……!」

 ふっと、カチュアを見ると、呼吸が荒くなっていた。それは、こんだけ、激しい戦いをしていればな。
 
 でも、待ってよ。カチュアの様子がおかしい。カチュアの体から出ているのは、蒼い炎ではなく、黒い炎だった。

「ぐっ! ううう!」

 カチュアが苦しそうにもがいている。

「カチュアさん?」
「ぐううううううう!!!」

 カチュアは、唸りながら、地面に大剣を叩きつけた。

 ピキキキキキキ!!!

 カチュアが叩きつけたことによって。街一つ滅ぼせるほどの大きな地割れが発生させた。

 その地割れが進んでいっている方角には、ガロンが倒れていた。

 あ! ガロンはその地割れの中へ落ちていった。

「はあ! はあ!」

 息苦しそう。

 そう言えば、以前ルナが、蒼い炎にリスクがあるとするなら、ヴァルキュリ族が嫌う負の感情、もしくは、エネルギーを、蒼い炎で燃やすことで、負のエネルギーに変え、カチュアが、それを、吸収してしまうような話をしていたな。

 だとするなら、カチュアは、その負のエネルギーを吸収し過ぎて、それを押さえているのか。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 また、カチュアは唸りながら地面に大剣を叩きつけた。

 ピキキキキキキ!!!

 さらに、地割れを発生された。その先には、山があった。

 ドドドドドドドド!!!

 えーーーーーー!!!

 地割れが当たった山が、沈んでいく。

 これがヴァルキュリアの力? いや、こんな力があるなら、今までの上級魔物だって倒せたはず。つまり、これは、負のエネルギーを纏ったヴァルキュリアの力。

 ん? さっき、カチュアの発生させた地割れから、人の手見たいのが、見えた。徐々に姿が現れてくる。そいつは。

「ぐううううう」

 ガロン! まだ、生きているのか? 

「ぐおぉぉぉぉぉ!!!」

 ガロンがカチュアに向かってくる。しかし。

 ガッシャ!

 カチュアはガロンの頭を鷲掴みをした。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 カチュアはガロンを地面目掛け叩きつけた。

 ドーーーーーン!!!

 ガロン中身に大きなドーム状の穴が空いた。

「ぐううううう」

  あんな破壊力のある攻撃を受けたのにガロンは生きている。そっか! 障壁か。全身に障壁を貼っているから、無事でいられたのか。だけど、今ので、障壁が残っているとは思えない。倒すなら今か。

 でも、今のカチュアは戦える状況ではない。なら、妾がやるしかないか? カチュアの協力なしで勇能力とやり合えるのか? いや! やるしかない!

「エドナ! カチュアを頼む!」
「え!? あ!? はい! 分かったんだよ!」

 妾は収納魔術で大鎌を取り出す。

「いくっぞ!」

 妾が鎌を振るうと、鎌から黒い斬撃波が放たれる。

 ガロンは、それを受け止める。黒い斬撃波はまだ消えていない。数秒持てばいい、妾は次の魔術を放った。それは、黒い光線だ。黒い光線はガロンに向かっていった。

「いっけええええええ!!!」

 
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