蒼炎のカチュア

黒桐 涼風

文字の大きさ
上 下
302 / 316
第二十章 悪女の素顔

20-9 ロゼッタサイド

しおりを挟む
 皇女様がネールと交戦している間、私達は、毒尾の狐と言う、狐系の魔物と交戦する羽目になった私とアイラさんと、ユミル様と、リリカ。

 毒尾の狐は上級系の魔物で、体は硬い。あのカチュアのバカ力でさら、耐える程。しかし、相手の有効な魔術の属性で対処できる。それでも、生命力はあるから、中々倒れてくれない。そして、私には、毒尾の狐の弱点を付ける属性を扱える。

 かと言って、油断はできない毒尾の狐は名前の通り、あの尻尾のは毒があるから、戦う時、注意が必要だ。

「来るよ! 気を付けて!」

 シューーーーーン!!!

 て! あの尻尾伸びるの!? 

「危ない!!」

 アイラさんは私達の目の前に、地の魔術によって構成した、岩の壁が出現した。

 毒尾の狐の攻撃は防いだが、岩の壁からひびが入ってきている。

「ここから離れろ!」

 私達は、その場から離れた。

 バッキーーーン!!!

 岩の壁が壊れてしまった。かなりの鋭利の尻尾のようね。あの尻尾に毒があると聞いているけど、あれに当たったら、毒が回る前に、体を貫通させるんじゃないのかな?

 とはいえ、毒のある尻尾が伸びるのは厄介ね。

 私は毒尾の狐を見るのは初めてだから、分からないことだらけだ。だけど、想定外が起きることを前提に立ち回らないといけない。

「また来るよ!」

 毒尾の狐の尻尾が伸びた。また、攻撃してくる!

 バコーーーーーン!!!

 伸びた尻尾は、リリカの開いた傘によって、防がれた。あの傘、どうやら、特殊な鉱石で作られていて、普通の傘と比べ物に、ならない程、重たいようだ。

 それは、そっか。リリカもカチュア程ではないけど、力持ちだから、重たい武器も扱えるんだ。

 確か、リリカは、カチュアやアンリと比べたら、武器の扱うのに技量が足りないから、日用品の中でも、比較的武器に近い物を、武器として、扱うようになったんだけ? 後は、魔術を付与するのに、適切さなど。

 アンリの方は、接近戦が苦手だから、弓を扱うようになったそうだ。

 でも、これらは、あくまで、三姉妹の中で比べたらの話で、実際、アンリとリリカは剣を持たせたら、私よりかは、遥かに強いと思うよ。

 あ! こうしている間にも、傘によって防がれた、尻尾が軌道を変えて、リリカの方へ向かって行っている。

 しかし、リリカを追う尻尾は、それぞれ軌道が異なるにも、関わらず、リリカは、襲ってくる、尻尾を躱していく。

「これでも、喰らえ!」
 
 リリカは傘の先端を、攻撃してきた毒尾の狐にいる方へ向けた。

 ピカーーーーーン!!!

 先端から、光線が放たれ、毒尾の狐の体に命中した。

 しかし、不利な光属性の魔術とはいえ、毒尾の狐は倒れてはくれないみたいだ。

「あ~、やっぱし、一撃では倒れないか」

 あの威力、危険種だったら、一撃に葬れたんだけど。やっぱり、上級魔物は生命力があり過ぎる。

 と、私も自分の心配しないと。

 こっちに毒尾の狐の伸びた尻尾が向かって来ている。

 ピカーーーーーン!!!

 私は、自身を包むように、光の魔術の球体を展開した。これが、私の防御系の魔術よ。何とか、この防御系の魔術で、毒尾の狐の攻撃を防げた。

 まあ、実は、これ、防御系の魔術じゃないんだけど。

「行くわよ!」

 ピカーーーーーン!!!

 私を纏っていた光の魔術の球体が段々大きくなって、大きくなった時の衝撃波で、毒尾の狐を吹き飛ばした。

 実は、この魔術は、本来、光の球体を投げつける魔術だったんだけど、以前、防御系の魔術を取得するために、訓練していたんだけど、私には、適正が殆どなかった。それで、ルナが『攻撃は最大の防御になる』ってことで、元から、取得していた、魔術を防御系の魔術として使えるよう、訓練してくれたんだ。

 ピカン! ピカン! ピカン!

そして、私は、吹き飛ばされた毒尾の狐に目掛けて、光の魔術を纏った槍を連続で突きの動作をするたびに、槍の先から、光線が放たれた。

「そこよ!」

 ピカーーーーーン!!!

 私は容赦なく、先ほどの光線よりも、巨大な光線が槍の先から放たれた。

 私が放ったら光線が、毒尾の狐の尻尾の根本に命中した。

 スポーーーーン!!!

 あ! 胴体と尻尾が分離しちゃった。

 ドスン!!!

 吹き飛んだ、毒尾の狐は、床に強く叩きつけられた。しかし、様子がおかしい。全く動かなくなった。

 倒したの? それならいいのですが?

「そうだ! 皆さま、大丈夫ですか!?」

 いつの間にか、アイラさんや、ユミル様と離れてしまいました。リリカは、何とか、毒尾の狐を倒したようだけど……。

 周りを見渡すと……。

「何とか、動きを止められたけど……」
「わたくしもです……」

 どうやら、心配はなくなったようですね。

 アイラさんは、得意の鎖の魔術で、毒尾の狐の動きを止めていました。さらに、尻尾が伸びないよう、岩の手で、尻尾を握りしめています。

 ユミル様、氷系の魔術で、毒尾の狐の全身を凍らせていました。こちらも、尻尾が伸びないようごと凍らせていました。

 だけど、アイラさんと、ユミル様は、光の魔術を使えないから、足止めするだけで精一杯の様子だ。何とか、光の魔術で、留めを刺さないと。

「ロゼッタ、今の内に、光の魔術で尻尾を斬り落として!」
「え? う~ん、わかった」
 
 リリカの言われた通り、光を纏った槍で、毒尾の狐の尻尾を斬り落とした。リリカも同じように、毒尾の狐の尻尾を斬り落とした。

 すると、先程のように、毒尾の狐は動かなくなりました。

「どうやら、尻尾が弱点見たいで、わたしも、光の魔術で、尻尾を斬り落としたら、動かなくなった。どうやら、あの尻尾は、心臓の役割を持った魔石が埋め込まれているか、そもそも、尻尾が本体なのか……」
「そうでしたか」

 何とか、毒尾の狐、四体全員倒すことが出来ました。

「そうだ! 皇女様の元へ向かわないと!」

 私達は、ネールと戦っている、皇女様とサリナがいる元へ向かって行った。

「皇女様! ご無事でしたか!」

 どうやら、お二方はご無事のようね。

 ただ、こっちに向かう際、気になる、話が聞こえてしまった。

 皇女様は、悪帝の姪だという話が……。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

可笑しなお菓子屋、灯屋(あかしや)

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:276pt お気に入り:1

あなたの世界で、僕は。

BL / 連載中 24h.ポイント:910pt お気に入り:53

転生少女は異世界でお店を始めたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,090pt お気に入り:1,705

【本編完結】旦那様、離婚してくださいませ!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:880pt お気に入り:5,428

処理中です...