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第二十章 悪女の素顔
20-12 エドナサイド
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あたしとユミルさんが手当をしている間に、戦が終わった見たいなんだよ。
覚醒を解けたネールさんが、腰を下ろしたんだよ。
「ふっ、私の負けよ。留めを刺しなさい。何故だか、知らないけど、勇能力が使えなくなっていたわ。あなたに勝てる気がしないわ」
「わたしは、あなたを、殺しにきたわけじゃないわ~。毒を苦しんでいる人を助けるために、ここに来たのよ~」
「ふーん。強いのに、考えが甘いよね。あの子のように、戦争をなめ切っているわね」
ネールさんは、笑っているみたいだけど、面白いから笑う感じではないんだよ。何だか怖いんだよ。
「わたし、戦争をしたくってしているわけじゃないわ~。だけど、戦争って、戦争をしたくない人でも、巻き込んじゃうでしょ? そんな中で、守りたい存在のために立ち向かっていくんでしょ? エドナちゃんが皇帝って呼ばれている人に狙われているから、守るとか。わたしは戦いは好きじゃないけど、守りたい存在のために戦うわ~」
「……そうですか。あんた程の優しさはないけど、私なりの考えだと、戦争を起こすなんて、面倒なことしでかしたなって、ぶっ飛ばしたくなるわね」
今度は、楽しい時にする笑顔を浮かべたんだよ。
「ネール! テメェーが撒き散らした毒の解毒方法を教えろ! 妾達はそれを知るために、ここまで来たんだ!」
すると、ネールさんが、とある扉に向けて、指を刺したんだよ。
「その扉に入ると私の研究室よ。その中に、今回使った毒の解毒方法が記した資料があります。理解できる人に、呼んでもらってください。それと、皇女様は勘違いなさっています」
「何が?」
「結果的に、私が毒をばらまいたものだけど、私はコルネリア軍が扱っている魔物に毒を与えたのよ。恐らく、魔物を倒す時に、返り血を浴びて、毒が回ったのでしょうね」
「そうだったのか。でも、なんで、魔物に毒を?」
「魔石を狙う連中がいるから、死骸解体をする際、その連中に毒を回すためよ。魔物は毒が効かないから、毒を入れても、動く続ける。最高の隠し場所ってことね」
「アルタミストのことか?」
「組織名は知らないけど、多分そいつらね」
「そう言えば、ルナちゃんのお兄さんが、ネールさんのことを探っていたようなことを言っていたんだよ」
「シグマの右腕か。私は、そのアルタミストとかいう奴らのことは、知っていたけど、あいつは、何だか、突っ走りそうだから、教えなかった」
はうう。そう言えば、アルヴスさん、無茶なことをして、ルナちゃんに心配を掛けていたんだよ。
「それで、連中のことを教えてくれないか? ゲス兄はそいつらと組んでいる可能性があるんだ」
「可能性どころか、手を組んでいますよ。互いを信用していないみたいですけど。それよりも、連中のことなんだけど、私よりも、リンディンに話を聞きな。彼女の方が詳しい」
「おい! ふざけたことを言うな! 聞けるわけねぇだろ!」
マリンさんが急に大声を出したんだよ。どうしたのかな?
「どうしたんですか? マリンさん?」
「リンディンは、マリンの母親の名前なんだ。でも、病気で亡くなったんじゃないのか?」
「いや、生きているよ」
「おい! 嘘だろ!?」
「本当ですよ。リンディンは、ライム村の近くの森に隠れ住んでいます」
はう! それ、あたしが住んでいた村なんだよ。でも、それっぽい、人とは出会ったことはないんだよ。
「でも、何で、リンディンは、病死って、ことになっていたんだ? 態々、生きているのに、病死ってことにしているってことは、何か理由があるのか?」
「……暗殺されが掛かっていたんだ」
「何だって!」
「一命を取り留めて、私はリンディンの死を偽装させて、帝都より離れさせたのよ」
「何で、暗殺され掛かったんだ?」
「重要な秘密を知ってしまったから。世は口封じね」
「そんな……」
「早速、リンディンを保護しましょう」
「母さん。生きていたのか……、よかった、本当によかったぜ……」
マリンさんが涙を流したんだよ。
「それよりも、驚きましたよ。皇女様自身、悪帝の姪だと知っていたとはね」
「あんたとシグマの話を盗み聞きして知ったんだ」
「絶望したか?」
「姪の妾が言っても説得力はないが、母さんは母さんだろ? それに親父はそんな母さんでも手を取り合った」
「懐かしいですね。ユンヌの死の原因を作ったアスラは、自身が犯した愚行に激しく後悔していていましたよ。それを支えたのがリンディンよ」
「親父は知っていたのか? 母さんが生きていたことを?」
「暗殺対象となった、リンディンの元に会うことが出来なかった。会いたくっても、会うことが出来なかった。もし、暗殺され掛かっていなかったら、今頃、アスラは変わらなかったでしょうね」
「そっか……」
「無駄話はそこまでよ。解毒方法を知りに来たんでしょ? 早く行ってあげな」
「ありがとう」
あたし達は、隣の部屋に入っていったんだよ。
皆が行くなか、カチュアさんだけ、入らないことに気づいて、あたしもその場に残ったんだよ。
動けないネールさんが心配したんだね。
あたしがネールさんに声を掛けたんだよ。
「動けますか?」
「動けないよ」
「今、手当します」
「外傷はない。疲れているだけ」
確かに、怪我したところはないんだよ。
「でも……」
手当を拒んでいると。
「おーい! カチュア! ちょっと、手伝ってくれ。解毒に使う薬草が見つかったが、量が多すぎる、運ぶの手伝ってくれ!」
隣の部屋からマリンさんが、カチュアさんを呼ぶ声が聞こえたんだよ。
「早く行ってあげないと、解毒方法は治癒術の使えるあなたがいないと、行けないのよ」
「でも、ネールさん」
「ふん! 優しいわね。私なら、後で行く。早く行ってあげなよ」
「……どーにかできないのかしら~? 毒なら、エドナちゃん達に……」
「だったら、静かにしてくれない? もう、話をする体力すらないのよ」
「……分かったわ~。行きましょ、エドナちゃん」
「はいなんだよ」
あたし達は、ネールさんを置いて、解毒方法を見つけた、マリンさん達と一緒に砦から出たんだよ。
カチュアさん。ネールを置いていく際、悲しそうな顔をしていたんだよ。
何だろう。嫌な予感がしたんだよ。
覚醒を解けたネールさんが、腰を下ろしたんだよ。
「ふっ、私の負けよ。留めを刺しなさい。何故だか、知らないけど、勇能力が使えなくなっていたわ。あなたに勝てる気がしないわ」
「わたしは、あなたを、殺しにきたわけじゃないわ~。毒を苦しんでいる人を助けるために、ここに来たのよ~」
「ふーん。強いのに、考えが甘いよね。あの子のように、戦争をなめ切っているわね」
ネールさんは、笑っているみたいだけど、面白いから笑う感じではないんだよ。何だか怖いんだよ。
「わたし、戦争をしたくってしているわけじゃないわ~。だけど、戦争って、戦争をしたくない人でも、巻き込んじゃうでしょ? そんな中で、守りたい存在のために立ち向かっていくんでしょ? エドナちゃんが皇帝って呼ばれている人に狙われているから、守るとか。わたしは戦いは好きじゃないけど、守りたい存在のために戦うわ~」
「……そうですか。あんた程の優しさはないけど、私なりの考えだと、戦争を起こすなんて、面倒なことしでかしたなって、ぶっ飛ばしたくなるわね」
今度は、楽しい時にする笑顔を浮かべたんだよ。
「ネール! テメェーが撒き散らした毒の解毒方法を教えろ! 妾達はそれを知るために、ここまで来たんだ!」
すると、ネールさんが、とある扉に向けて、指を刺したんだよ。
「その扉に入ると私の研究室よ。その中に、今回使った毒の解毒方法が記した資料があります。理解できる人に、呼んでもらってください。それと、皇女様は勘違いなさっています」
「何が?」
「結果的に、私が毒をばらまいたものだけど、私はコルネリア軍が扱っている魔物に毒を与えたのよ。恐らく、魔物を倒す時に、返り血を浴びて、毒が回ったのでしょうね」
「そうだったのか。でも、なんで、魔物に毒を?」
「魔石を狙う連中がいるから、死骸解体をする際、その連中に毒を回すためよ。魔物は毒が効かないから、毒を入れても、動く続ける。最高の隠し場所ってことね」
「アルタミストのことか?」
「組織名は知らないけど、多分そいつらね」
「そう言えば、ルナちゃんのお兄さんが、ネールさんのことを探っていたようなことを言っていたんだよ」
「シグマの右腕か。私は、そのアルタミストとかいう奴らのことは、知っていたけど、あいつは、何だか、突っ走りそうだから、教えなかった」
はうう。そう言えば、アルヴスさん、無茶なことをして、ルナちゃんに心配を掛けていたんだよ。
「それで、連中のことを教えてくれないか? ゲス兄はそいつらと組んでいる可能性があるんだ」
「可能性どころか、手を組んでいますよ。互いを信用していないみたいですけど。それよりも、連中のことなんだけど、私よりも、リンディンに話を聞きな。彼女の方が詳しい」
「おい! ふざけたことを言うな! 聞けるわけねぇだろ!」
マリンさんが急に大声を出したんだよ。どうしたのかな?
「どうしたんですか? マリンさん?」
「リンディンは、マリンの母親の名前なんだ。でも、病気で亡くなったんじゃないのか?」
「いや、生きているよ」
「おい! 嘘だろ!?」
「本当ですよ。リンディンは、ライム村の近くの森に隠れ住んでいます」
はう! それ、あたしが住んでいた村なんだよ。でも、それっぽい、人とは出会ったことはないんだよ。
「でも、何で、リンディンは、病死って、ことになっていたんだ? 態々、生きているのに、病死ってことにしているってことは、何か理由があるのか?」
「……暗殺されが掛かっていたんだ」
「何だって!」
「一命を取り留めて、私はリンディンの死を偽装させて、帝都より離れさせたのよ」
「何で、暗殺され掛かったんだ?」
「重要な秘密を知ってしまったから。世は口封じね」
「そんな……」
「早速、リンディンを保護しましょう」
「母さん。生きていたのか……、よかった、本当によかったぜ……」
マリンさんが涙を流したんだよ。
「それよりも、驚きましたよ。皇女様自身、悪帝の姪だと知っていたとはね」
「あんたとシグマの話を盗み聞きして知ったんだ」
「絶望したか?」
「姪の妾が言っても説得力はないが、母さんは母さんだろ? それに親父はそんな母さんでも手を取り合った」
「懐かしいですね。ユンヌの死の原因を作ったアスラは、自身が犯した愚行に激しく後悔していていましたよ。それを支えたのがリンディンよ」
「親父は知っていたのか? 母さんが生きていたことを?」
「暗殺対象となった、リンディンの元に会うことが出来なかった。会いたくっても、会うことが出来なかった。もし、暗殺され掛かっていなかったら、今頃、アスラは変わらなかったでしょうね」
「そっか……」
「無駄話はそこまでよ。解毒方法を知りに来たんでしょ? 早く行ってあげな」
「ありがとう」
あたし達は、隣の部屋に入っていったんだよ。
皆が行くなか、カチュアさんだけ、入らないことに気づいて、あたしもその場に残ったんだよ。
動けないネールさんが心配したんだね。
あたしがネールさんに声を掛けたんだよ。
「動けますか?」
「動けないよ」
「今、手当します」
「外傷はない。疲れているだけ」
確かに、怪我したところはないんだよ。
「でも……」
手当を拒んでいると。
「おーい! カチュア! ちょっと、手伝ってくれ。解毒に使う薬草が見つかったが、量が多すぎる、運ぶの手伝ってくれ!」
隣の部屋からマリンさんが、カチュアさんを呼ぶ声が聞こえたんだよ。
「早く行ってあげないと、解毒方法は治癒術の使えるあなたがいないと、行けないのよ」
「でも、ネールさん」
「ふん! 優しいわね。私なら、後で行く。早く行ってあげなよ」
「……どーにかできないのかしら~? 毒なら、エドナちゃん達に……」
「だったら、静かにしてくれない? もう、話をする体力すらないのよ」
「……分かったわ~。行きましょ、エドナちゃん」
「はいなんだよ」
あたし達は、ネールさんを置いて、解毒方法を見つけた、マリンさん達と一緒に砦から出たんだよ。
カチュアさん。ネールを置いていく際、悲しそうな顔をしていたんだよ。
何だろう。嫌な予感がしたんだよ。
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