光と瘴気の境界で

天気

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レクナ村

レクナ村11

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 村の外れに、金属が触れ合う澄んだ音が近づいてくる。

――第一騎士団の紋章旗。

村人たちは、一斉にざわめいた。

王城の警護、重鎮の護衛、国王の直命で動く最精鋭。
その誇りと実力から「王国最強」と称される存在。
国民人気の高い“第二騎士団”を常に敵視し、
使命感とプライドを拗らせた連中でもある。

馬を降りたのは――赤いマントを肩に掛けた団長、カエルス。

切れ長の灰色の瞳は、村長を一瞥しただけで空気を凍らせる。

「光の観測について、国王陛下より調査命令を受けている。案内を。」

「……あ、あの……いまは部屋にお客様が……少々、ご病気で……」

村長の言い淀む声を、カエルスは無情に切り捨てた。

「我らは陛下の使者だ。道を塞ぐ理由にはならん。」

部下が淡々と言い添える。

「先日観測された“あの光”は、王都の見張り塔からも確認た。
 魔力か、天変か……判別が必要。我々にはその義務がある。」

村長の胸が強張った。

(あの少年が………)

「……っ、しかし……!」

かすれた声で遮ろうとしたが、
カエルスは歩みを止めず、まっすぐ村長宅へ向かっていく。



ルートが剣を腰にかけたまま廊下の前に立ち塞がった。
その背後には、ベッドで休むはるの気配。

「ここは患者がいる部屋です。勝手に入るのは――」

「第二騎士団の者か。」

冷ややかに吐き捨てるような声。
カエルスの唇がわずかに歪む。

「国民の“人気者”は、礼儀は習わなかったらしいな。」

ルートの眉がピクリと跳ねた。

(……しかし、早かったな…)

第一騎士団の部下たちもニヤリと肩をすくめる。

「どけ。これは陛下の命だ。」
「お前たちに拒む権利はない。」

しかしルートは一歩も退かなかった。

「患者は倒れて3日経ったばかりだ。刺激は与えられない。
 団長だろうと誰だろうと、医師の許可なしには――」

「無駄だ。」

カエルスはルートの横を強引に抜け、
扉に手をかけた。

木がきしむ音が、廊下を張りつめさせる。


扉が、勢いよく開いた。

第一騎士団の全員が息を呑む。

ベッドの上――
黒髪、黒い瞳。
その存在を示す色さえ希少で、伝承では“救世主の色”と語られる。

カエルスの表情から、初めて理性が削がれた。

「……黒眼……黒髪……まさか……」

部下が声を震わせる。

「団長……記録どおりです。
 伝承そのものの……あの光は“黒”の子が……本当に……」

カエルスはゆっくりと歩み寄り――
はるの静かな呼吸を確認した瞬間、目を細めた。

「……なるほど。“光”の正体は……これか。」

その声は、冷たく、確信に満ちていた。

「しかし、なぜ報告をしていない。第二騎士団長たる者が基本中の基本を忘れるのか?」

「この少年を――王都へ、陛下の御前へ連れていく。」

「「「はっ!!」」」
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