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私の仕事1

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「え!?公爵子息が来た?」

珍しくカッフィーが馬車の準備が出来たと言いに来たと思ったら、

珍しく慌てた顔で、

公爵子息がお嬢様に会いに来られました、

と言ってきた。

もちろん私も慌てた。

お茶会が終わったのが一昨日の事だ。まさかこんなに早く、それもこんなに朝早く来るなんて思っていなかった。

まだ、朝の9時前だ。

お父様が帰ってくるのが1週間先。

帰ってきてからこれからの対応を考えようと思っていたのに、全くノープランだ。

当主からの謝罪は必要ない、と言った公爵子息が何を考えているかは分からないが、常軌ではありえない。

それも、私と出かけたい、と私を標的にするのも意図が分からない。

だが、無下に扱う事は出来ないが、今日は絶対に相手が出来ない。

「とりあえず客間に通すように指示しましたが、私達に黙っている何かがあるのですか?その茶会で公爵子息に無礼を働いたのですか?」

カッフィーが問い詰めてくるが、直ぐに首を振った。

「心配しないでよ、本当にないわよ。ともかく行くわ。お母様には来ないように言っておいて。また心配されるだろうから」

「分かりました」

そこは空気を読んでくれて、直ぐにカッフィーは頭を下げ出ていった。私も急いで部屋を出て客間に行くと、公爵子息は優雅にソファに座っていたが、私が入ると立ち上がり、嬉しそうに側にやってきた。

「おはよう、スティール」

にこやかに挨拶する姿が素敵な紳士に見えて、けっ、と思った。今日も白いシャツに藍色のパンツと言う簡素な格好だが腹が立つくらいに似合っている。

「おはようございます。公爵子息。まさかお出かけ、ですか?」

「うーん、それもあるけど少し聞きたい事があってさ」

「申し訳ありませんが、私、これから出かけるんです」

こういう時は曖昧に言う方が失礼だから、はっきりと言った。

「こんなに朝早く?」

あなたが言わないでよ。

「お茶会、とかではなさそうだな」

私がドレスではなく普段の格好をしてたからだろう。

「違います。街でいくつかの店に領地で作っている野菜を卸しているんですが、その様子を定期的に視察に行くんです」

「君が?こんなにはやい時間に?」

「はい。お父様から頼まれてやっています。その店の中に宿場をやっているお店があり、お昼は大衆食堂になるんです。だから早く行かないと準備の邪魔になります。ですので、すみませんが時間がないので今日は一緒に出かけれません」

「ついて行っていいか?」

何か考えている様子でそう聞いてきたが、正直驚いた。

「構いませんが、楽しくないですよ」

「いいよ。一緒にいながら聞きたい事を聞くよ」

「私で役に立ちます?」

「そこは分からないが、俺としては一緒にいたからね」

私はいたくないけど、まあいいわ。

「では、行きましょうか。ちなみにこれはお出かけのひとつに入れてくれます?」

「いや、ないな」

ちっ。

「くっくく、その、ちっ、と言うのはなかなかいいね」

楽しそうに笑う公爵子息は、本当におかしな人だな、とうんざりした。

屋敷の前で用意してある馬車に乗り込み、直ぐに出発した。

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