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北の物資について5
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「聞きましたか?スティールはオレンジが何処の国のものか言い当てた上に、どうすればより良い状態で届くのか、配送までも気にかけている。それも、無意識に答えることが出来るほどです」
え?
大袈裟な演技ともとれる抑揚をつけた話し方で、私とガルマン侯爵様を交互に見た。
「それは、全てこちらにおられるニルギス子爵様の農作物を育てることに情熱と愛を注い結果。それが全てスティールに受け継がれたのです。それとこれが、ニルギス子爵家の資料となります。堅実なる仕事ぶりで、毎年を少しづつ黒字を出し、領民の生活は何処の貴族の領民よりも裕福だと、私は感服致しました」
な、なんか大袈裟に言ってない?
というか領地の資料までわざわざ用意したの?
「その、ニルギス子爵様の意志を継いだスティールが私に助言したのです。まるで女神かのように、私を叱咤してくれたので」
はあ!?
い、いつ私そんな事したの!?
ゆっくりと私に近づきながら、崇めるように私に微笑む公爵子息が、悪魔に見えた。
「先日王宮で開かれたパーティー時に私に対して無礼だと知りつつも、北部の状態を憂い、涙ながらに訴え来たのです」
泣いてないし、訴えてないし。
まず公爵子息だったなって知らなかったよ。知ってたら無視してた!
「北部の貴族キャーデイ男爵とニルギス子爵は昔ながらの友人であり、その子供達もまた仲の良い友人です。だからより胸を痛め、私にどうにかして欲しい、と詰め寄って来たのです」
「キャーデイ男爵は私も知っている。表立って何かをする性格ではないが、いつも領民のことを思い、よく一緒に汗だくで働いている、良き主だ」
ガルマン侯爵が、感慨深気に静かに呟きながら足を組んだ。
公爵子息は、私の事を全部調べて上手く使ってる。北部に領地を持つ友人がいる、と確かに言ったがキャーデイ男爵、と一言も言っていない。
それも、ガルマン侯爵様がおじ様と顔見知りだと知ってて名を出してる。
「資料に書いているように、農作物の運搬にコンテナの形状がどれだけ大事かを教えてくれました。野菜は生きている。だから、物として扱わず、生き物として扱うよう考えほしい、と私でも理解できるよう単簡に説明してくれました」
生き物だとは言ったけど、そんな説明してないよ。
「資料にも書いておりますが、生き物であれば通気性、つまり空気を与えねばなりません。それに適したコンテナをわざわざ、用意してくれた。また、そのコンテナに入れる量の適量は、季節や温度を踏まえて考えなければない、と丁寧に実践までしてくれました」
いや、あれは視察の時に流れでやっただけで、別に公爵子息に教えたわけじゃない。
「また、」
まだ、あるのぉ・・・
公爵子息は、私の肩を優しく叩くとベランダと向かい、あのミニトマトのプランターを持ってきて、ガルマン侯爵様の前に置いた。
芽が出かけている。
「見てください。私が育てているミニトマトです」
「お前が?」
「はい、これもスティールの助言です。農作物の中にも安易に育てる事が出来る野菜がある。少しでも農作物を理解するには、己の手で育てるべきです、とわざわざ育てかたの説明書まだくれました。これです」
ポケットから出してきた。
「こんなに簡単なのか!?それなら」
喜悦に綻ばせた声で立ち上がるガルマン侯爵を、公爵子息は宥めるように、お茶が入っているカップをガルマン侯爵に近付けた。
立ち上がったガルマン侯爵様の筋肉質で大きい身体に比べ、公爵子息はその身が半分と言っても過言でないのに、
公爵子息の全身から、威信が強く放たれ、ガルマン侯爵様と同等、いや凌ぐ程の存在感を感じた。
だからこそガルマン侯爵は、立場も歳も下である公爵子息の言葉に苛立ちを見せながらも逆らうことなく座った。
というか、それもそんなつもりでミニトマトは教えてない。
なんで?
なんで?
そう話しを折りまげて説明するの!?
え?
大袈裟な演技ともとれる抑揚をつけた話し方で、私とガルマン侯爵様を交互に見た。
「それは、全てこちらにおられるニルギス子爵様の農作物を育てることに情熱と愛を注い結果。それが全てスティールに受け継がれたのです。それとこれが、ニルギス子爵家の資料となります。堅実なる仕事ぶりで、毎年を少しづつ黒字を出し、領民の生活は何処の貴族の領民よりも裕福だと、私は感服致しました」
な、なんか大袈裟に言ってない?
というか領地の資料までわざわざ用意したの?
「その、ニルギス子爵様の意志を継いだスティールが私に助言したのです。まるで女神かのように、私を叱咤してくれたので」
はあ!?
い、いつ私そんな事したの!?
ゆっくりと私に近づきながら、崇めるように私に微笑む公爵子息が、悪魔に見えた。
「先日王宮で開かれたパーティー時に私に対して無礼だと知りつつも、北部の状態を憂い、涙ながらに訴え来たのです」
泣いてないし、訴えてないし。
まず公爵子息だったなって知らなかったよ。知ってたら無視してた!
「北部の貴族キャーデイ男爵とニルギス子爵は昔ながらの友人であり、その子供達もまた仲の良い友人です。だからより胸を痛め、私にどうにかして欲しい、と詰め寄って来たのです」
「キャーデイ男爵は私も知っている。表立って何かをする性格ではないが、いつも領民のことを思い、よく一緒に汗だくで働いている、良き主だ」
ガルマン侯爵が、感慨深気に静かに呟きながら足を組んだ。
公爵子息は、私の事を全部調べて上手く使ってる。北部に領地を持つ友人がいる、と確かに言ったがキャーデイ男爵、と一言も言っていない。
それも、ガルマン侯爵様がおじ様と顔見知りだと知ってて名を出してる。
「資料に書いているように、農作物の運搬にコンテナの形状がどれだけ大事かを教えてくれました。野菜は生きている。だから、物として扱わず、生き物として扱うよう考えほしい、と私でも理解できるよう単簡に説明してくれました」
生き物だとは言ったけど、そんな説明してないよ。
「資料にも書いておりますが、生き物であれば通気性、つまり空気を与えねばなりません。それに適したコンテナをわざわざ、用意してくれた。また、そのコンテナに入れる量の適量は、季節や温度を踏まえて考えなければない、と丁寧に実践までしてくれました」
いや、あれは視察の時に流れでやっただけで、別に公爵子息に教えたわけじゃない。
「また、」
まだ、あるのぉ・・・
公爵子息は、私の肩を優しく叩くとベランダと向かい、あのミニトマトのプランターを持ってきて、ガルマン侯爵様の前に置いた。
芽が出かけている。
「見てください。私が育てているミニトマトです」
「お前が?」
「はい、これもスティールの助言です。農作物の中にも安易に育てる事が出来る野菜がある。少しでも農作物を理解するには、己の手で育てるべきです、とわざわざ育てかたの説明書まだくれました。これです」
ポケットから出してきた。
「こんなに簡単なのか!?それなら」
喜悦に綻ばせた声で立ち上がるガルマン侯爵を、公爵子息は宥めるように、お茶が入っているカップをガルマン侯爵に近付けた。
立ち上がったガルマン侯爵様の筋肉質で大きい身体に比べ、公爵子息はその身が半分と言っても過言でないのに、
公爵子息の全身から、威信が強く放たれ、ガルマン侯爵様と同等、いや凌ぐ程の存在感を感じた。
だからこそガルマン侯爵は、立場も歳も下である公爵子息の言葉に苛立ちを見せながらも逆らうことなく座った。
というか、それもそんなつもりでミニトマトは教えてない。
なんで?
なんで?
そう話しを折りまげて説明するの!?
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