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馬車の中
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「姫様には、ご友人とかはいないのですか?」
帰りの馬車の中、前に座るグラリン様に聞いた。
「私も詳しくはありませんが、殿下と主のような関係のご友人はおられないような気はします。姫様の隣にたつに相応しいご令嬢は、茶会や社交界でそばにいますが、ご友人か、と聞かれましたら答えに困ります」
思い浮かぶに簡単な、絵面だな。
おほほ、とか、うふふ、とか言いながら、腹の探りしているさむーい関係か。
確かに私の質問のご友人ではないな。
「率直に答えてくださってありがとうございます。アトラス様と公爵子息の関係、と言われるとわかり易いですね。お2人はとても信頼関係を持っていて、言いたい事を言い合っていますものね」
さっきの2人を見たからとても納得出来た。
「そうですね。主様はどちらかと言うと腹黒い性格ですし、立場も公爵子息という事もあって、相手が殿下であっても平気で悪態をついていたのが良かったのかもしれませんね」
「それ!そうよ、その言葉通りだわ!腹黒よ!悪態よ!!」
まさに公爵子息にピッタリの言葉だ
「あの人何なんですか!?急にパーティで現れて、1度ダンスしたくらいで変に絡んできて、勝手に私達を巻き込んできて、とっても迷惑してるんです。確かに北部物資事業はとても大事で、役に立っているのは嬉しいですが、迷惑なんです。その上いつも気持ち悪い言葉と笑いで近寄ってきて、本当に、最悪な人です!!」
本当にムカつくわ!
「えーと、申し訳ありませんが、本気で仰ってます?」
恐る恐る、確認してくる。
「当たり前じゃないですか、本気です!!」
もう、我慢しない。
さっきの事を考えれば、ここで不躾で失礼な事を言えば、グラリン様が公爵子息に告げ口してくれて、不行儀な令嬢と怒るはずだ。
この方だって、どこかの貴族の子息か、もしくはどこかの貴族の分家とか、ともかく私よりもい所の家の出の方だ。
絶対私のこの態度は、無礼千万だ。
ほら、考えるように真顔になって目を逸らした。
さっきみたいに、喧嘩を売ると立場が悪くなる、と叱咤されるわ。
顔を戻し、真顔で私を見た。
ほら、言って。
早く言って。
「ぶっ、あっはははははは!!傑作ですね。なかなか手強いですね、スティール様は。いいですよ、主を振り回したらいいです。くっくくく、あっはははははは!!」
何故?
何故大爆笑なの?
「いやあ、主にも手に入らないモノがあるんですね。それも、全く気持ちが伝わっていないとは、腹黒主もまだまだですね。あっははは!!」
なんだが不穏な言葉ばかりが出てきて、とっても嫌な気分だ。
グラリン様はお腹を抱えてまた笑うけど、私は全く楽しくなかった。
やっと落ち着いたかと思うと、
「あえてフォローしますが、主は女性にこれまで興味がありませんでした」
と言ってきて、
はっ、
とやっと気づいた。
そうか、そういう事か。
だから、私にちょっかい出してきたのか。
「グラリン様、わかったわ!!」
はい!!
と手を上げた。
「わかってくれましたか?」
その通りです、と言わんばかりに頷いてくれた。
「ええ、わかったわ。公爵子息はアトラス様とそういう関係なのよ!だから、誤魔化す為に私」
最後まで言う前に、また、グラリン様の大爆笑が始まった。
なんでよぉ。
これは当たりだと思ったのに。
似合うけどなあ。
おふたりのそういう関係は。
「スティ・・・はあ・・・ール様、はあ、お腹痛い・・・なんで、そんなにたのし・・・い方・・・なのですか、くうう、お腹痛い、うう、あっはははははは!!!」
何か馬鹿にされているようで、楽しく笑っているグラリン様を蹴りたくなった。
帰りの馬車の中、前に座るグラリン様に聞いた。
「私も詳しくはありませんが、殿下と主のような関係のご友人はおられないような気はします。姫様の隣にたつに相応しいご令嬢は、茶会や社交界でそばにいますが、ご友人か、と聞かれましたら答えに困ります」
思い浮かぶに簡単な、絵面だな。
おほほ、とか、うふふ、とか言いながら、腹の探りしているさむーい関係か。
確かに私の質問のご友人ではないな。
「率直に答えてくださってありがとうございます。アトラス様と公爵子息の関係、と言われるとわかり易いですね。お2人はとても信頼関係を持っていて、言いたい事を言い合っていますものね」
さっきの2人を見たからとても納得出来た。
「そうですね。主様はどちらかと言うと腹黒い性格ですし、立場も公爵子息という事もあって、相手が殿下であっても平気で悪態をついていたのが良かったのかもしれませんね」
「それ!そうよ、その言葉通りだわ!腹黒よ!悪態よ!!」
まさに公爵子息にピッタリの言葉だ
「あの人何なんですか!?急にパーティで現れて、1度ダンスしたくらいで変に絡んできて、勝手に私達を巻き込んできて、とっても迷惑してるんです。確かに北部物資事業はとても大事で、役に立っているのは嬉しいですが、迷惑なんです。その上いつも気持ち悪い言葉と笑いで近寄ってきて、本当に、最悪な人です!!」
本当にムカつくわ!
「えーと、申し訳ありませんが、本気で仰ってます?」
恐る恐る、確認してくる。
「当たり前じゃないですか、本気です!!」
もう、我慢しない。
さっきの事を考えれば、ここで不躾で失礼な事を言えば、グラリン様が公爵子息に告げ口してくれて、不行儀な令嬢と怒るはずだ。
この方だって、どこかの貴族の子息か、もしくはどこかの貴族の分家とか、ともかく私よりもい所の家の出の方だ。
絶対私のこの態度は、無礼千万だ。
ほら、考えるように真顔になって目を逸らした。
さっきみたいに、喧嘩を売ると立場が悪くなる、と叱咤されるわ。
顔を戻し、真顔で私を見た。
ほら、言って。
早く言って。
「ぶっ、あっはははははは!!傑作ですね。なかなか手強いですね、スティール様は。いいですよ、主を振り回したらいいです。くっくくく、あっはははははは!!」
何故?
何故大爆笑なの?
「いやあ、主にも手に入らないモノがあるんですね。それも、全く気持ちが伝わっていないとは、腹黒主もまだまだですね。あっははは!!」
なんだが不穏な言葉ばかりが出てきて、とっても嫌な気分だ。
グラリン様はお腹を抱えてまた笑うけど、私は全く楽しくなかった。
やっと落ち着いたかと思うと、
「あえてフォローしますが、主は女性にこれまで興味がありませんでした」
と言ってきて、
はっ、
とやっと気づいた。
そうか、そういう事か。
だから、私にちょっかい出してきたのか。
「グラリン様、わかったわ!!」
はい!!
と手を上げた。
「わかってくれましたか?」
その通りです、と言わんばかりに頷いてくれた。
「ええ、わかったわ。公爵子息はアトラス様とそういう関係なのよ!だから、誤魔化す為に私」
最後まで言う前に、また、グラリン様の大爆笑が始まった。
なんでよぉ。
これは当たりだと思ったのに。
似合うけどなあ。
おふたりのそういう関係は。
「スティ・・・はあ・・・ール様、はあ、お腹痛い・・・なんで、そんなにたのし・・・い方・・・なのですか、くうう、お腹痛い、うう、あっはははははは!!!」
何か馬鹿にされているようで、楽しく笑っているグラリン様を蹴りたくなった。
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