44 / 64
屋敷にて会議2
しおりを挟む
「毒舌な、執事だな」
背後でボソリとと呟くグラリン様が、去っていくカッフィーを呆れた顔で見ていた。
「全くよ、棘ありすぎて困るくらいよ」
でも、カッフィーは誰よりもお父様の事を心配し、お父様の為だけに動く。だからこそ、私の行動に不満を持ったのだ。
言うように、私がパーティーに参加しなければこんな事にはならなかった。
今更後悔しても仕方がないけれど、だからこそ苛立たしいのだろう。
「失礼致します」
ともかく中へ入った。
「遅かったな。何をしていたんだ?座れよ」
公爵子息が立ち上がり私を見たが、一斉に皆様が私を見た。
あなたが指図しないでよ。
中に入ると、騎士団の方は数人しかいなかったし、それに召使いもいない。
それだけ重要な話をしているのだ。
執務室は、お父様の仕事用の机と6人掛の机と椅子がある。入って右側奥にお父様、その横にガルマン侯爵様。
左奥にアトラス様、隣に公爵子息。
自分の横、つまり、公爵子息の横に来い、と言ってきた。
「申し訳ありません。姫様と偶然お会いしまして話をしておりました。スティール様、さあ、どうぞ」
グラリン様が簡単な説明をしながら私の座る椅子をひいてくれたのだが、アトラス様と公爵子息の顔が曇った。
あの教育係が側にいれば気がかりになるだろう。特にアトラス様は妹だもの。
机には色々な、書類と北部の地図が広がっていた。
「スティール、まだお茶飲めるか?さっき結構飲んだだろ?」
何故か直ぐに公爵子息が立って、側に来た。
「飲みます。色々あって喉が渇いてますから」
「菓子は?」
「いりません」
「そう言えば夕食があるから、と言っていたものな」
「分かっているのなら、聞かないで下さいよ」
「なんだ、仲良いのかお前らは?」
ガルマン侯爵様が驚いて声上げた。
「仰る通りです」
「全く違います。余計な事言わないでくださいよ!」
キッと、公爵子息睨むとガルマン侯爵様は怪訝そうにしたが、お父様はとてもほっとしていた。
公爵子息は楽しそうにわざわざお茶をいれてくれたが、その様子を見てお父様がとても不安そうな顔になったが、直ぐに振り払うように軽く首を振ると、穏やかな表情に戻した。
本当に迷惑な人だ。
また睨んでやりたかったが、ここで目を合わせると心配されそうだったからやめておいた。
「スティール、これが今検討中の案だ。目を通して気になる事を言ってくれるか?」
「はいお父様」
正式な様式ではなく、お父様とガルマン侯爵様が思案した事が箇条書きに書かれていた。
やはりお父様も土壌の事を気にかけたようで、私が言ったように、農具と菜の花の種、腐葉土を準備するようにしている。
土壌を肥やすらなら、次は水が必要でありそれについて書いてあった。
北部の地図が机に広げてあり、赤と青の線が山の方から何本も引かれて、丸印と三角印がついている。
山の湧き水を上手く利用し川にする案が書いてある。
それが、青い線。
そして赤の線が、土壌を変える場所。
丸印が畑となる場所、三角印が腐葉土や肥料や種置き場。
地形などを考えて、お2人で決めたのだろう。
次に、物資事業で作ったコンテナに土を入れ、そこにほうれん草や小松菜、レタス、葉物などを植え持っていく。
簡易的な巨大プランターだ!
2日くらいなら、水をマメにかけてあげれば運べるし、これならコンテナも無駄にならない。その上、その土を北部に残し、北部の土と比較しどうすればいいのか研究するようだ。
コンテナをプランターに、か。こんな発想思いつかなかった。
あれ?
農産物と種の供給が次回からはキルギス子爵の領地より、となっている。
「あの、この物資の供給がキルギス子爵の領地となっていますが、どういう事でしょうか?」
「その通りだ。聞けば今運んでいる農産物の種類全て、領地で作っているとの事だ。それならばいっそ、全てをキルギス子爵殿に任せれば、物資の運搬指導、その物資の扱い、全てにおいて問題ないだろう」
自信満々に言うガルマン侯爵様に、お父様は静かに微笑むだけだった。
ふむ。成程ね。
背後でボソリとと呟くグラリン様が、去っていくカッフィーを呆れた顔で見ていた。
「全くよ、棘ありすぎて困るくらいよ」
でも、カッフィーは誰よりもお父様の事を心配し、お父様の為だけに動く。だからこそ、私の行動に不満を持ったのだ。
言うように、私がパーティーに参加しなければこんな事にはならなかった。
今更後悔しても仕方がないけれど、だからこそ苛立たしいのだろう。
「失礼致します」
ともかく中へ入った。
「遅かったな。何をしていたんだ?座れよ」
公爵子息が立ち上がり私を見たが、一斉に皆様が私を見た。
あなたが指図しないでよ。
中に入ると、騎士団の方は数人しかいなかったし、それに召使いもいない。
それだけ重要な話をしているのだ。
執務室は、お父様の仕事用の机と6人掛の机と椅子がある。入って右側奥にお父様、その横にガルマン侯爵様。
左奥にアトラス様、隣に公爵子息。
自分の横、つまり、公爵子息の横に来い、と言ってきた。
「申し訳ありません。姫様と偶然お会いしまして話をしておりました。スティール様、さあ、どうぞ」
グラリン様が簡単な説明をしながら私の座る椅子をひいてくれたのだが、アトラス様と公爵子息の顔が曇った。
あの教育係が側にいれば気がかりになるだろう。特にアトラス様は妹だもの。
机には色々な、書類と北部の地図が広がっていた。
「スティール、まだお茶飲めるか?さっき結構飲んだだろ?」
何故か直ぐに公爵子息が立って、側に来た。
「飲みます。色々あって喉が渇いてますから」
「菓子は?」
「いりません」
「そう言えば夕食があるから、と言っていたものな」
「分かっているのなら、聞かないで下さいよ」
「なんだ、仲良いのかお前らは?」
ガルマン侯爵様が驚いて声上げた。
「仰る通りです」
「全く違います。余計な事言わないでくださいよ!」
キッと、公爵子息睨むとガルマン侯爵様は怪訝そうにしたが、お父様はとてもほっとしていた。
公爵子息は楽しそうにわざわざお茶をいれてくれたが、その様子を見てお父様がとても不安そうな顔になったが、直ぐに振り払うように軽く首を振ると、穏やかな表情に戻した。
本当に迷惑な人だ。
また睨んでやりたかったが、ここで目を合わせると心配されそうだったからやめておいた。
「スティール、これが今検討中の案だ。目を通して気になる事を言ってくれるか?」
「はいお父様」
正式な様式ではなく、お父様とガルマン侯爵様が思案した事が箇条書きに書かれていた。
やはりお父様も土壌の事を気にかけたようで、私が言ったように、農具と菜の花の種、腐葉土を準備するようにしている。
土壌を肥やすらなら、次は水が必要でありそれについて書いてあった。
北部の地図が机に広げてあり、赤と青の線が山の方から何本も引かれて、丸印と三角印がついている。
山の湧き水を上手く利用し川にする案が書いてある。
それが、青い線。
そして赤の線が、土壌を変える場所。
丸印が畑となる場所、三角印が腐葉土や肥料や種置き場。
地形などを考えて、お2人で決めたのだろう。
次に、物資事業で作ったコンテナに土を入れ、そこにほうれん草や小松菜、レタス、葉物などを植え持っていく。
簡易的な巨大プランターだ!
2日くらいなら、水をマメにかけてあげれば運べるし、これならコンテナも無駄にならない。その上、その土を北部に残し、北部の土と比較しどうすればいいのか研究するようだ。
コンテナをプランターに、か。こんな発想思いつかなかった。
あれ?
農産物と種の供給が次回からはキルギス子爵の領地より、となっている。
「あの、この物資の供給がキルギス子爵の領地となっていますが、どういう事でしょうか?」
「その通りだ。聞けば今運んでいる農産物の種類全て、領地で作っているとの事だ。それならばいっそ、全てをキルギス子爵殿に任せれば、物資の運搬指導、その物資の扱い、全てにおいて問題ないだろう」
自信満々に言うガルマン侯爵様に、お父様は静かに微笑むだけだった。
ふむ。成程ね。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
281
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる