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「ねえ、スティンはお昼どうするの?」
午前中の授業が終わると直ぐにお2人がが側にやってこられた。
「お弁当を持ってきています。お2人はいつも学食ですものね」
教科書などを机に直し立ち上がった。
「だったら、学食で一緒に食べようぜ。別に弁当食べても問題ないだろ?」
「宜しければ御一緒にお弁当を食べられますか?いつも多すぎて余ってしまうんです」
「本当に?」
「それはいいな」
目を輝かせるお2人に、急に不安になった。
量は問題ない。
問題は、味だ。
勿論我が家の料理長は素晴らしいが、今お2人が住まわれている、ガーフィー公爵家は美食家で、国一番と言われる料理長を雇っている。実はその料理長の弟子が、我が家の料理長なのだ。
「あの、味は・・・期待しないでくださいね」
「大丈夫。ビビ」
いやあああああ!!
「カレン様!」
がっ、と睨むと、うっ、と言葉を飲み込見込まれた。
何を言おうとし・て・い・る・の・で・す・か!?
「余計な事を言うなよ。スティング様が困るだろ」
「・・・ごめん」
フィー様が苦笑いした。
「お願いします・・・恥ずかしいですから。では、私がいつも行っている場所でも宜しいですか?」
「今日何食べる?あ、デザートも食べたいな。今出てる、限定バナナケーキが凄い美味しいらしいよ」
「好きなの頼めばいいよ」
「優しいな、ガナッシュは」
視界の片隅で、殿下の腕に絡むレイン殿が見え、胸が痛み、直ぐに背けた。
いつもの事よ。そうよ、もう、慣れたわ。
それなのに比べてしまう私が嫌だった。
これ迄1度も殿下と学食で食べた事がなかった。
あんな、誰が作ったか分からないものを、それも、あんな奴らと同じものを食べるなど、気持ち悪い。
殿下は幼い頃からそう言っていたから、お互い交互にお弁当を持参してきた。
それなのに、
お弁当!?そんなのお母さんが作る時間ないよ。毎日すっごく働いて疲れてるし、私だって家の事で忙しいもん。でも、近くのパン屋で夕方値引きしてるのを安くで帰るから、大丈夫だよ。
無邪気に笑いながら言った、あの日を覚えている。
私でさえ、同情した。
その日から、殿下はレインを食堂に連れていくようになった。
比べる対象が違うのは分かっている。
でも、私が出来なかった事をレインはいとも簡単にしてしまい、羨ましかった。
「・・・あの2人はいつも一緒にいるな」
苦々しそうに言うフィー様が、私の事を思って下さる気持ちが分かり、とても嬉しかった。
「そうですね。もう、慣れました。さあ、行きましょう。時間が勿体ないですよ」
お2人が嫌な顔をしたあと、私を可哀想見てきたので首を振った。
「大丈夫だってば。ほら、小説ではビビが手作りお弁当を作ってくるんだよね?」
「そう!やっぱり分かってくれてたのね」
「分かってますよ。さあ、行きましょう」
お弁当を持ってくると、フィー様が受け取ってくれて、皆で教室を出た。

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