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41またまた殿下に朝呼び止められました2

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「私達には聞こえない心の声が聞こえるのよ」
「特別なあの女と、だろ?」
「ぷっ、ぷぷぷ。もうお似合いすぎるわ。なになに2人で心の声が聞こえ合うの?ぶっ、あっははははは!!それっ、最っ高!!」
「それなら仕方ないよな、報告を受けた、と言うのが心の声なら、な」
「母上から聞いたんだ!!」
顔真っ赤にして殿下が喚いた。
が、
逆効果だ。
「フィー、ちょっと聞いた!?」
「聞いた!」
「母上、だって!まあた、心の声が聞こえる最後の1人、ぶぶふっっ!!!もう、無理!!お腹・・・はあ・・・いったぁ・・・」
「くぅぅぅぅぅ・・・カレ・・・ン辞めてく・・・れ・・・俺も・・・腹が・・・痛・・・い・・・」
大爆笑の2人に殿下は青くなったり、赤くなったりと、とても忙しそうな中で、何度も私を睨んできた。
助けませんよ。
これまでどれだけ助けてきた事か。
でも、その想いを全て瓦礫のように崩し、灰にしたのは、
殿下、
あなたです。
私の無言に、段々苛立ちを募らせているようだったが、全く無視してあげた。
「フィー皇子様、カレン皇女さま、そろそろお戯れは終わりにしましょう。予鈴がなりますよ」
そろそろ笑い終わりなさいよ。
私の言葉に2人はお腹を抱えながら笑っていたが、どうにか我慢し呼吸を整えだした。
「そうだな。そろそろ時間になるな。さて、カレンの言うように心の声、と言う事にして、あとスティング様の言うように、挨拶なしの件の手紙は許してやるよ。その後ろの奴らもな。だが、後で名前は調べるがな」
何度も呼吸をしながらも、殿下の顔を見る度に笑いを堪えながら必死にフィーは言った。
「ご心配ありません。私が後程お教え致します」
「・・・!」
「・・・!」
背後に控える2人は真っ青になり、言葉なく俯くしかなかった。
「・・・いや、これは、なにかの、そう!私の勘違いでした。報告は受けていません!!」
へえ。
自分よりも立場の上の方に対しては、流れにのってしまうのね。
つまり、
私は、
殿下にとって下、
だったのだ。
「誰も勝手に帰っていない。そうだ、その通りだ。お2人は、帰るべくして帰ったのです!お前たち行くぞ!!」
慌てて鞄を持ち直し、背を向けた。
背後の2人も安堵の顔を見せ動き出した。
「お待ち下さい、殿下。謝罪がまだでございますよ」
残念ながら逃がしません。
「はあ!?」
私の言葉にもちろん納得いく訳もなく、その理由もわかる訳もなく振り向いたものの、また去ろうと背を向けた。
「フィー皇子様とカレン皇女様を蔑ろにしたにも関わらず、その謝罪も無く、また、それさえ逃げ出そうとは、この国の王子として立場は如何なものかと存じますが、まあ、あえてそれに背を向けるという事は、そういう事なのでしょね!」
私の鋭い声に、今度はゆっくりと震えながら振り向いた。
「いいんじゃない、それで、そろそろ予鈴がなるから行こうよ」
「そうだな。スティング様カバンを持とうか?カレンのも持ってるしな」
「宜しいのですか?」
「勿論。女性の荷物は男性が持つのが当たり前だろ。誰かさんみたいに、お高く止まっている男はとは違うよ」
「ふふっ、殿下みたいですね。では、お願い致します」
どうぞ、と渡すと受け取ってくれた。
「じゃあ行こう」
「はい」
「待ってくれ!なんの事だ!私が何をやった!?」
「お分かりにもならない?私がわざわざ、お教えするべき事ではないかと存じます。だって、貴方様はいつも私に心が狭い、と仰っていた。ですのでその通りにさせて頂きます」
「待て!待ってくれ!・・・教えてくれ・・・私は・・・」
声は小さく、助けを求めている表情だが、やはり瞳の奥の本心はそうでは無い。
私を憎んでいる、そんな言葉が当てはまる燃えるような色だった。
「そこまで仰るなら、お教え致しましょう。殿下、貴方様はこのような校門の誰もがみている前で、私に説明しろ、と怒鳴って来ました。そうしてそれは間違いだ、と仰った。謝罪があるべきですよね?殿下はこの国の王子であり、誰よりも高みに居られる方。その方がまさか、その様な事もされないのですか?これだけの人が見ている中で?人にも謝罪が出来ない愚かな王子が国に据わるのですか?それと、挨拶の件の謝罪がありません。帝国への謝罪文は免れるようにお願いしましたが、誰が、挨拶の謝罪を許したと言いましたか?まさか、それを御一緒に考えるような浅はかさをお持ちだと思いませんでした。そうですね、忠告させて頂きますわ。平民のレイン殿とあまり御一緒におられたら、殿下の脳みそもレインと同じような平民になりますわよ」
「なんだと!?」
ガン!
「っ!!」
私に手を出そうとしていた殿下をザンがすかさず押し倒した。
「恐れ入りますが、皇太子様に対してその様な行動はお避けください」
上手くいってくれたわね。確かに私の横にフィーがいたが、明らかに殿下は私に手を出そうとしてきた。
「申し訳ありません、フィー皇子様。私の説明が悪かったのでしょう」
すっと頭を下げた。
「スティング様は悪くない。ともかく、気分が悪い。もう行こう」
「そうよ、予鈴がそろそろなるわよ」
「そうですね。参りましょう。では、殿下お先に失礼致します」
倒れている殿下をお付きの2人が起こしていた。
「結局謝りもしないのですね」
殿下を見下しながら、捨て台詞のように、きっちりと私は言って横を通った。
でも、胸が少し痛んだ。
私に手を出そうと、手を挙げた。
その光景が、
恐怖よりも、
泣きたくなる感情を押し寄せた。

分かっているでしょ?

わかっているわ。

けれど愛した人だ。

手をあげたのを見たでしょ?

わかっているわ。

本当なら、蟠りなく側を離れたいのに、
殿下は、
いや、
王妃派は、
それを許してはくれない。

自分の気持ちの弱さが嫌になる。

私は、
あなたを、本当に愛していたのです。
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