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49ロール様のお茶会の後

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クルリが静かに私の背後に寄ってきたが、首を振った。
「サラを調べて」
「サラ、でございますか?」
神妙な面持ちで聞き返してきた。
「早急に報告しなさい」
「はい」
それ以上質問はなく、静かにクルリは離れて行った。
見間違いでは、ない。
あの子は貴族の息女だ。
気づく事が多すぎる。
いいえ、
私が、
全てを遮断していたんだ。
「どうしたの?」
カレンが、私の右に来た。
「どうしたんだ?」
フィーが、私の左に来た。
近づく2人に微笑んだ。
「何も。ただ、使える手駒が欲しいのよ」
「手駒?」フィー
「本気で動くわ。その為に、私だけの手駒が必要ななの」
「それがあの子なの?」
「全く、抜かりなく聞いているわね、カレン。よくクルリに言ったあんな小さな声が聞こえたわね」
「俺も聞こえた」
すかさずフィーが言ってきたから、つい笑ってしまった。
「私は、私の好きなように動く。でも、やっぱり一人では何も出来ない。その為になんでも使うわ。たとえ悪者になったとしても、それでも、この心は変わらない」
殿下の敵に回った事に、微塵も後悔はない。
「この国の、公爵令嬢として産まれた義務よ。私は悪事を許さないわ」
「目覚めたねえ、スティング」
カレンのたったその一言が、私の気持ちより強固にしてくれた。
「綺麗になっていくな、スティング」
フィーの全てを包むようなその一言が、私の気持ちをより前に向かせてくれる。
「全部2人のおかげよ。2人に出会ったから、私、あ、馬車まで来てしまったね。とりあえず乗ろうか」
「お嬢様早かったですね」
リューナイトがいつもの冷静な声で、馬車の扉を開け、私達は馬車に乗った。
そう、だ。
自分で言いながら、大切な事だ。
手駒。
公爵派に、裏切り者がいる。
その渦の中、私が下手に言葉を投じてしまえば、全てが水の泡になる。
それならば、
私だけの、
手駒がいる。
盤の上に乗る駒はいつだって、人間。
その駒を動かす人間は、
その駒の命を背負っているのだ。
馬車の中フィーとカレンと他愛のない話をしながら、色々考えた。
誰にも気付かれない、
信頼出来る、
手駒がいる。
さて、誰にしようかしら?
公爵派、
王妃派、
中立派、
全ての派閥の届かない貴族かあ。
うーん、と考えて、
思いついた。
そう、
全く、思いつかない事に、
思いついたのだ!

・・・困った。
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