装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

808 燃やす

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 まったく、裏路地とは毎回イベントが事欠かない地帯である。
 図体のでかいスキンヘットの男たちが、揃いも揃って……。
 雑魚モブはスキンヘッドって決まりでもあるのだろうか。

 もっとも、俺が漫画家だとしたら確かにそうするだろう。
 雑魚は全員スキンヘッド。
 絵が楽だからな。

「……」

 男たちに囲まれた女性は、黙っていた。
 ジッと男たちの顔を見つめている。

「コレクト」

「クエ」

 俺の問いかけに頷くコレクト。
 ちなみに意味は「あれは人間じゃないよな」である。

 ワンブレスセリフではなく、ワンワードセリフ。
 俺も使えてしまったぜ。

「へへへ、なかなかの上玉じゃねえか」

「おほー、俺は乳でけえやつが好きなんだ!」

「俺はケツだ。わかってねぇなお前」

「馬鹿野郎、男はどっちにもムラムラくんだよ!」

「「確かに」」

「やっぱデカけりゃデカい方がいいんだわなー!」

「「あたぼーよ!」」

 そんなフェチ談義を重ねるスキンヘッドたち。

「悪かったわね、胸もお尻も並みで」

「え……何にキレてらっしゃる……?」

 俺の側でイグニールがギギギと歯噛みしていた。

「トウジもおっきい方がいいし?」

「いや、別に俺はそういうの気にするタイプじゃないから」

 逆撫でするようなことを言いなさんな、ジュノー。
 スタイル的にはイグニールに勝ってるからって。

「でもやっぱ大は小を兼ねるって言うしー? ふふーん」

 ひけらかすなよ。

「アホか。大も小もねーよ」

 俺だって人様に見せて誇れるほどのものじゃない。

「重要なのは、全てを受け入れる心意気ってもんだ」

「心意気?」

「隙間を埋めてくれるように寄り添う心が俺は好き」

 あくまで理想論だが、イグニールはすごいよな。
 いろんなところについてきてくれるし。
 特に俺のやることに文句とか言わないからね。
 最近は俺が不甲斐ないばっかりに色々多いけど。

「あたしもずっとトウジといるし」

「いやお前さ……」

 そこまで言いかけて言葉をやめにした。
 魔物は対象外とか言うのはちょっとな。
 それに、

「なーに見てやがんだ」

「おうおう何話してんだ」

 スキンヘッドたちに見つかってしまったからだ。

「女連れで裏路地たぁ、お盛んな奴だな!」

「おっぱじめる気だったのか? がはは!」

「いやその」

 それは今夜です。
 と、心の中で呟いておく。
 気が進まないんですけどね。

「まあいい、なかなか良い面の女を連れてんじゃねえか?」

「おほー! 確かに上玉じゃねーか!」

「げへへ、この路地に来たのが間違いだったな、俺らで面倒見てやるよ」

 ズカズカと、いきなりそんなことを言い始めるハゲども。
 とりあえず蹴散らして、スライム女を見失う前に終わらせるか。
 そう思った時である。

「ちっ、でもちっと体が貧相じゃねえか?」

「まぁ貧相だが、それは顔に免じて勘弁してやろうぜ?」

「貧相貧相、お前らあんまり贅沢言ってんじゃねえ!」

 ……これはまずい。
 イグニールさんは、ここんところすごくイライラしている。
 何気ない会話を聞いただけでも歯噛みするレベルでだ。
 そんな状況で、貧相だとかそう言う話をしてしまったら……。

「世の中もっと貧相な──」

 ボッと音がして、男が一人消えた。
 小さな火柱に股間を撃ち抜かれて空高く舞い上がったのである。

「ああ……もう……」

 額を手で抑える。
 遅かったか。

「お、おい! 消えたぞ! どこ言ったあいつ!」

「おーい! どこい──」

 また一人、下から強烈な火柱を股間に食らって打ち上げられた。
 細い路地裏から見える小さな青空。
 上空には、股間を燃やされた男が二人。

「ま、また消えやがった! お前ら! あいつらに何しやがった!」

「うっさい黙れ燃やすわよ」

「あづぁっ!」

 もう燃えてる。
 イグニール、視線で燃やしやがった。
 怖っ。

「そ、その辺にしとこうイグニール」

「なんでよ」

「初めて来た街でいきなりそれはマズイと思う」

 別にぶっとばすのは賛成だった。
 しかし、殺すのはちょっと。
 今のイグニールは殺しかねない。
 手加減しているとは言えど、だ。

「お灸をすえるくらいなら良いけど、殺すのはダメだって」

「わかってるわよ」

 ほんとかなあ……。

「お、俺の、俺のがああああああああ!」

 股間を燃やされてしまったスキンヘッドを見て、俺もなんだか背筋が凍った。
 とにかく、こいつらは今後裏路地で性的悪さを働くことはないだろう。
 ひええ。





=====
なかなか更新できなくてすいません。
本当に申し訳ありません。
今一度自身に気合いを入れます。
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