装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

811 やべぇメガネ

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「さあ、王はどこだ! 私に見せてくれ!」

 しこたま飯を食った後、ブルーは両腕を広げてそう言った。
 俺は了承すると広い場所を求めて街の外へと出ることに。

「わくわく、そわそわ、わくわく」

 はやる気持ちを抑えきれないのか、ブツブツ呟いている。

「ねー、ちょっと落ち着くし」

「これが落ち着いていられるか! 王に会えるのだぞ!」

「その王ってのもちょっとよくわかんないし」

 そこだな、俺も少し気になっていた。

「キングさんや俺のことをどうやって知ったんだ?」

「それは私が各種スライムとリンクしているからだ」

「あー、理解」

 ロイ様とか自分が生み出した仲間を通じて情報をやり取りする。
 それと同じことをして、俺たちの情報を得たのだろう。

「私の種族はスライムワイズ。キングとは一つ違う過程での最上位種だ」

 力を受け継ぐ前の親スライムが生み出してきたスライムの情報。
 その全てとリンクして情報収拾することが可能とのこと。

「なにそれ強い」

「だろう? 直接的な戦闘では純粋たる王種には及ばないがな」

 サポート専門のスライムだ、と彼女は豪語していた。
 ふむ、俺の求めていたスライムと合致している。
 情報処理的な部分でも、他のスライムを通じてありとあらゆる情報を得てきた実績。

 使える、使えるぞ!
 このメススライム、略してメスライム。

「そうだブルー、ちなみにさ?」

「なんだ?」

「キングさんに合わせるのもいいが、その分俺の頼みも聞いてくれたりする?」

「聞くぞ。太初の生まれ変わりとなる王の部下ともなれば、私の部下でもある」

 いや、部下じゃなくて、どっちかっていうと俺が主なんだけど?
 まあいいでしょう。
 とにかく話を聞いてくれるのならば、なんだっていい。

「実はちょっとした計画があって、そこに協力して欲しいんだよね」

「詳しく話してみろ」

「超上空にスライムを飛ばして、上空から色々と情報を探ってもらう計画なんだけど」

「断る」

「えー……」

 即答されてしまった。
 なんだかんだ乗り気っぽい雰囲気だったのに。

「そこをなんとか頼めないかな?」

「断る。そんなところに飛ばされてしまっては王と一緒にいれないじゃないか!」

「まあそうだけど。分体作って空に居続けてもらうって形でも良いんだけど」

 基本、スライムって水分と魔素さえあれば生きていけるからな。
 ゴーレム乗っけるって計画は、空気中に鉱物がないのでダメだ。

 え、大気圏外も水分ないだろうって?
 さすがにそこまで飛ばすとか、そんな衛星は考えていない。
 地上からだと視認できないレベルに高く上がってくれればいい。
 魔素に関しては、ヒヒイロガネ製の浮遊結晶とバッテリーさ。
 十分だろう。

「そもそも別に上空からじゃなくても、私がスライムを各地に配属すればいいじゃないか」

「それも十分ありがたいけど、基本的にはそれプラス上空からが重要なんだよね」

 俺は空からの情報が欲しいんだ。
 それに地上だと探っているのがバレかねないのである。
 誰にもバレずに、ということが重要なのだ。

「超上空ってちなみにどのくらいの高さだ?」

「1万メートル以上」

「で、そこからどうやって地上を見ろと言っているんだ? さすがに私の視力でもそんな高さは無理だぞ」

「その点に関しては、目に装着する装備を準備してる」

 潜在能力ゴッド等級の装備を作るのをやや遅らせて作った代物。
 それがこちらです。



【魅力的なメガネ】
必要レベル:10
VIT:10
UG回数:5
特殊強化:◇◇◇◇◇
限界の槌:2
装備効果:魅力的になる
=====
潜在等級:ゴッド
潜在能力:パブリックスキルオプション有り パブリックスキルオプション有り パブリックスキルオプション有り
パブリックスキル:パブリック・ズーム
パブリックスキル:パブリック・ズーム
パブリックスキル:パブリック・ズーム



 遠くを見るためだけのメガネ装備になります。
 パブリックスキルオプション三つつけるのに、どれだけの労力を要したことか。
 たぶん同じメガネを5000個以上作り続けていた気がしないでもない……。

 いつのまに、だって?
 寝る間も惜しんでに決まってるだろ!
 幸運系のポーションとか色々ブーストしまくって作った希少価値の高い代物な?

 このズームというスキルは、遠くを見るためのスキルである。
 狩りを専門としてきた家系のノードが遠視というスキルを探知系の他にも持っている。
 そこから着想を得たのだ。
 科学的な望遠鏡を作り込むこともオスローに頑張らせればいけんこともないのだが……。

 当初はスライムの知能がそこまで良いことを想定していなかった。
 だからスキルあって、遠くを見ようと思えば見れるよ~的な感じで使わせる予定だった。

「これで遠くが見れる。ズームのスキルが三つついてるから、重ねがけを用いることによって2倍~1000倍くらいまで理論値だといける計算になるはずだ」

 もっとも、使ったことないから本当にそうかは知らん。
 常人ならばフルで使った瞬間、目が耐えきれないと思われる。
 ま、こういうのは魔物に使わせるに限るな。

「や、やけに用意がいいな……」

 外堀を埋めていくと、ブルーは少し困った顔をしていた。

「こ、こんな珍妙な魔装備まで所持しているとは……」

「ははは」

 運に関しては割と味方につけている方だ。
 さらに物量作戦を取れるってのもある。

「でもやっぱり王と一緒にいるのがいい! 嫌だ嫌だ! 空には飛ばないぞ!」

「うーむ」

 駄々をこねているようだが、最後の一押しとしてキングさんに力を借りよう。

「キングさん!」

「──ぷるぁっ!」

 魔法陣からキングさんが出現する。
 その瞬間。

「ッんほおおおおおおおおおおおお!!」

 ブルーは汁を鼻からぶちまけながら興奮していた。
 うわぁ……。
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