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本編
849 すーぱーうるとらなんとか
「こっちはマイヤー探しで忙しいんだし! 邪魔しないで!」
「そんな小石、当たらないである」
トウジも言っていたように、ダンジョンの外に出たジュノーはそこまで強くない。
投げた小石も、小さな体の手に持てる程度なので砂利のようなものだ。
「いやむしろ避ける必要性皆無である」
言葉通り、私でもノーダメージで終わるだろう。
一矢報いたい気持ちはわかるけど、今はそんな時じゃない。
ロイの言っていたように、トウジと合流すべき。
「ジュノー! 危ないからこっちに来なさい!」
「やだ! 今はあいつが一発多いんだし! 返すんだし!」
「……あーもう」
こうなったら話を聞かない。
あの子、私と同じでトウジのことになると意地っ張りよね。
「ロイ、無理矢理にでもジュノーを連れていくわよ」
「承知した。ただ、先に奴の意識がジュノーに向いている状況をなんとかしなければ」
「私がなんとかする」
無詠唱でも全力で火柱作ればなんとかならないかしら?
結構な目くらましにはなると思う。
「アホ! バカ! センスなし! このー!」
「……仕方ないである」
トウジの煽り方に比べれば、赤子も同然なジュノーの言葉。
それを聞いて、アローガンスはため息混じりで言った。
「どうしても一発にこだわるのなら、一撃だけ我が受けるであーる」
「なら絶対動かないでね!」
「傲慢の名にかけて誓う。だが、賢い者なら今が逃げる時である」
「すーぱーうるとらはいぱーじゅのーかたぱるとを食らうし!」
「ほら、早くすーぱーなんたらかたぱるととやらをするであーる」
もはやお遊び同然。
誰がどう見ても、ジュノーの投げた小石がアローガンスにダメージを与えることはないと理解できた。
「ごっとびよんどいんふぃにてぃーすもーすすとーんだし!」
「さっきと違うであーる」
そんなやり取りを聞き流しながら、どのタイミングで攻撃を仕掛けるか、それだけを考えていた時だ。
「プルァッ!!」
アローガンスの顔面に向かって投げられたジュノーの小石。
それに合わせてキングが動き、小石ごとアローガンスの顔面をぶん殴っていた。
「──ッ!」
バカなやり取りで気が緩んでいたのか。
それとも傲慢ゆえに気が緩んでいたのか。
キングパンチは、クリーンヒット。
トウジと同じように壁に大穴を空けてアローガンスを吹っ飛ばした。
巨大な塔の左右には、でかい大穴が空いて今にも崩れそう……。
「プルゥ! これがスーパーなんたらの一撃だ。思い知ったか傲慢よ」
土煙の中、ぶっ飛ばした方向を見ながら呟くキング。
「ちょっとキングっち! 邪魔するなし!」
「……む? 隙を作ったんじゃなかったのか?」
「違うし! 本当にぶっとばすつもりだったんだし! もー!」
「……それはそれとして、早く飛び降りて主と合流するぞ。奴はあれくらいではくたばらない。すぐに戻ってくる」
「そうね、そうしましょ」
「な・が・す・な・し!」
流すなと言われても、誰がどう見ても隙をつく流れだったでしょ。
本気だったという衝撃事実はさておいて、逃げる隙ができたのは大きい。
浮遊結晶で浮かびながら、勢いをつけてこの場を離脱しよう。
ダンジョンコアだって、空は飛べない。
ガーディアンに乗ってくるのならば、動きも制限される。
「ほら、ジュノー! ここに入ってて!」
「もー……」
ジュノーを胸元にねじ込むと、キングたちとトウジがぶっ飛んだ方の壁へと走った。
「傲慢は転移を使ってここに戻ってくる。故に我はここで引き止める」
「了解!」
「王の中の王よ、イグニールたちは私が命を持ってしてでも守り通そう」
「頼んだ。では、我が全力で主の方角へとぶっとばすぞ」
……ぶっとばす?
いきなり物騒なワードね。
「どういうこと? 自分の爆発で推進力なら得られるわよ」
「我が全力でぶん殴った方が早い。ロイがクッションになるだろう。構えろ」
「いきなり私がクッションとは……しかし、無敵の効果も乗るし仕方ないか」
「……ちょっと怖いけど了解したわ。それが手っ取り早いものね」
トウジなら絶対に嫌がるシチュエーションだろうけど、私はやる。
だって早く合流したいもの。
「さすがは主の伴侶。夫婦とは、お互い足りない部分を埋めていくのが一番理想なものだ」
「ありがと」
お礼を言って、私たちはロイの体の中に包み込まれた。
スライムってひんやりしてて意外と気持ちいい。
「いつでもロイを小突け。無敵が発生した瞬間、我が全力で殴る」
「了解。それ」
「プルゥゥゥァァァアアアアアアアア!」
ロイの体を通じて、ものすごい衝撃波を感じ、私たちは射出される。
痛みは全くない。
すごいわね、無敵って。
「──逃がさんである! 貴様ら、一発と言いながら2発だったであーる!」
「──ッ!」
流れる景色が逆転した。
急に正面に躍り出たアローガンスにぶん殴られ、私たちは塔へと逆戻り。
「きゃあっ!?」
「わわああああああああああ~!!」
塔内部のあちこちにぶつかり、何回もバウンドし。
胃の中から何かがこみ上げる感覚。
激しい動きには慣れてるけど、これは少しキツい。
=====
スライムピンボール
次でイグニール視点ラストです。
ちょっと色々あって執筆の時間が取れず、変に間延びしてしまって申し訳ない。
次からはしっかり書ける時間を取ろうと思います。
「そんな小石、当たらないである」
トウジも言っていたように、ダンジョンの外に出たジュノーはそこまで強くない。
投げた小石も、小さな体の手に持てる程度なので砂利のようなものだ。
「いやむしろ避ける必要性皆無である」
言葉通り、私でもノーダメージで終わるだろう。
一矢報いたい気持ちはわかるけど、今はそんな時じゃない。
ロイの言っていたように、トウジと合流すべき。
「ジュノー! 危ないからこっちに来なさい!」
「やだ! 今はあいつが一発多いんだし! 返すんだし!」
「……あーもう」
こうなったら話を聞かない。
あの子、私と同じでトウジのことになると意地っ張りよね。
「ロイ、無理矢理にでもジュノーを連れていくわよ」
「承知した。ただ、先に奴の意識がジュノーに向いている状況をなんとかしなければ」
「私がなんとかする」
無詠唱でも全力で火柱作ればなんとかならないかしら?
結構な目くらましにはなると思う。
「アホ! バカ! センスなし! このー!」
「……仕方ないである」
トウジの煽り方に比べれば、赤子も同然なジュノーの言葉。
それを聞いて、アローガンスはため息混じりで言った。
「どうしても一発にこだわるのなら、一撃だけ我が受けるであーる」
「なら絶対動かないでね!」
「傲慢の名にかけて誓う。だが、賢い者なら今が逃げる時である」
「すーぱーうるとらはいぱーじゅのーかたぱるとを食らうし!」
「ほら、早くすーぱーなんたらかたぱるととやらをするであーる」
もはやお遊び同然。
誰がどう見ても、ジュノーの投げた小石がアローガンスにダメージを与えることはないと理解できた。
「ごっとびよんどいんふぃにてぃーすもーすすとーんだし!」
「さっきと違うであーる」
そんなやり取りを聞き流しながら、どのタイミングで攻撃を仕掛けるか、それだけを考えていた時だ。
「プルァッ!!」
アローガンスの顔面に向かって投げられたジュノーの小石。
それに合わせてキングが動き、小石ごとアローガンスの顔面をぶん殴っていた。
「──ッ!」
バカなやり取りで気が緩んでいたのか。
それとも傲慢ゆえに気が緩んでいたのか。
キングパンチは、クリーンヒット。
トウジと同じように壁に大穴を空けてアローガンスを吹っ飛ばした。
巨大な塔の左右には、でかい大穴が空いて今にも崩れそう……。
「プルゥ! これがスーパーなんたらの一撃だ。思い知ったか傲慢よ」
土煙の中、ぶっ飛ばした方向を見ながら呟くキング。
「ちょっとキングっち! 邪魔するなし!」
「……む? 隙を作ったんじゃなかったのか?」
「違うし! 本当にぶっとばすつもりだったんだし! もー!」
「……それはそれとして、早く飛び降りて主と合流するぞ。奴はあれくらいではくたばらない。すぐに戻ってくる」
「そうね、そうしましょ」
「な・が・す・な・し!」
流すなと言われても、誰がどう見ても隙をつく流れだったでしょ。
本気だったという衝撃事実はさておいて、逃げる隙ができたのは大きい。
浮遊結晶で浮かびながら、勢いをつけてこの場を離脱しよう。
ダンジョンコアだって、空は飛べない。
ガーディアンに乗ってくるのならば、動きも制限される。
「ほら、ジュノー! ここに入ってて!」
「もー……」
ジュノーを胸元にねじ込むと、キングたちとトウジがぶっ飛んだ方の壁へと走った。
「傲慢は転移を使ってここに戻ってくる。故に我はここで引き止める」
「了解!」
「王の中の王よ、イグニールたちは私が命を持ってしてでも守り通そう」
「頼んだ。では、我が全力で主の方角へとぶっとばすぞ」
……ぶっとばす?
いきなり物騒なワードね。
「どういうこと? 自分の爆発で推進力なら得られるわよ」
「我が全力でぶん殴った方が早い。ロイがクッションになるだろう。構えろ」
「いきなり私がクッションとは……しかし、無敵の効果も乗るし仕方ないか」
「……ちょっと怖いけど了解したわ。それが手っ取り早いものね」
トウジなら絶対に嫌がるシチュエーションだろうけど、私はやる。
だって早く合流したいもの。
「さすがは主の伴侶。夫婦とは、お互い足りない部分を埋めていくのが一番理想なものだ」
「ありがと」
お礼を言って、私たちはロイの体の中に包み込まれた。
スライムってひんやりしてて意外と気持ちいい。
「いつでもロイを小突け。無敵が発生した瞬間、我が全力で殴る」
「了解。それ」
「プルゥゥゥァァァアアアアアアアア!」
ロイの体を通じて、ものすごい衝撃波を感じ、私たちは射出される。
痛みは全くない。
すごいわね、無敵って。
「──逃がさんである! 貴様ら、一発と言いながら2発だったであーる!」
「──ッ!」
流れる景色が逆転した。
急に正面に躍り出たアローガンスにぶん殴られ、私たちは塔へと逆戻り。
「きゃあっ!?」
「わわああああああああああ~!!」
塔内部のあちこちにぶつかり、何回もバウンドし。
胃の中から何かがこみ上げる感覚。
激しい動きには慣れてるけど、これは少しキツい。
=====
スライムピンボール
次でイグニール視点ラストです。
ちょっと色々あって執筆の時間が取れず、変に間延びしてしまって申し訳ない。
次からはしっかり書ける時間を取ろうと思います。
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