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093 一人のボス戦
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そんなこんなで、オレは順調に『嘆きの地下墳墓』を進んでいった。
第三階層、第四階層、第五階層、と攻略していく。このダンジョンは、スケルトンとゾンビしか出現しない。あとはたまに出るスケルトンメイジくらいかな。
スケルトンメイジにさえ気を付ければ、あとは言っちゃ悪いが雑魚だ。そう感じられ程度には、オレも成長しているってことだな。
そんなわけで、わりとサクサク攻略してきたオレの目の前には、大きな扉がある。ボス部屋の扉だ。
「いよいよボスか……」
時計はないので正確にはわからないが、前回より少し遅いタイムで攻略はできたと思う。オレ一人で潜っていることを考えれば、まずまずだな。
空腹を感じるが、今食べるわけにもいかない。満腹では動きが鈍る。水だけ飲んで喉の渇きを潤す。
前回のボス戦では、上級生も戦闘に参加し、オレとジゼルはワイトに集中するだけでよかった。
だが、今回はオレ一人だ。ボスの取り巻きであるスケルトン四体、ゾンビ四体、スケルトンメイジ二体もオレ一人で倒す必要がある。
さすがに物量で押し潰されそうだが、オレにはある秘策があった。上手く機能してくれればいいのだが……。
「さて、行くか」
緊張はしている。だが、いい緊張感だ。
「ホーリーライト」
今まで温存していたホーリーライトも使い、準備万全だ。
オレは錆の浮いた扉に手をかけると、一気に押し開ける。
開けると同時に、ホーリーライトを頭上高くに押し上げて、魔力をつぎ込んでその光を強くする。まだ遠くは薄暗いが、これで部屋中を見渡せるようになった。これで視界の問題はクリアだ。
視界の先には、まずはスケルトンが横一列に並び、その後ろにゾンビも横一列に並んでいる。その後ろに守られているのがスケルトンメイジ。その後ろには、ダンジョンボスであるワイトの姿がある。
視界が確保できた瞬間、オレは口を開く。
「パニッシュ!」
発動するのは神罰の魔法、パニッシュ。対象に光属性のダメージを与える神聖魔法では数少ない攻撃魔法の一つだ。
その標的はもちろんスケルトンメイジ。こいつらは早めに片付ける必要がある。
右のスケルトンメイジが眩い光に包まれ、そのまま蒸発するようにその姿を消した。
やっぱりアンデッドに光属性のダメージは効果が抜群だな!
「パニッシュ!」
もう一度パニッシュを唱えると、今度は左のスケルトンメイジが消える。これで遠距離攻撃に怯える必要はなくなった。
「はああああああああああああああああ!」
そして、オレはスケルトンの集団に斬りかかる。
シールドバッシュでスケルトンを吹き飛ばし、片手剣で薙ぐ。途中からゾンビの集団も加わるが、問題はない。
ゾンビは動きが鈍いからね。慣れればスケルトンよりも楽な相手だ。
「せあっ!」
スケルトンとゾンビをまとめて薙ぎ倒す。
あとスケルトン一体、ゾンビ二体だ。
このまま倒してしまおうとしたところで、最奥にいたワイトが動き出した。
「来たか!」
さすがにワイトは動きが速い。普通の人間と遜色ないくらいだ。このままでは、ワイトが到着するまでにスケルトンとゾンビを倒しきれない。
「チッ。パニッシュ!」
オレは高速でバックステップを踏むと、スケルトンに向けてパニッシュを放つ。
スケルトンは抵抗も許されず、光に溶けるように消滅した。これで残りゾンビ二体とワイトだけだ。
「パニッシュ! パニッシュ! くっ!?」
残る二体のゾンビもパニッシュで消し去り、オレは危ないところでワイトが振り下ろした爪を盾で受け止めた。
これでワイトと一対一の状況が整ったな。
残りのMPはまだ十分にある。焦らずやっていこう。
「ふっ! せああっ! パニッシュ!」
ワイトの爪を盾で弾き、片手剣でワイトの爪を叩き斬る。そして、パニッシュでダメージを稼いでいく。ワイトは下手に斬ると毒の霧を溢れさせるからね。このまま剣で斬らずにパニッシュで倒してしまおう。
さすがにワイトは頑強だ。スケルトンやゾンビのようにパニッシュ一発では倒せない。
「パニッシュ! パニッシュ! パニッシュ!」
だが、オレは防御に意識を集中させ、攻撃はパニッシュを唱えればいい。前回はジゼルと二人がかりでやっとの相手だったが、今回はかなり余裕がある。
「パニッシュ!」
「UGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOooooooooooooooooooooooo……」
そして、何度目かのパニッシュを唱えると、ワイトは不気味な叫び声を残して光の中に消滅していった。
「ふぅ……。案外あっけなかったな」
ワイトの消えた空間を睨みながら、オレはそっと呟いた。
「クリアしたんだ……」
そして、ボス部屋の中央に木でできた宝箱を発見し、ふつふつと達成感を感じた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
なんとなく叫びたくなり、オレは片手剣を振り上げて叫ぶ。
見たか、主人公! オレだってやれるんだ!
ちなみに、ボスドロップのアイテムは槍だった。これはエロワにあげようと思う。
第三階層、第四階層、第五階層、と攻略していく。このダンジョンは、スケルトンとゾンビしか出現しない。あとはたまに出るスケルトンメイジくらいかな。
スケルトンメイジにさえ気を付ければ、あとは言っちゃ悪いが雑魚だ。そう感じられ程度には、オレも成長しているってことだな。
そんなわけで、わりとサクサク攻略してきたオレの目の前には、大きな扉がある。ボス部屋の扉だ。
「いよいよボスか……」
時計はないので正確にはわからないが、前回より少し遅いタイムで攻略はできたと思う。オレ一人で潜っていることを考えれば、まずまずだな。
空腹を感じるが、今食べるわけにもいかない。満腹では動きが鈍る。水だけ飲んで喉の渇きを潤す。
前回のボス戦では、上級生も戦闘に参加し、オレとジゼルはワイトに集中するだけでよかった。
だが、今回はオレ一人だ。ボスの取り巻きであるスケルトン四体、ゾンビ四体、スケルトンメイジ二体もオレ一人で倒す必要がある。
さすがに物量で押し潰されそうだが、オレにはある秘策があった。上手く機能してくれればいいのだが……。
「さて、行くか」
緊張はしている。だが、いい緊張感だ。
「ホーリーライト」
今まで温存していたホーリーライトも使い、準備万全だ。
オレは錆の浮いた扉に手をかけると、一気に押し開ける。
開けると同時に、ホーリーライトを頭上高くに押し上げて、魔力をつぎ込んでその光を強くする。まだ遠くは薄暗いが、これで部屋中を見渡せるようになった。これで視界の問題はクリアだ。
視界の先には、まずはスケルトンが横一列に並び、その後ろにゾンビも横一列に並んでいる。その後ろに守られているのがスケルトンメイジ。その後ろには、ダンジョンボスであるワイトの姿がある。
視界が確保できた瞬間、オレは口を開く。
「パニッシュ!」
発動するのは神罰の魔法、パニッシュ。対象に光属性のダメージを与える神聖魔法では数少ない攻撃魔法の一つだ。
その標的はもちろんスケルトンメイジ。こいつらは早めに片付ける必要がある。
右のスケルトンメイジが眩い光に包まれ、そのまま蒸発するようにその姿を消した。
やっぱりアンデッドに光属性のダメージは効果が抜群だな!
「パニッシュ!」
もう一度パニッシュを唱えると、今度は左のスケルトンメイジが消える。これで遠距離攻撃に怯える必要はなくなった。
「はああああああああああああああああ!」
そして、オレはスケルトンの集団に斬りかかる。
シールドバッシュでスケルトンを吹き飛ばし、片手剣で薙ぐ。途中からゾンビの集団も加わるが、問題はない。
ゾンビは動きが鈍いからね。慣れればスケルトンよりも楽な相手だ。
「せあっ!」
スケルトンとゾンビをまとめて薙ぎ倒す。
あとスケルトン一体、ゾンビ二体だ。
このまま倒してしまおうとしたところで、最奥にいたワイトが動き出した。
「来たか!」
さすがにワイトは動きが速い。普通の人間と遜色ないくらいだ。このままでは、ワイトが到着するまでにスケルトンとゾンビを倒しきれない。
「チッ。パニッシュ!」
オレは高速でバックステップを踏むと、スケルトンに向けてパニッシュを放つ。
スケルトンは抵抗も許されず、光に溶けるように消滅した。これで残りゾンビ二体とワイトだけだ。
「パニッシュ! パニッシュ! くっ!?」
残る二体のゾンビもパニッシュで消し去り、オレは危ないところでワイトが振り下ろした爪を盾で受け止めた。
これでワイトと一対一の状況が整ったな。
残りのMPはまだ十分にある。焦らずやっていこう。
「ふっ! せああっ! パニッシュ!」
ワイトの爪を盾で弾き、片手剣でワイトの爪を叩き斬る。そして、パニッシュでダメージを稼いでいく。ワイトは下手に斬ると毒の霧を溢れさせるからね。このまま剣で斬らずにパニッシュで倒してしまおう。
さすがにワイトは頑強だ。スケルトンやゾンビのようにパニッシュ一発では倒せない。
「パニッシュ! パニッシュ! パニッシュ!」
だが、オレは防御に意識を集中させ、攻撃はパニッシュを唱えればいい。前回はジゼルと二人がかりでやっとの相手だったが、今回はかなり余裕がある。
「パニッシュ!」
「UGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOooooooooooooooooooooooo……」
そして、何度目かのパニッシュを唱えると、ワイトは不気味な叫び声を残して光の中に消滅していった。
「ふぅ……。案外あっけなかったな」
ワイトの消えた空間を睨みながら、オレはそっと呟いた。
「クリアしたんだ……」
そして、ボス部屋の中央に木でできた宝箱を発見し、ふつふつと達成感を感じた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
なんとなく叫びたくなり、オレは片手剣を振り上げて叫ぶ。
見たか、主人公! オレだってやれるんだ!
ちなみに、ボスドロップのアイテムは槍だった。これはエロワにあげようと思う。
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