美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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イケオジと再会

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 「え、所長辞めたんですか?!」

  会社に着いて、いつもいるはずの上司が不在。休みなのかと思ったら、そうじゃなかった。

「そう、今、本部から連絡あって、不正に伴う解雇処分だって!」

 「不正?」

  Ririririririr♪♪

  営業もオペレーターも驚きを隠せずに、所長が一人で背負い込んでいた仕事の対応にてんやわんや。

「お電話ありがとうございます。piece広告の村戸でこざいます、はい、えーと、実は所長の川瀬は昨日を持ちまして……」


「申し訳ありません、ご依頼の要件、すぐに引き継ぎにかかりますのでっ!」

  所長は、横領を働いていたらしい。


 「ネットバンキングで自身の隠し口座に会社の金振り込んでたらしーよ」

「へぇ、経理雇わないのはそういう理由があったんだな、で、アイツ告訴されるの?」

「金額が200万くらいなんだって。会社も刑事告訴しよーか悩んでるみたいだよ」

  営業マン達の話から、ニュースなんかで良くある横領事件と同じで、所長はキャバクラに注ぎ込んでしまったとのこと。

「家族カワイソーだよな」

 ええ、本当に。
  散々人の事、男居ないって馬鹿にしてたのに、
  自分は会社の金で女遊びして憂さ晴らし。

  そんな人が夫だったり父親だったりしたら、私も泣くわ。
 この繁忙期の九月に辞められて、仕事的にはダメージ大だけど。
  大きく吸い上げた事務所の空気が、いつもより美味しく感じるのは、所長の口臭がないからなのね。

 仕事はめちゃくちゃ忙しくなったけれど、何となく清々しい気持ちでPCに向かった。
 ちょっと冷たい?
 こんなんだから、男、誰も寄ってこないのかな。

  
  その事件発覚から数日後には、本社の方から、所長代理として営業部長が臨時赴任することに決まる。

「めっさ、やり手らしーよ」
「本社の経常利益って言われてるらしい」

「なにそのあだ名」

 臨時ではなく、もしかしたら、ずっと居座るかもしれない本社からの差し金に、今まで温かった事務所の空気は、やや緊張感が漂っていた。


  「汚い事務所だなぁ」

  その″ 経常利益 ″ と呼ばれる部長は、事務所に入ってくるなり、ムッとくるダメ出しをしてきた。

「おはようございます、ここ、古い事務所ですので」

 私は、そちらを振り向くこともなく客間のテーブルやデスクを拭いていた。


「築年数の問題じゃないんだよ。 ″ 後藤、ま、まさ″ ?  」


  いきなり間違ったフルネームで呼ばれて、思わず見てしまった部長の顔に、見覚えがあった。

 「あれ……?」

 眼鏡かけてるけど、かなりのイケメン中年。

 そうだ、このひと、


「後藤  あきらか、男みたいな名前してんな」


 【Virtue】のライヴで、私を支えてくれたイケオヤジだ!


「今日から赴任する、月山  おさむです。宜しくな、後藤さん」




























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