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お見舞い?
しおりを挟むインターホンのベルが鳴っている。
こんな朝から誰?
「すみません、体調優れなくて電話一旦切りますね、失礼します」
急いで会社への電話を切り、覗き穴から訪問者を確認すると、
「えっ?!」
嘘っ!!
驚きのあまりに思わず後退り。
う、うちの前に、 ″ 経常利益 ″ が 不機嫌な顔で立っている。
何でここに来てるの?
社員の住所なんて皆探せるでしょうけど、仕事中に何しに?
まさか叱りに??
いやいや、このセクハラ上司にそんな資格はない。
なら、謝罪?
よく見ると、月山さんの手には紙袋がぶら下がっている。
わざわざ手土産持ってきた? しかし、 なんか可愛くない紙袋。センスがない。やっぱり中年は中年ね。
若い女に好かれる類いも良く分からないのかもしれない。何せ、あっちだから。
そう思うと、覗き穴から見えるアラフォー男の憂いを含んだ顔に哀愁を感じてしまって、止せばいいのに、ドアを開けて出てしまった。
「……おはようございます」
隙間から挨拶をするも、
「おはよう。顔色いいな。やっぱり、ふてぶてしく仮病か」
むっ。言い方。
「……さよなら」
すかさずドアを閉めにかかる。
――やっぱり開けるんじゃ無かった。
「あーっ、待て待て! ちょっと初日にからかい過ぎたこと反省して出て来てるんだから閉めるな!」
「反省……?」
本当に?
「そ、調子に乗った。近くに【Virtue】の、しかも同じヨシ推しのファンがいてテンション上がってたんだ」
「そんな風に感じませんでしたけど」
「娘みたいな年の女の子が夢ばかり見てるから少し心配になったんだよ」
けっ。
「月山さん、娘さんいましたっけ?」
「いや」
「独身ですもんね」
しかし、嘘っぽい言い訳をする月山さんの顔は笑ってはいない。
なんだか、ちょっと輝いた視線の先は、
「本当にあのバンドの事が好きなんだな、後藤って」
私の部屋に貼られていた、レコード店で予約特典でもらった店舗用のポスター。
誰も彼も持っていない貴重なものだ。
「……はい」
それに気付くあたり、この人も、本当に【Virtue】のことが好きなのね。
(なんか違和感あるけど)
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