美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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会いたい

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 夕方6時、帰宅中。

 「もしもし?  俺」

なんとヨシから久し振りに電話がかかってきた。

「……ヨシ?……どうしたの?」

 私の事、解放したんじゃなかったの?

「あー、別に。……元気かな、と思って」

 人の事、気にしてる場合じゃないでしょ。

「……元気では、ないよ」

「何かあったのか?」

 「……うん」

「仕事? それとも男関係?」

 元々、企画書にさりげなくヨシの名前を書いていたのは私で、それが無ければクライアントの目に止まることもなかった……。
 それなのに、私だけ何のお咎めなしだなんて……。
   

「それ、話さなきゃいけないの?」

「……いや」

 元はと言えば、このヨシが仕事をドタキャンなんてするから。

 干されて気の毒だとは思うけど、自業自得でもあるのだから、甘い顔をしてはいけないような気がした。 


「なあ」

「はい?……」

 もうすぐ、駅につくところだった。

「最近、どうよ?」
 
「だから何が?」

「顔、少しは良くなった?」
   
「はいっ?」

 電話じゃなければ殴ってやろうかと思った。


 「残念ながら整形とかしてないので、顔はご覧の通りこのまんま地味顔ですっ」

 久し振りに掛かってきたと思ったら何なの?
 心配して損した!

「ご覧の通りって、この電話じゃ分かんないだろ?」

「……そうですけど、で、用件は?」

「……」

……シ……ン……

 あれ? なに、この沈黙。

「……ヨシ……?」

 何も返ってこない電話を切るわけもいかず、自然と歩く速度を緩めて、何となく空を見た。

「うわ……」

 すっかり日が落ちるのが早くなったこの頃。
ビルとビルの間に見える夕陽が、暗闇に姿を消す瞬間を目にする。

 真っ赤になった空はとてもキレイで、怖いくらい。

「ヨシ、外見えてる?  夕焼けがめっちゃキレイだよ」

 ヨシにそれを見せたくなった。

「……お前、夕焼けとか 見てんの? 」

 あ、今、ちょっと馬鹿にした?

「ええ、ええ、見てますよ! 口開けてアホ面で」

 こんな獣が夕陽なんて見るわけないか。一人ロマンチックに浸った事を恥ずかしくなっていると、


「その顔、見たいんだけど」

「え」 

「夕焼け見てるお前の顔を見たいんだけど」

  獣が、また、らしからぬ事を言ってきた。


「会いたいんだよ」

















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