美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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 私は、ヨシと付き合っているということになるんだろうか?

 あんなに熱狂的に追いかけ回していたアーティストと、こんな夢みたいな事あっていいんだろうか?

 横浜のデートのあと、しばらくは経験もしたことのない充実感に浸れていたのだけれど、


「月山さん、福岡支店に飛ばされるって」

 私の心を、確かに、一番、占めていた月山さんが、うちの営業所に立ち寄って、その心は、また大きく揺れた。


  噂によれば、Kシリーズの売上が思ったほど上げられなかった場合、その責任として広告代理店側(社員、親戚、知人)に商品をノルマとして購入させる旨の提案を、月山さんが断ったことから左遷の話が上がったらしい。

 今回がダメでも、次の広告の出稿が欲しかった本社の意向と食い違うものかあったようで、

「ま、月山さんらしいって言えばらしいよな」

 加納を始め、うちの営業所の人間は、自分達に災難が降りかからないことを喜んでいた。


――――


 Riririri!

 昼休み、寧々からまた電話が掛かってきた。

「ねぇ! Virtueの活動停止、いつまでなのよ?」

 「……いつまで って私に聞かれてもわかんないわよ。Virtueのマネージャーじゃないんだから」

 バンド自体は、別に停止してるつもりはないと思うんだよね。
 ただ、常に何かを叩きたがってる世間が、彼らの活動を阻んでるんだよ。

 給湯室で、汚れた湯飲みを漂白剤に浸けながら電話を続ける。

「晶は、マネージャーじゃなくて、″ 女 ″ でしょ?ヨシの!  」

「……な、なに言ってるの?」

 親友の突っ込みに、本当は、″ ウン ″と言いたい。
プロポーズまでされてるって、自慢したい。

「いい加減白状しないとマジであんたとは縁切るからね! ヨシがまたお手て繋いで横浜赤レンガ倉庫でデートしてたってバンキャの間じゃもっぱらの噂なんだから!」

ドキッ!!

 えー、そこまで見られてるの!

 手は繋いでなかったけれど、バンギャの目と耳は本当に侮れない。


「そ、それはきっとヨシのソックリさんだよ、あのヨシがそんな俗っぽい場所でデートなんかするわけないじゃない。ヨシならきっと高級ホテルのスイートルームでブルーチーズつまみにシャンパンで乾杯デートしてるよー」

 本当に、この間まではそうイメージしていた。

「どこの貴族だよ? これだから恋愛経験ゼロの女の妄想は痛いってのよ」

 ……あろうことか、ヨシと同じツッコミをされる。

「と、取り合えず、Virtueの今後の事なんてわからないし、メソメソ弱気な上司が転勤されるらしくて今会社大変だから電話切るね!  バイバイ!」

「ちょっ、晶、あんた、いっつも……」

 ブツッ!!

 いつか、何でも話せる時が来たらいいね、我が親友よ!
 電話を切ると、


「俺がいつメソメソしたよ?」

 また、背後から、給湯室に月山さんが現れた。
















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