美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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飲み会

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―――

 「やっぱり、冬は鍋よねぇ」

 飲み会は、居酒屋の一階を貸し切って行われた。
 本山さんのお酒が進んでいる。幹事なのに、大丈夫なのかと心配になるほど。

「専務、日本酒頼みましょうか? 常務は、麦焼酎がお好きでしたよね?」

 もう一人の幹事の飯田くんは、本社のお偉方に気を使いまくって大変そう。
 そのお偉方は、月山さんと戸崎さんを囲むように席に着いていた。

「戸崎くんの研修の成果で、本社の女子社員の雰囲気が変わったんだよー」

 今日もミニスカートの彼女の太股に、オッサン達の目は釘付けだった。

「分かりやすいキャスティング指導もだけど、みんな君のように女っぽくなってきてねぇ」

 それ、会社としてはどうなのよ?
 隅っこでチビチビ飲みながらも、月山さん周辺の話は気になって仕方ない。

「君が、後藤さんだよね?」

 本社の方から、一人、半分空いたグラスを片手に私の横に座り出した。
 本部庶務の課長だ。

「は、はい、DTPオペレーターの後藤と申します」

 一番ぺーぺーの私は、この人とは、入社式の時に顔を合わせた位でよく知らない。

「Kanedoの企画書作って、出稿まで持って行った期待の新人だよねぇ」

「え、め、めっそうもない」

 今、それの問題で大きな人事異動が起きてるのに、イヤミですか?

 御酌はおねえさん達に任せて、一人食い気に走ろうとしていた私は、慣れない緊張に一気に居心地が悪くなる。

「いや、月山のスキャンダルが無きゃ、今回のプロジェクトは大成功だったんだ、それをあの女ったらしが……」

 え? え?

 月山さんの上層部からの評価は物凄く高かったはずなのに、こんな言い方するの?

 既に酔ってるのだろうが、こんな本音は聞きたくない。

「君も、あいつに妊娠させられて、捨てられないようにね」

 私も、私の近くにいたオペレーター達も、えげつない課長の発言に固まっていた。

「な、なんて事言うんですか?」

 笑えない。

 ゴシップネタをそのまんま受け止めた発言に、ビールを頭からかけてやろうかと思ったほど。

「え? だって、あれだろ? あのオカマみたいなロックバンドの奴のファンだった君を、父親面して口説いていたって誰か言ってたぞぉ?」

 オカマ……。
 酷すぎる。

 一体、誰がそんなこと……。


「遅れましたー、加納ただいま、namboから戻りましたー」


  そこへ、もう一人の主役が飛び込んできた。ゲーム宣伝の仕事を勝ち取った加納。

 ……そーか、こいつか。
 本社で月山さんのこと吹いたの。

「えー、加納さん、二次会から参加だって聞いてたのにー♪」

うちの女子社員は大喜び。

「いやいや、出来る奴はクライアント相手でも仕事を長引かせないんだよ、あ、常務、お疲れさまです! 遅くなってすみませーん!」   


 わざと遅れてきたんじゃないの?  と思うほど鼻につく加納の言動。
 本当に媚びるよね、この人。


「あ、それと他にも聞いたなぁ、後藤さんの噂」

「え?」

 課長がまだ、私の横で飲み続けているので、仕方なく空になったコップにビールを注いでいると、

「君ー、処女らしーねー」

 完全なるセクハラ発言までしてきた。

 これも、絶対、加納だろう?!










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