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玩具
セフレ
しおりを挟む学校で見かける先輩は、いつも誰かと一緒だった。
相手が男でも、女でも。
先輩が一人のところは見たことなくて、明るい人なのかと思いきや、見かけるその顔はあんまり楽しそうじゃなくて。
ただ、一人でいるのが寂しい人なのかぁ、と。
勝手にそう思っていた。
先輩が唯一、一人でいる時間。
朝の登校の道中。
私は、美徳先輩がいつも通ってくる道で傘をさして待っていた。
突然降った、冬の雨。
今にも雪に変わりそうな雨。
そこに、濡れた美徳先輩が現れた。
雨に打たれて、走る様子もなく、悠々と歩いている。
「美徳先輩」
「……なんだ、また、あんたか」
もう、どうせ、パンツも見られてることだし、ダメ元でもいいから、告白だけはして撃沈してみようと決めた。
それなのに、
「付き合うの、いいよ。全然」
噂通り、私なんかでも受け入れてくれる。
「ほ、ほんとうに?」
信じられなかった。
私、先輩の彼女になれる。
そう思って、ドキドキしてたのに、
「うん、セフレとしてならね」
優しい微笑みで、私の心を、どしゃ降りにした。
「セフレ……ですか?」
この人、私と同じ高校生だよね?
なんでこんな大人みたいなこと言うの?
いつの間にか傘を持ってくれて、相合い傘までしていた美徳先輩の側から思わず離れる。
「それ以外で女と付き合うつもりはないよ。俺は、女は男の捌け口だと思ってるから」
わかった、こんなんだから、みんな先輩と付き合っても続かないんだ。
「せ、先輩は人を好きになったりしないんですか?」
今まで付き合った数多くの女の子の一人くらいは……。
「ないな、みんな、ヤリ○ンだったし」
キレイな顔から飛び出してくる下品な言葉。
「お前、どう見たって処女みたいだけど、実際はどうなの?」
またまたデリカシーのない言葉。
連日受けるショックで、雨の冷たさも吹き飛んだ。
「……いいです、やっぱり」
「ん?」
「告白、撤回します」
もう、恋なんてしない。
「あ、そ」
「さようならっ!」
ーーこんなに濡れる傘ならいらない。
先輩に傘を持たせたまま、私は学校へと全力疾走した。
セフレなんて、絶対に無理だ。
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