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玩具
捕獲
しおりを挟む″美獣″ と呼ばれる美徳先輩の、″獣″ って、そっちの獣だったんだね。
どこが動物っぽいんだろう? なんて思ってた。
「奏、どうしたの? 」
びしょ濡れで登校してきた私に、美嘉がタオルを渡してくれた。
「美嘉……」
「……?」
「告白したけど、」
「けど?」
「セフレでしか無理だって……」
口に出すのも恥ずかしい言葉。
「やっぱり、そういう男だったんだ!! 女の敵じゃん!!」
美嘉の声が教室に響いて、とても恥ずかしかった。
「……うん、でも本当になんで、女子の間で悪口とか言われないんだろ?」
「不良だからじゃない? いっつも悪そうなのとつるんでるし」
「……それだけかなぁ」
「きっと、裸の写真とか撮られて脅されてるんだよ!」
「は、裸っ!?」
「だから、怖くて過去の女たちは噂さえも許されてないのかもよ?」
美嘉の妄想は飛びすぎだけど、確かに美徳先輩は、怖い顔をたまにする。
不機嫌な顔で廊下を歩いているのを何度か見たもの。
「顔だけがいい不良とセフレになる女子こそ問題あるのかも。奏が弄ばれなくて良かったよ」
「う、うん……」
告白、撤回してよかった。
もう、危ない人に関わるのは止めよう。
……と、決意はしたものの。
「美徳先輩がギター引いてたよー、軽音部で♪」
「へぇ!ヨシ先輩ってボーカルじゃないんだ!」
放課後、他の女の子が、先輩を見てキャーキャー言ってると、やっぱり気になって、私の視線もその背中を追ってしまう。
細い、そして、また、背が伸びてる……。
髪も伸びてるなぁ、さらさらだけど、校則違反だよ。
一度でいいから、直に触ってみたかった。
未練がましく、他の女の子に混じり軽音部を覗いていると、
「おっ!ストライプ!」
背後から声をかけられた。
「あ……」
「やっぱり、そーだ! ストライプのパンツの女!」
一番会いたくない、スカートめくりの金髪。
……と、その仲間。
「ヨシのこと、見てんの? 飽きないのかよ? いっつもいっつも」
「……見てないです、さようなら」
やっぱり、近寄るんじゃなかった!
「あー、待て待て! 良いこと教えてあげるから!」
後悔先に立たず、あえなく捕獲され。
「ヨシのこと、今でも好きなんだろ?」
「えっ」
赤面する私。正直過ぎる。
腕をとられ、軽音部の隣の視聴覚室へと引っ張られてしまった。
「……なんですか? あんまり良いことの予感しないんですけど」
「あいつの弱点教えてやろーか?」
「はい?」
金髪男が、ほそい目を更に細めてニヤリと笑う。
「あいつ、ああ見えて、ドMなんだぜ?」
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