同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編非公開中】

光月海愛(こうつきみあ)

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夢ならさめないで

夢見るように愛に溺れたい

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 ✲ ✲

 翌日。
 神城くんは脳ドッグを終えて退院。
 検査結果は異常なし。
 その足で、まっすぐに胡桃に会いに来た。

「………あ、起きてる」

 夕飯前だったからか、胡桃はベビーベッドでしっかりと目を開けていた。吊り下げ式の回るオモチャから、覗き込む神城くんに視線を移した。

「はじめまして。あなたのパパです」

 神城くんが挨拶をすると、胡桃がキャッキャッと声を立てた。

「わ、笑った!」

「最近、すぐに笑うの。抱っこしてみる?」

 神城くんは、恐縮したように首を横に振った。

「怖い」

「大丈夫よ。もう首も座ってるから」

「壊れない?」

「どんだけ馬鹿力なの」

 まず私が胡桃を抱っこして、彼の腕に慎重に託す。
 胡桃がいきなりゲップをした。

「う……わー。生きてるんだなぁ……息が温かったよ」

 赤ちゃん見たことないのかなってくらい、感動の仕方が面白い。

 とても幸せな時間なのに。
 神城くんが急に泣きそうな声を出した。

「……夢じゃ、ないんだな……」

「え?」

「いや。俺、胡桃の存在知ってから、良く夢見てたから。こうやって抱っこできるの。夢だけじゃ物足りなくて、バーチャルベビーまで作ってたよ」

「これは現実よ」

 夢でも、仮想世界でもない。
 私と神城くんが生み出した、リアルな世界。

「改めて、産んでくれてありがとう」

 胡桃を抱っこしながら、私を見つめる彼の目が濡れている。
 そんな目で見ないで。
 私まで泣きそうになるから。
 自身の手からそっと胡桃をベッドに戻した神城くんが、私の側に寄ってきた。

「お姉さんと甥っ子は?」

「気を利かせて外でご飯食べてくるって」

「そっか。じゃあ二人きりか」

「三人ね」

「あ、うん。だね。……キスしていい?」

「胡桃見てるよ」

「構わない」

 と、言いながらも片方の手で胡桃の目を覆い、
私を抱き寄せる。
 唇が重なると、その久しぶりの熱い感触に顔から溶けそうになった。

 ずっとこうしたかった。
 
 私だって夢で何度も見た。

 だけど、夢ではこんなに温かな気持ちにはなれなかった。
 夢の中なのに、これは夢なんだって目が覚める前に気が付いてしまうから。

「これから、多分色々あると思うけど、よろしくな」

 唇を離した神城くんが、耳元で囁く。

 そうだね。
 私の両親にも話さないといけないし、彼のお父さんにも会わないといけない。
 会社でも知られてしまうし、身分違いだと騒ぐ人もいると思う。

 それでも、いい。
 こうやってそばに居られるなら。

 頷いて、今度は私が彼を抱きしめる。

 愛しい温もり。

 匂い。

 甘い囁き。


「愛してる」

 
 


 ―――夢なら、どうかさめないで。








【同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)】

 END








 ※たくさんの♡ありがとう御座いました。
 目標の24hポイント2000いきましたので、ショートストーリー&あとがきを書かせて頂きたいと思います。
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