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3.成長
170.まだまだ終わらなかった夏
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「千陽、少しは寂しさは紛れたの?」
佐藤さんは相変わらずそっぽを向いている。
「全然」
その言葉に、私は苦笑する。
…けっこう頑張ったんだけどなあ。
「あっそ。…んじゃ、帰るよ」
永那ちゃんが眼鏡をかけて、立つ。
私が部屋を出ると、佐藤さんと永那ちゃんも出る。
誉は遊んでいたゲームを片付けて、テレビを見ていた。
私達が出てきたから、誉も立ち上がって、玄関まで見送りに行く。
佐藤さんは、永那ちゃんの腕を掴んでいたけど、引っ付くというほどではなかった。
…多少は満たされたって判断してもいいのかな?
2人が帰った後、私は部屋に戻って、マイクロビキニとやらを脱いだ。
明日もこれを着ていなければならないと思うと、少し憂鬱な気持ちになる。
永那ちゃんのお仕置きって、少し過激…。
私の知らないことをどんどんされて、心も頭も追いつかない。
…昨日は失神してしまったし、私の体、本当にもつのかな。
というか、私、永那ちゃんみたいにアンダーヘアを剃ったほうがいいのかな?…なんて思う。
マイクロビキニを着させられたとき、毛がはみ出ていたのが、すごく恥ずかしくて、永那ちゃんにじっくり見られたくなかった。
私はしばらく考えて、端のほうを試しにハサミで切ってみた。
また考えて、決心する。
バサバサと長い毛を切っていく。
後で、お風呂でちゃんと剃ろう。
翌朝。
永那ちゃんはすんなり着せてくれたけど、自分で着るとなると少し難しくて、着るのに時間がかかった。
ちょうど襟がついているから、初めてデートした日に永那ちゃんが選んでくれて買った、ベージュのくるみボタンのシャツを着た。
やっぱり、ブラとショーツじゃないから、すごく違和感がある。
外に出ると、暑いからスースーなんてするはずもないのに、心なしかスースーする気がした。
守られてないって、こんなに心許ないのだと、初めて知る。
少し家を出るのが遅くなったから、永那ちゃんを待たせてしまった。
でも彼女は気にする素振りもなく、むしろ楽しそうに笑っていた。
「明日で夏休みも終わりかー…あっという間だったなあ」
永那ちゃんがベッドに寝転ぶ。
「こんな夏休みなら、ずっと夏休みがいい」
私は彼女の横に座って、頭を撫でる。
永那ちゃんは上半身を起こして、私の太ももに頭を乗せた。
「ああ。いいな、これ」
目を閉じて、そのまま眠ってしまいそうだった。
「え、永那ちゃん…寝ちゃうの?」
彼女は片目を開けて「ん?」と聞く。
「今日…その…」
彼女を見るけど、微笑むだけで、何も言わない。
「シないの?」
「シたいの?」
私は自分の胸元に視線を落とす。
前に永那ちゃんは、私に“シたいって言われたい”と言っていた。
佐藤さんとのこと、“悲しかった”とも言っていた。
永那ちゃんにとって安心できる存在でありたいのに、そうなれていない自分が嫌になる。
だから、こんなことしかできないけど、彼女の願いを、1つでも叶えてあげたい。
「シたい」
顔が熱くなるのを感じながら、永那ちゃんを見つめた。
彼女は嬉しそうに笑う。
「永那ちゃんと…シたいよ」
もう一度言うと、彼女が体を起こした。
唇が重なって、少し離れて、もう一度重なる。
彼女が少し乱暴に私の頬を包む。
歯がぶつかることも気にせず、彼女の舌が奥までねじ込まれる。
彼女の両手が耳に触れて、そのまま顳顬まで移動する。
髪をくしゃくしゃに掴まれる。
私は目をギュッと瞑ったまま、必死に彼女に応えようとする。
彼女が膝立ちになって、自然と私は上を向く。
荒い吐息が混じり合う。
彼女の舌が引っ込む。
私はそれを追いかけて、彼女のなかに入っていく。
彼女の首に腕を回して、おいていかれないように。
時間も忘れて、私達はお互いを求め合う。
この時だけは、私達だけのものだと確かめ合うように。
唇が離れる頃には、お互いのそれが、ふやけて皮がめくれていた。
やっといつもの、楽しげな笑顔を見せてくれた永那ちゃんに、ホッとする。
「リップ塗る?」
私が立ち上がろうとすると、手を掴まれた。
「まだ、いい」
彼女の縋るような視線に捕らわれて、そのまま私はまた彼女に口付けする。
触れ合うだけの、キス。
額が合わさって、お互いに目を閉じる。
「大好きだよ、永那ちゃん」
彼女が嬉しそうにフフッと笑った。
「私も、穂が大好き」
永那ちゃんが離れて、枕をヘッドボードに立てた。
私は手を引っ張られて、そこに座らされる。
彼女が私の肩を撫でる。
ジッと上から下まで見られて、服を着ているのに、なんだか恥ずかしい。
永那ちゃんが、どう服を脱がすか考えているのが、わかる。
だから、あのことを自ら言おうか、思案する。
ドクドクと心臓が音を立て始める。
「穂?」
私が何かを考えていることにすぐ気づかれる。
永那ちゃんの瞳が不安そうに揺らぐ。
…そんな顔、しないで。
私は、永那ちゃんを喜ばせたいだけなのだから。
口角を上げて、彼女を上目遣いに見る。
すると彼女の瞳が疑問の色に変わるから、安心して、頬が緩む。
佐藤さんは相変わらずそっぽを向いている。
「全然」
その言葉に、私は苦笑する。
…けっこう頑張ったんだけどなあ。
「あっそ。…んじゃ、帰るよ」
永那ちゃんが眼鏡をかけて、立つ。
私が部屋を出ると、佐藤さんと永那ちゃんも出る。
誉は遊んでいたゲームを片付けて、テレビを見ていた。
私達が出てきたから、誉も立ち上がって、玄関まで見送りに行く。
佐藤さんは、永那ちゃんの腕を掴んでいたけど、引っ付くというほどではなかった。
…多少は満たされたって判断してもいいのかな?
2人が帰った後、私は部屋に戻って、マイクロビキニとやらを脱いだ。
明日もこれを着ていなければならないと思うと、少し憂鬱な気持ちになる。
永那ちゃんのお仕置きって、少し過激…。
私の知らないことをどんどんされて、心も頭も追いつかない。
…昨日は失神してしまったし、私の体、本当にもつのかな。
というか、私、永那ちゃんみたいにアンダーヘアを剃ったほうがいいのかな?…なんて思う。
マイクロビキニを着させられたとき、毛がはみ出ていたのが、すごく恥ずかしくて、永那ちゃんにじっくり見られたくなかった。
私はしばらく考えて、端のほうを試しにハサミで切ってみた。
また考えて、決心する。
バサバサと長い毛を切っていく。
後で、お風呂でちゃんと剃ろう。
翌朝。
永那ちゃんはすんなり着せてくれたけど、自分で着るとなると少し難しくて、着るのに時間がかかった。
ちょうど襟がついているから、初めてデートした日に永那ちゃんが選んでくれて買った、ベージュのくるみボタンのシャツを着た。
やっぱり、ブラとショーツじゃないから、すごく違和感がある。
外に出ると、暑いからスースーなんてするはずもないのに、心なしかスースーする気がした。
守られてないって、こんなに心許ないのだと、初めて知る。
少し家を出るのが遅くなったから、永那ちゃんを待たせてしまった。
でも彼女は気にする素振りもなく、むしろ楽しそうに笑っていた。
「明日で夏休みも終わりかー…あっという間だったなあ」
永那ちゃんがベッドに寝転ぶ。
「こんな夏休みなら、ずっと夏休みがいい」
私は彼女の横に座って、頭を撫でる。
永那ちゃんは上半身を起こして、私の太ももに頭を乗せた。
「ああ。いいな、これ」
目を閉じて、そのまま眠ってしまいそうだった。
「え、永那ちゃん…寝ちゃうの?」
彼女は片目を開けて「ん?」と聞く。
「今日…その…」
彼女を見るけど、微笑むだけで、何も言わない。
「シないの?」
「シたいの?」
私は自分の胸元に視線を落とす。
前に永那ちゃんは、私に“シたいって言われたい”と言っていた。
佐藤さんとのこと、“悲しかった”とも言っていた。
永那ちゃんにとって安心できる存在でありたいのに、そうなれていない自分が嫌になる。
だから、こんなことしかできないけど、彼女の願いを、1つでも叶えてあげたい。
「シたい」
顔が熱くなるのを感じながら、永那ちゃんを見つめた。
彼女は嬉しそうに笑う。
「永那ちゃんと…シたいよ」
もう一度言うと、彼女が体を起こした。
唇が重なって、少し離れて、もう一度重なる。
彼女が少し乱暴に私の頬を包む。
歯がぶつかることも気にせず、彼女の舌が奥までねじ込まれる。
彼女の両手が耳に触れて、そのまま顳顬まで移動する。
髪をくしゃくしゃに掴まれる。
私は目をギュッと瞑ったまま、必死に彼女に応えようとする。
彼女が膝立ちになって、自然と私は上を向く。
荒い吐息が混じり合う。
彼女の舌が引っ込む。
私はそれを追いかけて、彼女のなかに入っていく。
彼女の首に腕を回して、おいていかれないように。
時間も忘れて、私達はお互いを求め合う。
この時だけは、私達だけのものだと確かめ合うように。
唇が離れる頃には、お互いのそれが、ふやけて皮がめくれていた。
やっといつもの、楽しげな笑顔を見せてくれた永那ちゃんに、ホッとする。
「リップ塗る?」
私が立ち上がろうとすると、手を掴まれた。
「まだ、いい」
彼女の縋るような視線に捕らわれて、そのまま私はまた彼女に口付けする。
触れ合うだけの、キス。
額が合わさって、お互いに目を閉じる。
「大好きだよ、永那ちゃん」
彼女が嬉しそうにフフッと笑った。
「私も、穂が大好き」
永那ちゃんが離れて、枕をヘッドボードに立てた。
私は手を引っ張られて、そこに座らされる。
彼女が私の肩を撫でる。
ジッと上から下まで見られて、服を着ているのに、なんだか恥ずかしい。
永那ちゃんが、どう服を脱がすか考えているのが、わかる。
だから、あのことを自ら言おうか、思案する。
ドクドクと心臓が音を立て始める。
「穂?」
私が何かを考えていることにすぐ気づかれる。
永那ちゃんの瞳が不安そうに揺らぐ。
…そんな顔、しないで。
私は、永那ちゃんを喜ばせたいだけなのだから。
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