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5.時間
260.修学旅行
■■■
“味わって”と言われて、彼女の指についた蜜を舐めてから、彼女から手を差し出されるようになった。
“3人でする”
私にはまだそのことが、どういうものなのか、全然わからない。
でも…やっぱり、彼女がひとりでするのを見るのは少し悲しくて。
私が彼女にシてあげることで永那ちゃんが悲しむなら、やっぱり、永那ちゃんが彼女を愛してあげてほしいと思ってしまう。
彼女から手を差し出されるようになって、余計に、その気持ちが強まった。
千陽には、それを“バカ”と言われたけれど…。
私、欲張りなのかな。
“いつか離れる”と言われて、私、“絶対嫌だ”って思ってる。
千陽が…幸せになるのは、嬉しい。
私達以外の人と心から繋がって、幸せになるのなら、喜べる自信がある。
でも、離れてほしくない。
ずっと、一緒にいたい。
永那ちゃんにも思う。
絶対、手放したくないって。
…それって、欲張り、だよね。
どうしてそんなふうに思うのか、自分でもわからないから戸惑う。
千陽の寝息が聞こえてきて、気づけば私も眠っていた。
アラームの音で起こされる。
目を開けると、彼女もちょうど目を開けたところだった。
彼女が笑う。
「好き」
「可愛い」
同時に言って、笑い合う。
彼女の顔が近づいて、唇が重なる。
「ねえ、永那からあたしに乗り換えない?」
「だめ」
彼女からの愛は、相変わらず熱烈で。
むしろ、どんどん増している気さえする。
“浮気者”と言われて、私が落ち込んでいたら“そうやって言い合える関係のほうが、気が楽でしょ”と言われた。
だからこういう言葉も、そのうちのひとつだと思っている。
…思って、いいんだよね?
みんなで朝ご飯を食べて、登校する。
「穂の家からだと近くて楽」
「“空井さん”じゃなくていいの?」
「穂が破ってるんでしょ?」
千陽に睨まれる。
「私は千陽と穂ちゃんが仲良くなってくれて嬉しいな~」
優里ちゃんが笑う。
「永那と千陽の仲も戻ったし、安心したよ~ホントに」
千陽が「ハァ」とため息をついて、優里ちゃんが「なにため息ついてんのさー!」と怒る。
「べつに」
千陽は鞄をかけ直して、スタスタ歩く。
小学生ぶりに誰かと登校する。
こんなふうに楽しく話しながらなんて、初めてかもしれない。
教室につくと、もう既に寝ている永那ちゃんが席に座っていた。
テストが始まる前に起こしてあげると、嬉しそうに微笑まれて、今日のデートがグッと楽しみに思えた。
テストが終わると、前回と同じように誰かが「カラオケ行こうぜー!」と言った。
永那ちゃんが立ち上がって、私のそばに来てくれる。
「穂、行こっか」
「うん!」
手を差し出されて、重ねる。
「千陽、優里ちゃん、また月曜日ね」
「じゃなー」
私達が言うと「楽しんでー!」と優里ちゃんに手を振られた。
千陽とは、目が合うだけ。
水族館は、電車で30分ちょっとのところにある。
もう少し遠くに行けば大きな水族館があるけれど、時間に余裕があるわけでもないから、一番近いところにした。
早歩きすれば1時間ちょっとで見て回れるほどの大きさの水族館。
電車のなかで、私が手すりに寄りかかると永那ちゃんは手すりを掴んだ。
手を繋いでいるし、距離が近くて、変に鼓動が速くなって、目をそらしてしまう。
「穂」
「ん?」
「ずっと、デートしてあげられなくてごめんね?」
永那ちゃんの薄茶色の瞳にまっすぐ見つめられる。
「ううん!全然!…今までだって、ずっと、楽しかったよ?」
「そう?」
「うん」
「良かった」
彼女がニコッと笑って、ポンポンと頭を撫でられる。
「先お昼食べようか」
「そうだね」
水族館の近くにあるレストランに入る。
永那ちゃんがドアを開けて「どうぞ」と言ってくれる。
「あ、ありがとう…」
私が中に入っても、永那ちゃんはドアを持ったままだった。
「ありがとうございます」
「いえ」
私の後ろからベビーカーを押す女性が入ってきた。
ベビーカーに乗る赤ちゃんがジッと永那ちゃんを見ているから、永那ちゃんは顔を綻ばせて手を振った。
かっこいい…。
「可愛いね」
永那ちゃんが笑う。
「そうだね」
席に座って、メニューを見る。
「やっぱ水族館に来たんだし、エビフライかな」
「水族館だとエビフライなの?」
「水族館だよ?」
私は首を傾げながらも、頷く。
「私はカレーにしようかな」
「たー…っ」
永那ちゃんがテーブルに勢い良く顔を突っ伏す。
「穂はすぐカレーって言うんだから!」
「永那ちゃんが面白いから」
私が笑うと、永那ちゃんは左眉を上げてから、口元に弧を描く。
「そっか。…んなら、良いや」
…良いんだ。
「じゃあ、シーフードパスタにしよ」
「あれ?カレーは?」
「冗談だよ?」
「そーですか」
2人で笑い合う。
“味わって”と言われて、彼女の指についた蜜を舐めてから、彼女から手を差し出されるようになった。
“3人でする”
私にはまだそのことが、どういうものなのか、全然わからない。
でも…やっぱり、彼女がひとりでするのを見るのは少し悲しくて。
私が彼女にシてあげることで永那ちゃんが悲しむなら、やっぱり、永那ちゃんが彼女を愛してあげてほしいと思ってしまう。
彼女から手を差し出されるようになって、余計に、その気持ちが強まった。
千陽には、それを“バカ”と言われたけれど…。
私、欲張りなのかな。
“いつか離れる”と言われて、私、“絶対嫌だ”って思ってる。
千陽が…幸せになるのは、嬉しい。
私達以外の人と心から繋がって、幸せになるのなら、喜べる自信がある。
でも、離れてほしくない。
ずっと、一緒にいたい。
永那ちゃんにも思う。
絶対、手放したくないって。
…それって、欲張り、だよね。
どうしてそんなふうに思うのか、自分でもわからないから戸惑う。
千陽の寝息が聞こえてきて、気づけば私も眠っていた。
アラームの音で起こされる。
目を開けると、彼女もちょうど目を開けたところだった。
彼女が笑う。
「好き」
「可愛い」
同時に言って、笑い合う。
彼女の顔が近づいて、唇が重なる。
「ねえ、永那からあたしに乗り換えない?」
「だめ」
彼女からの愛は、相変わらず熱烈で。
むしろ、どんどん増している気さえする。
“浮気者”と言われて、私が落ち込んでいたら“そうやって言い合える関係のほうが、気が楽でしょ”と言われた。
だからこういう言葉も、そのうちのひとつだと思っている。
…思って、いいんだよね?
みんなで朝ご飯を食べて、登校する。
「穂の家からだと近くて楽」
「“空井さん”じゃなくていいの?」
「穂が破ってるんでしょ?」
千陽に睨まれる。
「私は千陽と穂ちゃんが仲良くなってくれて嬉しいな~」
優里ちゃんが笑う。
「永那と千陽の仲も戻ったし、安心したよ~ホントに」
千陽が「ハァ」とため息をついて、優里ちゃんが「なにため息ついてんのさー!」と怒る。
「べつに」
千陽は鞄をかけ直して、スタスタ歩く。
小学生ぶりに誰かと登校する。
こんなふうに楽しく話しながらなんて、初めてかもしれない。
教室につくと、もう既に寝ている永那ちゃんが席に座っていた。
テストが始まる前に起こしてあげると、嬉しそうに微笑まれて、今日のデートがグッと楽しみに思えた。
テストが終わると、前回と同じように誰かが「カラオケ行こうぜー!」と言った。
永那ちゃんが立ち上がって、私のそばに来てくれる。
「穂、行こっか」
「うん!」
手を差し出されて、重ねる。
「千陽、優里ちゃん、また月曜日ね」
「じゃなー」
私達が言うと「楽しんでー!」と優里ちゃんに手を振られた。
千陽とは、目が合うだけ。
水族館は、電車で30分ちょっとのところにある。
もう少し遠くに行けば大きな水族館があるけれど、時間に余裕があるわけでもないから、一番近いところにした。
早歩きすれば1時間ちょっとで見て回れるほどの大きさの水族館。
電車のなかで、私が手すりに寄りかかると永那ちゃんは手すりを掴んだ。
手を繋いでいるし、距離が近くて、変に鼓動が速くなって、目をそらしてしまう。
「穂」
「ん?」
「ずっと、デートしてあげられなくてごめんね?」
永那ちゃんの薄茶色の瞳にまっすぐ見つめられる。
「ううん!全然!…今までだって、ずっと、楽しかったよ?」
「そう?」
「うん」
「良かった」
彼女がニコッと笑って、ポンポンと頭を撫でられる。
「先お昼食べようか」
「そうだね」
水族館の近くにあるレストランに入る。
永那ちゃんがドアを開けて「どうぞ」と言ってくれる。
「あ、ありがとう…」
私が中に入っても、永那ちゃんはドアを持ったままだった。
「ありがとうございます」
「いえ」
私の後ろからベビーカーを押す女性が入ってきた。
ベビーカーに乗る赤ちゃんがジッと永那ちゃんを見ているから、永那ちゃんは顔を綻ばせて手を振った。
かっこいい…。
「可愛いね」
永那ちゃんが笑う。
「そうだね」
席に座って、メニューを見る。
「やっぱ水族館に来たんだし、エビフライかな」
「水族館だとエビフライなの?」
「水族館だよ?」
私は首を傾げながらも、頷く。
「私はカレーにしようかな」
「たー…っ」
永那ちゃんがテーブルに勢い良く顔を突っ伏す。
「穂はすぐカレーって言うんだから!」
「永那ちゃんが面白いから」
私が笑うと、永那ちゃんは左眉を上げてから、口元に弧を描く。
「そっか。…んなら、良いや」
…良いんだ。
「じゃあ、シーフードパスタにしよ」
「あれ?カレーは?」
「冗談だよ?」
「そーですか」
2人で笑い合う。
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