いたずらはため息と共に

常森 楽

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7.向

437.足りない

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■■■

「今日はすいを気持ち良くする日だからね?」
千陽ちよが頷く。
穂は顔を真っ赤にして、瞳を潤ませていた。
こんなの、やったこともない。
想像したこともなかった。
でも、大好きな穂がシたいって言うなら、叶えてあげたい。
大切な千陽もシたいって言うなら、叶えてあげたい。
穂が、3人ですることは、私が2人を気持ち良くすることだと言うから、必死に色々考えた。
だけど、考えても考えても…考えれば考えるほど、よくわからなくなって、とりあえず、“今日は穂を気持ち良くする”ってことに意識を絞れば出来る気がした。
私に手は4本ないけど、千陽の手と口を私の物だと思えばいいんだって思った。
かつ、私は千陽も気持ち良くしてあげなきゃいけないから、そのことも意識しつつ…。
最初は玩具を使おうって思ってたけど、穂が泣いた日から…“永那えなちゃんが良い”って言った日から、使わないことに決めた。
いつかは挑戦してみるかもしれないけど、少なくとも今じゃない。
千陽だって、普段から玩具を使ってひとりでシてるなら、きっと玩具じゃなくて私が良いよね。

千陽は体育座りしながら左腕を擦り、穂は正座で前髪を指で梳く。
2人とも緊張してるのが丸分かりで、ちょっと笑える。
さっきまであんなに笑ってたのに。
「チューしよ」
私が2人に近づくと、2人もそろそろと近づいてくる。
ちょっと大袈裟に唇を突き出して「むちゅーっ」と言うと、穂に膝を叩かれた。
2人が緊張してるから、和ませてあげようと思ったのに。
千陽が目をギュッと瞑って私と同じように唇を突き出す。
それは私が思ったように空気を和ませようとしているわけではなく、すごく必死そうだった。
ああ…可愛いな。
それを見た穂は目を大きく開いて、眉頭に力が込もって、伏し目がちになる。
膝の上に乗っていた穂の手を握ると、上目遣いに見られた。
私が顎で千陽を指すようにすると、穂も観念したように目を閉じて、小さく唇を突き出す。
2人の後頭部に手を遣って顔を近づけると、3人の唇が触れ合った。
千陽はビクッと体を強張らせたけど、逆に穂は力が抜けたみたいだった。

一旦離れる。
2人とも視線が下がっていて、目が合わない。
ちょっと緊張し過ぎじゃない?
穂は少しスイッチが入ったように見えるけど、千陽は全然だ。
ガチガチ。
もう既に何回か3人もどき・・・を体験してきたんだから、ここまでガチガチにならなくてもいいのに…。
んー…どうしたものか…。
「千陽、見ててよ」
そう言うと、ようやく彼女と目が合う。
不安一色って感じだな。
私はいつもと同じように穂にキスをした。
穂は簡単に受け入れてくれる。
チュッチュッと音を立てて、何度も何度も唇を重ねる。
唇が湿ってくる。
「好き、穂」
「私も…」
彼女の両手が私のくびれを掴む。
気持ち良い…。
舌を滑り込ませると、すぐに彼女のと絡む。
気分が一気に高揚してくる。
案外私も緊張してたのかな。

彼女の両頬を包んでいた手を少しずつ下ろしていく。
耳に触れ、首筋に触れる。
プレゼントしたネックレスに触れて、さらにボルテージは上がっていく。
指先の感覚が敏感になっているのがわかる。
ネックレスのチェーンの凹凸がザラリとして、それをなぞっていくと、彼女の鎖骨に辿り着く。
そのままネックレスに導かれるように指を動かす。
石に触れ、親指と人差し指で包み込む。
ギュッと力を込めて、そっと離す。
そのまま手を下に動かすと、さわり慣れた彼女の胸が私を待っていた。
さわり慣れても、飽きは来ない。
「んっ」
彼女の声で全身が疼き始める。
春を感じさせるような薄手の布が、私を唆らせる。
そんなわけないのに、ブラのレースの凹凸までわかるような気がしてくる。
このまま、押し倒したい…。
彼女も寝転びたがっているのを感じる。
でも…。

チラリと千陽を見る。
目が合った。
少しは気分も高まって、不安の色が薄らいだかな。
唇が離れると、プツリと透明の糸が切れる。
「おいで」
千陽が寄ってくる。
今度こそ、何度か経験した3人のキスをする。
2人の時よりも舌を伸ばすことになるから、自然と涎が口端から垂れていく。
離れて、服の袖で拭く。
2人は指で拭っていた。
2人の肩を軽く押すと、同時にベッドに倒れる。
同じように瞳を潤ませてこちらを見てくるから、背筋がゾクゾクした。
「可愛い…」
漏れ出るように口から発せられた。
穂と千陽が顔を見合わせて、フフッと笑う。
彼女達が手を繋ぐ。指を絡めて。

穂は真っ白なワンピース。…真っ白というより、オフホワイトかな。
ウエストがキュッとしていて、袖がふんわりしているから、メリハリがあって可愛い。
胸元から足首までタックが入っているから、甘すぎず、上品すぎず…って感じだ。
さっきまで透かし編みのカーディガンを上に羽織っていたけど、部屋についたら脱いでいた。
千陽は黒のVネックの春ニットに、モノトーンの幾何学模様が描かれたフレアシルエットのスカートを穿いている。
どちらも似合っている。
千陽の胸元にも小さな石のついたネックレスが輝いていた。
…ダメだ、やっぱ分身したい。
頭が2つあれば同時にスカートの中に潜り込めるのに!
体が1つじゃ足りないよ。
なんてアホみたいなことを考えていたら、穂と千陽がキスを始める。
あー…ずるい…。
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