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第一章・悪役令嬢。8

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 それに聖女をイジメているとなると、なおさら評判も悪い。
 だが、ホワイトキャッスルの使用人達は一切私の事を悪く言わない。むしろ皇妃のように丁重に接してくれるので居心地がいい。
 入浴が済むと自分の部屋に向かう。夕食まで時間がある。少し眠ろうとしてベッドに横になった。
 柔らかいベッドに寝そべりながら考え込む。この生活はいつまで続くのだろうと。
 私は、レイヴァン様の婚約者として、これからも頑張りたい。だが、この環境はいつ覆されるか分からない状態だ。
 レイナ様が居るから? いいや、違う。そもそもレイヴァン様は、レイナ様に好意を持ってはいないのは知っている。むしろ良く思っていない。なら、どうしてあのようにレイナ様を庇うのか。聖女様だから?
 それもだろうけど、私に対しての嫌がらせだろうと思っていた。彼は、私が嫌がる顔や泣く姿を見るのが好きだから。泣くのを好むのは理解が出来る。
 サファード一族の能力のせいだろう。泣く事で瞳の色が変わるから。
 そうなると、ただ一つ……気がかりなのは、その力を受け継ぐもの。
 もしかしたらレイヴァン様の本当の目的は、私を孕ませる事ではないだろうか?
 私が妊娠して女の子を授かったら、その能力はその子が受け継ぐ。しかしマナが子供に受け渡ると母親の持っている能力は失われる。
 サファード一族の能力に皇族の膨大なマナを受け継いだら、どの国も一溜まりもないだろう。それこそ神に近い存在になれるかもしれない。
 『時を止める能力』を我が子に受け継がせればサファード一族なんて、どうにでもなる。そう考えているのなら……。
 私は、考えるほど涙が溢れてきた。彼が欲しいのは私じゃない。

 しばらく泣き続けていたら、いつの間にか眠ってしまったらしい。窓の外を見ると暗くなっていた。今、何時かしら?
 するとドアがノックされる。返事をするとビビアンが入ってきた。
「あ、丁度お目覚めでしたか。殿下がご帰宅されてエルザ様にお会いしたいと、食堂でお待ちです。早くご支度を」
「えっ? レイヴァン様が」
 それは大変だわ。早く着替えないと……。
 私は、侍女達に急いでドレスに着替えて、食堂に向かった。食堂に入るとレイヴァン様は、優雅にお茶を飲んでいた。
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