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第四章・視察で感じたアイツの本質。4

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 だが街の人は、それに対して驚くことも恐れることもせずに、むしろ注文までしてくる始末。
「はぁ? 井戸の水や雨漏りだ? 貴様らには、それがお似合いだろ」
「何だ……陛下のくせに出来んのか? 随分と大したことのない皇帝だな」
「な、何だと⁉ 俺に出来ないことはない。よし、見ていろ雨漏りなんて、すぐに部下を呼び、どうにかしてやろう。井戸もだ! 俺が飲む時に困るからな。直した後にでも、おこぼれをやろう」
「それは、ありがたいねぇ~」
 うん……? むしろ陛下の性格を私よりも理解しているように感じる。天の邪鬼な彼の性格を逆に刺激させて修理をさせるように話を進めてきた。
 それに、まんまと乗っかる陛下も単純というか騙されやすいが。何だろうか?
 周りはそれを受け入れているように感じた。すると一人の年配の女性が私に近づいてきた。
「こんにちは。見ない顔だけど……あなたは、もしかして皇帝の妻になった隣国の公女様かしら?」
「あ、はい。一応……」
 まだ予定なんだが違うとも言えなかった。するとクスッと微笑まれる。
「そう……初めは驚いたでしょう? 殿下の性格に。でも誤解しないであげてね? あの方は不器用なだけなの。根は素直でお優しい方なのよ。街の人にもこうやって気にかけて、たびたび会いに来て下さるの。ツンデレさんだから素直になれず憎まれ口を叩くけど。皆はそれを理解して見守っているわ。きっとあなたにも素直になれないだけで本当は大切に想っているはずよ」
 私は、その言葉に衝撃を受ける。この女性は、陛下の性格を理解しているようだった。そして街の人も。大切に私のことを想っている?
 その年配の女性は嘘をついているようには見えなかった。何だかくすぐったくて不思議な気持ちになっていく。ドキドキしてくる。
 すると一人の若い女性が赤ちゃんを連れて陛下の前に来た。
「陛下。息子が産まれたんですよ。良かったら抱っこしてあげて下さいな」
「はぁっ? 何で俺がこんなガキ相手に」
 赤ちゃんを抱くのを拒む、陛下だったが真剣に見ていた。すると赤ちゃんがその表情に驚き泣き出してしまった。そうなると慌て始める。
「ちょっ……泣くな。おい。貴様俺に向かって泣くとはいい度胸だ。褒美をやろう。だから泣き止め」
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