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トリスタン公爵家主催のパーティで、セシルはアランに連れられ友人や知人に紹介された。アランの友人は気さくな者ばかりで、セシルはこの方たちならば自分とも仲良くしていただけるかもしれない、と内心ホッとしていた。知人の者達は、友人よりも気さくさは無いが、皆誠実さがにじみ出ていてアランが信頼しているのも頷ける者ばかりだった
一通りの紹介が終わり、テットを含め3人で話していた時だった
「あら、アラン様?」
鈴が鳴るような声で話しかけてきたのは、美しいのだが『派手』さが目につく令嬢だった
「…お久しぶりですね」
「えぇ、私アラン様にお会いできる日を楽しみにしていましたの。今夜、出席なさるとお聞きしたので」
派手な令嬢、カナリア・ゴールディン男爵令嬢の目はアランを捕らえて離さない。カナリアのアランに向ける視線に困惑したセシルは、アランへと視線を移す。目に入ったのは苦虫を噛み潰したかのような表情のアランだった。温度差のある二人にますます困惑するセシル
「…どなたからお聞きしたのかな?今夜のパーティには、君を招待した覚えがないのだが」
穏やかな声音だが、その目は決して笑ってはいなかった
「あら、テット様。確かにお招きはありませんでしたけれど、何かの間違いかと思ったもので。友人に連れて来ていただきましたの」
温度差に気づいていないのか、気づいた上での態度なのか。カナリアは笑みを崩さない
「それよりも、アラン様ご結婚されたとか」
「……あぁ」
「それで?今夜はお見えなのかしら?」
「何故君にそれを言わないといけないんだ?」
「そんなに目くじらをお立てになるなんて、余程人前には出せないような奥様なのね」
「な、に!?」
セシルと手を繋いでいたアランの手に力が入る。震えるその手、そしてその表情からは怒りがありありと伝わってくる
「お可哀想なアラン様…結婚したくない程の女性と一緒にならねばならなかったなんて。でもご安心なさって?私が居ますから」
恍惚とした表情で言う彼女にアランは嫌悪感を募らせる
「君はいったい何を言っているんだ…自分が言っている事を理解出来ているのか?」
「えぇ、もちろんですわ。正室は今は無理でも、側室にはなれますわ。私はそれで構いませんの…そこは妥協するしかありませんもの」
「私は妻以外の女性を娶るつもりはない」
「あら、そう言うように言われているの?容姿は性格にも表れるのかしら…心まで醜いなんて」
ふふふと笑うカナリアにアランが我慢の限界だとばかりに、大きな声を出そうとした時
「初めてお目にかかります。アランの妻のセシル・カーティスと申します」
ニッコリと穏やかな笑みを浮かべたセシル
「…あら、あなたがアラン様の奥様なの?」
「…テットさん、この方は?」
「…あぁ、カナリア・ゴールディン。ゴールディン男爵令嬢だ」
苦々しげにテットが答える
「そう、男爵令嬢。私はてっきり公爵家の方かと思っていましたわ」
セシルの言葉にカナリアは自信満々に微笑む
「よく言われますの」
「そうでしょうとも、男爵家の者が公爵家の者にこうも礼がなっていないとなれば」
「なっ!」
セシルの言葉に怒りで顔を赤く染めるカナリア
「自身より上の爵位の者にも礼が取れないのですもの。違いますか?あなたがここに来て、私はあなたが礼をとる姿を見ていません。あろうことか、侮辱までするとは…余程爵位が上だとしか考えつきませんもの」
「私を侮辱したわね!?たいして美しくもない者が、私を侮辱して良い筈がないわ!」
「あなたは、人の容姿で優劣をお決めになるのね…なんて可哀そうな方なんでしょうか」
「っ!!?」
「これ以上、好き勝手に言ってごらんなさい。それ相応の処罰を、訴えますわよ?」
セシルがそう言うと、さすがにこれ以上はまずいと判断したのか、カナリアは悔しそうに顔を歪め去って行った
一通りの紹介が終わり、テットを含め3人で話していた時だった
「あら、アラン様?」
鈴が鳴るような声で話しかけてきたのは、美しいのだが『派手』さが目につく令嬢だった
「…お久しぶりですね」
「えぇ、私アラン様にお会いできる日を楽しみにしていましたの。今夜、出席なさるとお聞きしたので」
派手な令嬢、カナリア・ゴールディン男爵令嬢の目はアランを捕らえて離さない。カナリアのアランに向ける視線に困惑したセシルは、アランへと視線を移す。目に入ったのは苦虫を噛み潰したかのような表情のアランだった。温度差のある二人にますます困惑するセシル
「…どなたからお聞きしたのかな?今夜のパーティには、君を招待した覚えがないのだが」
穏やかな声音だが、その目は決して笑ってはいなかった
「あら、テット様。確かにお招きはありませんでしたけれど、何かの間違いかと思ったもので。友人に連れて来ていただきましたの」
温度差に気づいていないのか、気づいた上での態度なのか。カナリアは笑みを崩さない
「それよりも、アラン様ご結婚されたとか」
「……あぁ」
「それで?今夜はお見えなのかしら?」
「何故君にそれを言わないといけないんだ?」
「そんなに目くじらをお立てになるなんて、余程人前には出せないような奥様なのね」
「な、に!?」
セシルと手を繋いでいたアランの手に力が入る。震えるその手、そしてその表情からは怒りがありありと伝わってくる
「お可哀想なアラン様…結婚したくない程の女性と一緒にならねばならなかったなんて。でもご安心なさって?私が居ますから」
恍惚とした表情で言う彼女にアランは嫌悪感を募らせる
「君はいったい何を言っているんだ…自分が言っている事を理解出来ているのか?」
「えぇ、もちろんですわ。正室は今は無理でも、側室にはなれますわ。私はそれで構いませんの…そこは妥協するしかありませんもの」
「私は妻以外の女性を娶るつもりはない」
「あら、そう言うように言われているの?容姿は性格にも表れるのかしら…心まで醜いなんて」
ふふふと笑うカナリアにアランが我慢の限界だとばかりに、大きな声を出そうとした時
「初めてお目にかかります。アランの妻のセシル・カーティスと申します」
ニッコリと穏やかな笑みを浮かべたセシル
「…あら、あなたがアラン様の奥様なの?」
「…テットさん、この方は?」
「…あぁ、カナリア・ゴールディン。ゴールディン男爵令嬢だ」
苦々しげにテットが答える
「そう、男爵令嬢。私はてっきり公爵家の方かと思っていましたわ」
セシルの言葉にカナリアは自信満々に微笑む
「よく言われますの」
「そうでしょうとも、男爵家の者が公爵家の者にこうも礼がなっていないとなれば」
「なっ!」
セシルの言葉に怒りで顔を赤く染めるカナリア
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「私を侮辱したわね!?たいして美しくもない者が、私を侮辱して良い筈がないわ!」
「あなたは、人の容姿で優劣をお決めになるのね…なんて可哀そうな方なんでしょうか」
「っ!!?」
「これ以上、好き勝手に言ってごらんなさい。それ相応の処罰を、訴えますわよ?」
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