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影と傷
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おかしい。
昨日の夜、確かにリビングのソファで寝たはずなのに。
何で朝になったら、高嶺くんのベッドで寝てるの!?
おまけに後ろから思い切り抱きしめられていて、足まで絡まっている始末。
逃げようにも、逃げられない。
高嶺くんはまだ寝ているのか、規則正しい呼吸が聞こえる。
背中から伝わってくる体温から、もう熱はなさそうだ。
「良かった」
自分に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でつぶやくと、高嶺くんが身動ぎをした。
次の瞬間─
お尻のあたりに、固いものが『ゴリッ』と当たる感触。
これって、もしかして、高嶺くんの─!?
戸惑っているうちに、腰の回りに巻き付いていた手が上に移動して、服の上から胸の膨らみをやわやわと揉みしだく。
えっ?えっっ!?えぇっっっ!!?
何、これ?
何、この感覚!?
初めてのことに、頭も体もついていかない。
そう。
私は確かに、高校のころ、高嶺くんに何度となく抱かれた。
けれど、当時、私はいわゆる愛撫らしい愛撫をされたことがなかったのだ。
高嶺くんは絶妙なタッチで胸を触りながら、腰を動かして私のお尻の割れ目に自分自身を擦りつけている。
これ、わざとなの?
それとも寝ぼけてる!?
確かめようにも高嶺くんの顔は私の真後ろにあって、見られない状態だ。
どうしよう。
どうしよう。
胸への刺激はくすぐったさの延長のようなものだけれど、お尻の方は高嶺くんの昂りをダイレクトに感じてしまう。
そしてカラダは条件反射のように、下着に恥ずかしい染みを作り始めていた。
仮に寝ぼけていたとして、このまま目を覚ました高嶺くんに求められたりしたら、断りきれる自信は、ゼロに等しい。
だって、さっき言われた言葉─
『俺はお前のことを都合のいい女扱いしたことなんて、一度もない』
が嬉しすぎて。
好きだとハッキリ言われたわけでもないのに、思い出しただけで顔がニヤけてしまう。
なんて油断していたら、それまでノータッチだった両胸の頂きを不意にキュッと摘まれた。
「んぁっ!」
突然の強い刺激に声が漏れ、カラダ全体がビクッと撓った。
私に触れていた高嶺くんも、ほぼ同時にビクッとなったような気がしないでもない。
恐る恐る後ろを振り返ると、ぼんやりとした表情の高嶺くんと目が合ってしまった。
密着していた下半身と、私の胸を弄んでいた手が、何事もなかったように離れていく。
その動きと連動して、高嶺くんの表情も再会してからのデフォルト、険しい寄りの無表情へと戻っていった。
「…俺、今何かした?」
した、した。
めちゃめちゃした。
でも、言えば確実に墓穴を掘ることになる。
変な声も出ちゃったし。
「う、ううん。何も」
「…そうか」
なかったことにしてしまうのが安パイと思ったのに、部屋に漂うなんとも言えない空気に、必死に話を繋ぐ。
「わ、私、寝ぼけて高嶺くんのベッドに来ちゃったのかな。ごめんね」
「いや……夜中、タオル交換しに来てくれた後、そのまま床で寝てたから、俺が引っ張り上げた」
「え。本当!?全然覚えてない…!ごめんね。具合悪いのに無理させて」
「…別に。もう熱下がってたし」
大量の洗濯物と、部屋の掃除、高嶺くんの看病で疲れてたせいかな?
本当に記憶にない。
でも、浮かれて無意識のうちに自分からベッドに潜り込んだんじゃなくて良かったと胸を撫で下ろしていると、
「俺…汗かいて気持ち悪いからシャワー浴びてくるけど、勝手に帰るなよ」
と、言い残し、高嶺くんは気持ち前屈みで寝室を出て行った。
おかしい。
昨日の夜、確かにリビングのソファで寝たはずなのに。
何で朝になったら、高嶺くんのベッドで寝てるの!?
おまけに後ろから思い切り抱きしめられていて、足まで絡まっている始末。
逃げようにも、逃げられない。
高嶺くんはまだ寝ているのか、規則正しい呼吸が聞こえる。
背中から伝わってくる体温から、もう熱はなさそうだ。
「良かった」
自分に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でつぶやくと、高嶺くんが身動ぎをした。
次の瞬間─
お尻のあたりに、固いものが『ゴリッ』と当たる感触。
これって、もしかして、高嶺くんの─!?
戸惑っているうちに、腰の回りに巻き付いていた手が上に移動して、服の上から胸の膨らみをやわやわと揉みしだく。
えっ?えっっ!?えぇっっっ!!?
何、これ?
何、この感覚!?
初めてのことに、頭も体もついていかない。
そう。
私は確かに、高校のころ、高嶺くんに何度となく抱かれた。
けれど、当時、私はいわゆる愛撫らしい愛撫をされたことがなかったのだ。
高嶺くんは絶妙なタッチで胸を触りながら、腰を動かして私のお尻の割れ目に自分自身を擦りつけている。
これ、わざとなの?
それとも寝ぼけてる!?
確かめようにも高嶺くんの顔は私の真後ろにあって、見られない状態だ。
どうしよう。
どうしよう。
胸への刺激はくすぐったさの延長のようなものだけれど、お尻の方は高嶺くんの昂りをダイレクトに感じてしまう。
そしてカラダは条件反射のように、下着に恥ずかしい染みを作り始めていた。
仮に寝ぼけていたとして、このまま目を覚ました高嶺くんに求められたりしたら、断りきれる自信は、ゼロに等しい。
だって、さっき言われた言葉─
『俺はお前のことを都合のいい女扱いしたことなんて、一度もない』
が嬉しすぎて。
好きだとハッキリ言われたわけでもないのに、思い出しただけで顔がニヤけてしまう。
なんて油断していたら、それまでノータッチだった両胸の頂きを不意にキュッと摘まれた。
「んぁっ!」
突然の強い刺激に声が漏れ、カラダ全体がビクッと撓った。
私に触れていた高嶺くんも、ほぼ同時にビクッとなったような気がしないでもない。
恐る恐る後ろを振り返ると、ぼんやりとした表情の高嶺くんと目が合ってしまった。
密着していた下半身と、私の胸を弄んでいた手が、何事もなかったように離れていく。
その動きと連動して、高嶺くんの表情も再会してからのデフォルト、険しい寄りの無表情へと戻っていった。
「…俺、今何かした?」
した、した。
めちゃめちゃした。
でも、言えば確実に墓穴を掘ることになる。
変な声も出ちゃったし。
「う、ううん。何も」
「…そうか」
なかったことにしてしまうのが安パイと思ったのに、部屋に漂うなんとも言えない空気に、必死に話を繋ぐ。
「わ、私、寝ぼけて高嶺くんのベッドに来ちゃったのかな。ごめんね」
「いや……夜中、タオル交換しに来てくれた後、そのまま床で寝てたから、俺が引っ張り上げた」
「え。本当!?全然覚えてない…!ごめんね。具合悪いのに無理させて」
「…別に。もう熱下がってたし」
大量の洗濯物と、部屋の掃除、高嶺くんの看病で疲れてたせいかな?
本当に記憶にない。
でも、浮かれて無意識のうちに自分からベッドに潜り込んだんじゃなくて良かったと胸を撫で下ろしていると、
「俺…汗かいて気持ち悪いからシャワー浴びてくるけど、勝手に帰るなよ」
と、言い残し、高嶺くんは気持ち前屈みで寝室を出て行った。
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