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パンとコーヒー

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「は?そんなん100パー体目当てに決まってるじゃないですか」

東海林くんは言い切ってから私でも胸焼けしそうなメガパフェを頬張った。

ちなみに、約束どおり高嶺くんのことを説明はしたものの、高校の同級生であることと、付き合おうと言われていることに留めていて。
当然当時体の関係があったことまでは言っていない。

にも関わらずのこの言い草。

「俺…社長に外見変えてもらって感謝はしてますけど、ソレに釣られて近寄ってくるのなんてロクな奴が居なくて。正直ウンザリしてるんですよね。静花さんもそうでしょ?」

確かに。
Love Birdsのお客さんでしつこく言い寄ってくる人に昔の写真見せたら効果てきめん。
この人、私の外見しか好きじゃないんだってよく分かる。

でも─

「高嶺くんは、暗黒時代の私も知ってるんだよ?」

自分を励ますように言ってみると。

「だから!俺らみたいなのの元の姿を知ってて近づいてくるとか、興味本位かマウントとりたいってだけで、真面目に付き合う気なんてあるわけないじゃないですか」

物凄く実感のこもった感じで言い返されてしまった。

婚活コンサルタントこんな仕事してて何ですけど、俺、もう人間不信で結婚はおろか恋人欲しいとも思いませんもん」

同じ人種の東海林くんにここまで言われると、説得力しかないんだけど。
だからこそ気になってしまう。

「…もしかして、東海林くんも同じようなことがあったりした?」

質問のタイミングが悪かったのか、図星だったのか。
東海林くんはかじりついていたワッフルコーンをボロボロとテーブルに落としてしまった。

「あっ、ごめ、ごめんね!?変なこと聞いて!!私じゃあるまいし、そんなことないよね!!」

慌ててペーパーナプキンを渡すも、東海林くんは受け取らずに、落ちたコーンのかけらを一つ一つ指で砕き始めた。

「…ありましたよ。あったから同類のよしみでこうやってわざわざ忠告してあげてるんでしょ」

どうやら図星の方後者だったらしい。
いまだかつてない東海林くんから湧き出る負のオーラに、どうしていいか分からない。

「あ、あの、無理に話さなくていいから。本当に!よく分かったから!!」

いじいじとコーンを潰していた指がピタリと止まった。

「なにも分かってないでしょ?大学で社長に出会って見た目変えてもらったからって、調子に乗って成人式なんて参加して。ちょっと憧れてた女子に誘われて家にノコノコついてったら、いざってときに目立ってたグループの奴らが一斉に部屋に入ってきて、俺が童貞チェリーかどうか賭けてたとか笑いながら言われたんですよ?」
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