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溶解

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「ああ、ヤバいな…」

ヤバいって、何が?
もしかして、仕事?

ダメだ。
頭が働かない。

それでも、この甘く幸せな夢のような時間が終わるのがイヤで。

「景、好き。大好き」

壊れた人形のように繰り返し、高嶺くんのシャツの胸元を掴むと、高嶺くんは

「マジでこれ…キスだけでイキそう。しかも癖になる」

と熱っぽいため息を吐きながら、困り果てた顔で唇を吸った。

「…でも、やっぱもう次に進んで良い?」

初めてのときですら、こんな風に同意を求められたことはなかった。
でも、コレはコレですごく恥ずかしくて。
ただ、頷くことしかできない。

伸びてきた手が、着ていた服を一枚ずつ取り払っていく。
そして、下着姿にされた時点で、ハタと気付いた。

今から色々されるの(であろう)に、今日まだお風呂に入ってないということに。

「あ、あのっ」

ブラのホックを外そうとしていた高嶺くんに、急いでストップを掛ける。

「お、お風呂…!お風呂に入りたい」

「…却下」

否応なくプツリとホックが外され、胸が顕になる。

「な、何で!?」

「理由は三つ。一、今更止まれない。二、その方が興奮する。三、お仕置き」

二つ目まではともかく。

「お、お仕置きって、何で?」

尋ねると高嶺くんは私の髪を一束手に取り、鼻にくっつけスンと吸って見せた。

「…服も髪もいつもと違う匂いさせてるの、自分では分かんない?」

自分では自分の匂いなんて分からなくて、全然気付いてなかった。

「そ…それは…、でも、東海林くんとは何も…」

「押し倒してココ触られたのに?」

つい、と脇腹を撫でられると、油断していたので「ひっ」と小さな声が出た。

「…こんな声も聞かせたりした?」

甘い空気が一変。
問い詰める目つきが怖すぎる。

「ない!東海林くんに触られてもくすぐったいだけで、笑ったら怒られたくらいだもん!!」

「…へー。ふーん。そっか。静花は俺以外に触られても感じないのか」

そんな言い方されると恥ずかしいけど。
ちょっと空気が和らいだので、猛烈な勢いで首を縦に振っておく。

「でも、一週間ずーっとアイツの家にいたんだろう?」

「しょ、東海林くんは『居場所』になってくれるって。だから、本当にただの居候って感じで!お礼にご飯作ったり、掃除とか洗濯してただけで、本当に何もしてない!!」

「…しっかり口説かれてるし。…やっぱお仕置き決定だな」

「え゛」

トン、と肩を押され、あっけなくベッドに体が縫い留められた。

「静花のカラダから俺のニオイと静花のニオイしかしなくなるまでぐちゃぐちゃにするから」
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