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新たな不安

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「ぷ…ぷろ、ぽー…ず?」

これはさすがに考えもしなかった。
『絶対嫁にしようと思っていた』と言ってもらったし、そのときは天にも昇る心地だったけれど。

ちゃんと付き合ってまだ2ヶ月だし。
何より─

「『私が高嶺くんのお嫁さんだなんて、想像できない』んですよね?」

「ちょっ!東海林くん!!さっきからちょいちょい私の頭の中読むの止めてくれないかなぁ!?」

「だって、本当のことでしょ?だからいつ切られてもいいように、キャリーケースそんなもの持ち歩いてるんでしょ」

脱童貞した東海林くんは、鬼に金棒なのか、以前にも増して人を食ったような言動に磨きがかかっている。
しかも、それが、私でも気づかなかった潜在的なところを言い当てるまで精度を増している。

「え…あ、そ、そうだったの…かな?」

「ちょっと静花!自分のことでしょ?しっかりしなさいよ!!…それにしてもあの男!!忙しいって言ったって、ヤることはしっかりヤってるくせに!!肝心なとこ抜けてるんだから!!」

「なっ…んで!?」

「そりゃあ三日もあげず新しい痕ついてれば分かるわよ!」

嘘っ?
朝鏡でチェックしたときは、何もなかったはずなのに!?

反射的に鎖骨の辺りを隠すと、すかさず東海林くんがダメ出しをされた。

「そこじゃなくて、うなじのトコですよ」

「ヤだ…私カマかけただけなのに…っ。真緒、静花のこと見過ぎじゃない?」

あれ?

「たまたまですよ。俺の席、静花さんのすぐ後ろなんで」

あれあれ?

「…たまたまねぇ」

あれあれあれ??

茶化すような口調の割に、瑞希の目が笑っていないし。
東海林くんもなんか気まずそうだし。
微妙な空気流れてるし。

「あの、瑞希、ちょっといい?」

こういうことは時間が経つほど聞きにくくなってしまう。
瑞希を給湯室に引き込み、思い切って直球を投げてみた。

「ねえ、もしかして、二人、付き合ってたりする?」

「は?何でそうなるよのよ!?真緒とはあの夜一度きりで、その後なんっっっにもないわよ!!」

「…でも、あの夜することはしたのよね?」

「…シたわよ!優しくリードしてあげたって言ったでしょ?」

おかしいな。
東海林くんの性格からして好きでもないコとはできなさそうだし。

「じゃあ、何で付き合ってないの?瑞希、東海林くんのこと好きだよね?」

「は、ハア!?わ、私が真緒のことを…!?何言ってんのよ」

「だって、さっき明らかにヤキモチ焼いてたよ?気づいてなかったの?」

指摘してあげると、図星だったのか、初めて自分の気持ちを自覚したのか定かではないけれど、瑞希が顔を真赤にさせている。

「わ、私のことはいいから、早く高嶺と幸せになりなさいよ!電話で文句言っとくから、5カラットくらいのダイヤ買ってもらうのよ!」

言い捨てて、瑞希は逃げるように社長室に帰って行った。
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