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幻想世界での光
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アーマーボアの討伐なら一人でもできるって思ってたんだ。
僕は生まれつきなぜか属性が付与された魔法を使っても属性が付与されず全部白色の魔法となって顕現する。
そんな"出来損ないの僕"だってやればできることを証明したい。
属性魔法が使えなくても力になれることを見せたい。
その思いでアーマーボアの討伐の依頼を受けた。
「土塊の弾!」
僕はアーマーボアの様子と住処の調査に近くまで来ていて、襲ってきた狂い蜂を露払いしていた。
さっきの魔法は土属性の魔法だけど見た目は白く、本来茶色に近くなる弾丸は白いまま放たれた。
「どうして普通の魔法の色にならないんだろう…」
魔法を放つたびに思い出す、呪いのように染みついた疑問。
この現状についていろいろな魔導書や他の魔法使いたちに聞いたり、読んだりして調べたけど──
結局わかったのは、“僕の魔法には属性が付いておらず、ただの無属性として発動している”ってことだけだった。
無属性魔法は魔法使いが魔力の消費を抑えて使う廉価版の魔法であることが常識。
利点は属性攻撃があまり通用しない魔獣に使ってもある程度威力は出るということ。
そして不利な点は属性が付与された魔法より威力が低いということ。
僕の魔法は普通の魔法使いが行使する魔法より威力が低いことの証明になってしまっている。
「さて…。アーマーボアの様子が見れたらいいんだけど」
アーマーボアの住処と依頼書に書かれていた場所を思い出し近くの茂みに身を潜めた。
「念のために…。我が身を隠し給え透明衣…。」
そう唱えると透明の幕が頭の上に現れ僕の体の表面を緩やかに、優しく包み込む。
そうなると自分の姿が薄くなり、自然に溶け込んで自分の気配が薄くなるのを感じた。
茂みでしばらく住処を観察していると大きな体に固い鱗が生えているイノシシが現れた。
その近くを密林鼠が通過するとアーマーボアの口から緑色のねばねばした液体が放出されとらえた。
密林鼠は口から泡を吹き手足をバタバタさせ次第に生気を失った。
「ポイズン…アーマーボア…。」
極めて稀なパターンの依頼になってしまった。
まずはギルドの支部に報告しよう。
僕は気配を悟らせまいとゆっくり動きその場から離れてドルガンへ戻った。
―冒険者ギルド ドルガン支部―
「すいません。この依頼を受けたウォレスです!」
ギルド支部の受付のウサギ獣人に話しかけた。
「いらっしゃいませ!今日はどういったご用件ですか?」
そう尋ね僕が差し出した依頼書を確認する。
「この討伐依頼なんですが先ほど記載のあった住処に行ったのですがどうやらアーマーボアからポイズンアーマーボアに進化しているみたいで…。」
「そうなんですね!このパターンは初めて承るので少々お待ちを…。」
ウサギ獣人が奥に行き上司と思われる犬獣人と話始めた。
数分後、ウサギ獣人が戻ってくる。
「その情報を依頼主に報告して報酬や依頼の内容を再度お伺いしますので、3日ほどこの村でお待ちいただけますか?臨時的に依頼内容を討伐から状況の監視に変更いたします」
深々と頭を下げたウサギ獣人が続ける。
「監視期間の報酬は、ギルド規則に基づいてお支払いします。問題なければ、それでよろしいですか?」
「わかりました。それでお願いいたします。」
僕は深々と頭を下げさらに話をづつける
「監視期間中の報告は確か規則だと『明るい時間と暗い時間の2回分報告する』でしたよね?」
「はいその通りです。よく規則を読み込んでいらっしゃいますね!とてもありがたいです。」
ウサギ獣人はそういうと「最近の冒険者さんにはそこまで頭に入ってる人が少ないので、説明しなくてはいけないのですが手間が省けます」というとコロコロと笑い監視期間中の報酬の話を聞いた後バタバタと騒がしい足音が聞こえた。
「すいません!ギルド連絡員の者です。至急報告したいことがあります!」
息を切らしながら斥候職だと思われる鳥獣人の男性がパーティの仲間を連れて息を切らしていた。
「どうしましたか?私が承ります。」
先ほど奥で話していた犬獣人が鳥獣人に近づく。
「連絡経路の道にポイズンアーマーボアが出現し私たちのパーティのランクではいただいた連絡を届けることができません!」
鳥獣人の凛とした声にギルドないが沈み帰り犬獣人が難しい顔をした。
「緊急でポイズンアーマーボアの討伐依頼をいたします。人数が必要ですので受けられる方はこちらに来てください!」
そう犬獣人が高らかに宣言した後ギルドないがざわつき数人の冒険者が犬獣人の近くへ向かっていった。
「お姉さん今の…。僕の依頼やつですよね?」
「そうですね。お待ちください。」
ウサギ獣人の人が再度犬獣人のもとに行き話始めると先ほどの犬獣人が僕のほうに来た。
「ウォレスさんですね?」
「はい」
「冒険者ギルド、ドルガン支部長のガウスです」
ガウスさんは丁寧にお辞儀をする
「監視という依頼に臨時的に変更しましたが先ほどの通り監視対象が連絡経路にいるため討伐後の対応となってしまいます。宿代はギルドで持ちますので討伐されるのお待ちいただいてもいいですか?」
「はい!大丈夫です!」
「それに先ほど宣言した通り人員が多く集まれば早く対応できますのでウォレスさんもぜひご一考していただければと思います。こちらの木札を宿屋の方に見せてください」
ガウスさんは受付のカウンターの下から[臨時宿泊券]と記載された木札を渡された。
「これが噂の臨時宿泊券…。ほんとにあるんですね?」
「特例措置ですので驚きますよね?安心してください。冒険者ギルドは冒険者の味方です」
それではと言い残しガウスさんはカウンターの奥に入っていった。
渡された木札を感慨深く見た後宿を取りに宿屋へ向かった。
宿屋に入ろうとすると遠くから声が聞こえてきた。
「うーん。宿屋の部屋空いてるといいけど…」
「まあ、この時間帯ならまだ部屋はありそうだが…行ってみてからだな。最悪一つの部屋で寝ることになるけどいいか?」
「い、いいけど…寝る場所大丈夫なの?」
「どうしたリュウ?顔が赤いぞ?体調もしかして崩したか…?」
「だ、大丈びゅだよ!気にしないで!」
「ん?そうか?ならいいけど。」
軽快な会話が聞こえてきた方向を見ると狼獣人と本でしか見たことない毛皮のない人間が目に入った。
―あれはもしかして人間?!珍しすぎる!話しかけたいけど楽しそうだし間に入るのはよくなさそう…。
一瞬足が二人へ向かいそうになるのを堪えて宿屋へ入っていった。
僕は生まれつきなぜか属性が付与された魔法を使っても属性が付与されず全部白色の魔法となって顕現する。
そんな"出来損ないの僕"だってやればできることを証明したい。
属性魔法が使えなくても力になれることを見せたい。
その思いでアーマーボアの討伐の依頼を受けた。
「土塊の弾!」
僕はアーマーボアの様子と住処の調査に近くまで来ていて、襲ってきた狂い蜂を露払いしていた。
さっきの魔法は土属性の魔法だけど見た目は白く、本来茶色に近くなる弾丸は白いまま放たれた。
「どうして普通の魔法の色にならないんだろう…」
魔法を放つたびに思い出す、呪いのように染みついた疑問。
この現状についていろいろな魔導書や他の魔法使いたちに聞いたり、読んだりして調べたけど──
結局わかったのは、“僕の魔法には属性が付いておらず、ただの無属性として発動している”ってことだけだった。
無属性魔法は魔法使いが魔力の消費を抑えて使う廉価版の魔法であることが常識。
利点は属性攻撃があまり通用しない魔獣に使ってもある程度威力は出るということ。
そして不利な点は属性が付与された魔法より威力が低いということ。
僕の魔法は普通の魔法使いが行使する魔法より威力が低いことの証明になってしまっている。
「さて…。アーマーボアの様子が見れたらいいんだけど」
アーマーボアの住処と依頼書に書かれていた場所を思い出し近くの茂みに身を潜めた。
「念のために…。我が身を隠し給え透明衣…。」
そう唱えると透明の幕が頭の上に現れ僕の体の表面を緩やかに、優しく包み込む。
そうなると自分の姿が薄くなり、自然に溶け込んで自分の気配が薄くなるのを感じた。
茂みでしばらく住処を観察していると大きな体に固い鱗が生えているイノシシが現れた。
その近くを密林鼠が通過するとアーマーボアの口から緑色のねばねばした液体が放出されとらえた。
密林鼠は口から泡を吹き手足をバタバタさせ次第に生気を失った。
「ポイズン…アーマーボア…。」
極めて稀なパターンの依頼になってしまった。
まずはギルドの支部に報告しよう。
僕は気配を悟らせまいとゆっくり動きその場から離れてドルガンへ戻った。
―冒険者ギルド ドルガン支部―
「すいません。この依頼を受けたウォレスです!」
ギルド支部の受付のウサギ獣人に話しかけた。
「いらっしゃいませ!今日はどういったご用件ですか?」
そう尋ね僕が差し出した依頼書を確認する。
「この討伐依頼なんですが先ほど記載のあった住処に行ったのですがどうやらアーマーボアからポイズンアーマーボアに進化しているみたいで…。」
「そうなんですね!このパターンは初めて承るので少々お待ちを…。」
ウサギ獣人が奥に行き上司と思われる犬獣人と話始めた。
数分後、ウサギ獣人が戻ってくる。
「その情報を依頼主に報告して報酬や依頼の内容を再度お伺いしますので、3日ほどこの村でお待ちいただけますか?臨時的に依頼内容を討伐から状況の監視に変更いたします」
深々と頭を下げたウサギ獣人が続ける。
「監視期間の報酬は、ギルド規則に基づいてお支払いします。問題なければ、それでよろしいですか?」
「わかりました。それでお願いいたします。」
僕は深々と頭を下げさらに話をづつける
「監視期間中の報告は確か規則だと『明るい時間と暗い時間の2回分報告する』でしたよね?」
「はいその通りです。よく規則を読み込んでいらっしゃいますね!とてもありがたいです。」
ウサギ獣人はそういうと「最近の冒険者さんにはそこまで頭に入ってる人が少ないので、説明しなくてはいけないのですが手間が省けます」というとコロコロと笑い監視期間中の報酬の話を聞いた後バタバタと騒がしい足音が聞こえた。
「すいません!ギルド連絡員の者です。至急報告したいことがあります!」
息を切らしながら斥候職だと思われる鳥獣人の男性がパーティの仲間を連れて息を切らしていた。
「どうしましたか?私が承ります。」
先ほど奥で話していた犬獣人が鳥獣人に近づく。
「連絡経路の道にポイズンアーマーボアが出現し私たちのパーティのランクではいただいた連絡を届けることができません!」
鳥獣人の凛とした声にギルドないが沈み帰り犬獣人が難しい顔をした。
「緊急でポイズンアーマーボアの討伐依頼をいたします。人数が必要ですので受けられる方はこちらに来てください!」
そう犬獣人が高らかに宣言した後ギルドないがざわつき数人の冒険者が犬獣人の近くへ向かっていった。
「お姉さん今の…。僕の依頼やつですよね?」
「そうですね。お待ちください。」
ウサギ獣人の人が再度犬獣人のもとに行き話始めると先ほどの犬獣人が僕のほうに来た。
「ウォレスさんですね?」
「はい」
「冒険者ギルド、ドルガン支部長のガウスです」
ガウスさんは丁寧にお辞儀をする
「監視という依頼に臨時的に変更しましたが先ほどの通り監視対象が連絡経路にいるため討伐後の対応となってしまいます。宿代はギルドで持ちますので討伐されるのお待ちいただいてもいいですか?」
「はい!大丈夫です!」
「それに先ほど宣言した通り人員が多く集まれば早く対応できますのでウォレスさんもぜひご一考していただければと思います。こちらの木札を宿屋の方に見せてください」
ガウスさんは受付のカウンターの下から[臨時宿泊券]と記載された木札を渡された。
「これが噂の臨時宿泊券…。ほんとにあるんですね?」
「特例措置ですので驚きますよね?安心してください。冒険者ギルドは冒険者の味方です」
それではと言い残しガウスさんはカウンターの奥に入っていった。
渡された木札を感慨深く見た後宿を取りに宿屋へ向かった。
宿屋に入ろうとすると遠くから声が聞こえてきた。
「うーん。宿屋の部屋空いてるといいけど…」
「まあ、この時間帯ならまだ部屋はありそうだが…行ってみてからだな。最悪一つの部屋で寝ることになるけどいいか?」
「い、いいけど…寝る場所大丈夫なの?」
「どうしたリュウ?顔が赤いぞ?体調もしかして崩したか…?」
「だ、大丈びゅだよ!気にしないで!」
「ん?そうか?ならいいけど。」
軽快な会話が聞こえてきた方向を見ると狼獣人と本でしか見たことない毛皮のない人間が目に入った。
―あれはもしかして人間?!珍しすぎる!話しかけたいけど楽しそうだし間に入るのはよくなさそう…。
一瞬足が二人へ向かいそうになるのを堪えて宿屋へ入っていった。
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