陰キャの僕が陽キャのキラキラ女子に告られた

塩こんぶ

文字の大きさ
1 / 8

世の中には陰キャと陽キャがいる

しおりを挟む
「私と付き合ってくれない……?」
「……え?」
 よく恋愛小説であるベタな展開。
 ここは体育館裏で目の前にいるのは可愛いクラスメイトの女の子。
 僕はこの子に呼び出されてここへ来た。
 そして今、告白された。
 この展開、ベタすぎてまじベタベタ。
 ここから、この瞬間からこの二人の甘い高校生活が始まるのです。 

「いやごめん、君、誰?」
「……え?」
 さっきまで頬を赤らめて俯いていた女の子が顔を上げ、目をまん丸にして僕を見た。
「君、告白する人間違えたとかないかな?僕はパッとしない平凡な高校生。君みたいな可愛い女の子とは無縁なんだけど……」
「間違えてないよ!守山優樹もりやまゆうき君、だよね?間違えてないでしょ?あなたに私は今告白したの!」
「なんで君みたいな可愛い子が僕のこと知ってるの!?」
「傷ついた。私、クラスメイトだよ。あなたと同じクラス。なのに私の事知らないなんて……」
 僕はかけている眼鏡をクイッと上げ、まじまじとその子を見た。
 待てよ、どっかで見たことあるような……。
「あ!!君、同じクラスの西条さん?」
「思い出してくれた?」
「いや!でも!西条さんといったらクラスのアイドル的存在!いつも明るくニコニコしてて太陽みたいな人だ!僕なんてその太陽の光すら届かず光合成もできず教室の隅でひっそりと佇む陰キャ……。どうしてそんな太陽のような君が僕に……?」
 ありえない。
 僕は今までの人生恋愛経験ゼロ、告白なんてされたことは勿論ないし、これからもそんなことは起こらない予定だ。
 普通は嬉しいのだろうが、僕は目の前のにわかには信じられないこの出来事を理解できず、更には疑い始めていた。
 この子はもしかしたら陽キャパーティ(合コン)で何かゲームをして負けてクラスの一番地味な奴に告白するという罰ゲームをさせられているのかもしれない。
 この子はもしかしたら1週間以内に彼氏を作らないと世界が滅びる呪いにかかっていてクラスで一番地味な、告白すればホイホイ付き合えて用済みになればすぐポイポイできそうな陰キャの僕が適任だと思って告白してきたのか、何がともあれ理由を聞かせてほしい。
 ちゃんと嘘のない本当の理由を。
「好きって言ってるでしょ?何回も言わせないでよ……っ!」
 西条さんはスカートをギュッと握りしめ、真っ赤な顔で僕を見ている。
 これが本当に正真正銘の告白ならどんなに嬉しくてキュンとする瞬間だろうか。
「可哀想に……。そんなに頑張らないで。罰ゲームか何かなの?それかクラスで一番の陰キャに告白チャレンジなの?」
「どうして信じてくれないの?」
「僕みたいな陰キャにクラスの太陽のようなキラキラ陽キャの可愛い女の子が好意を持つわけがない!」
「キラキラ……?陽キャ……?」
「ああ、そうだよ。君たちみたいな人生楽しんでる毎日太陽の光を発してる人達のことを僕たちは陽キャって呼ばせていただいてるよ」
「ちょっと何言ってるのかわかんない……。とにかく、返事をください」
「勿論NOさ。僕は陽キャの罠には引っかからない」
「……っ!」
 なんてことだ……!
 西条さんは俯いて瞳からボロボロと大粒の涙をこぼしていた。
 僕は生まれて初めて女の子を泣かせてしまった。
 これは罪が重いぞ……。
「西条さんごめんね。泣かないで」
 僕は女の子の泣き止ませ方も分からないのであたふたと西条さんの周りをうろちょろすることしか出来なかった。
「じゃあ私と付き合ってくれるの?」
「あ、それは無理です」
「うわぁーん!!」
 西条さんは更にヒートアップし、大声で泣いている。
 こんなとこ誰かに見られていたら僕は罪人じゃないか……。
 学校中の陽キャにボコボコにされる。
 もはや学校中の陰キャですら味方してくれないだろう。
「お願いだから泣き止んでよー!」
「……なんなの?こんな可愛い私から告白されて断るってなんなの?二度とないチャンスだと思わないの?私に好きになられてこんな光栄なことをなんで素直に喜べないの?」
「え?今なんて……」
「だぁかぁらぁ!!この西条ゆめが!クラスで一番可愛いこの私が!あなたのこと好きって言ってるのに!なんでそんな頑なに断るの?彼女いないんでしょ!?……え、いるの?嘘でしょ……?もういるの……?私、出遅れた感じ……?」
「あ、いや、いないです」
「良かったー!なら良いでしょ?こんな可愛い女の子と付き合えて幸せでしょ?」
「君、自分が可愛いこと分かってるの?」
「勿論よ。あんなにチヤホヤされて分からないなんて鈍感すぎるわ」
「自信満々だな……」
 西条さん、こんなキャラだったっけ?
 いつもクラスメイトから可愛いって言われてもそんなことないよ、なんて謙遜してたような。
「もういい。今日のところは諦めてあげる。でも明日またチャレンジするわ。明日もこの時間ここに来て。また告白するから良い返事待ってるね」
「っちょ待てよ!」
 僕の渾身のモノマネを見ることなく西条さんは足早にこの場を去っていった。
 大丈夫、明日また告白されたって僕は騙されない。
 陰キャの僕が陽キャのキラキラ女子に本気で告られるわけがないのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...