[R18] 異世界は突然に……

あみにあ

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第五章

新章7:雨降る街で

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レックスは黙り込むと、辺りに静けさがおとずれる。
どうして黙り込むの……?
私の下手な嘘がばれているのかしら……?
私はレックスを見つめ続ける中、彼はそっと顔を上げると、ゆっくりと口を開いた。

「遣い魔か……。また懐かしい響きだな。この国では遣い魔ってのは過去の遺産だ。西の国ではまだ残っているのか?」

「えっ、それってどういうこと?西の国では魔法はなくて、遣い魔が主流よ。ねぇ……知っていたら教えてほしいのだけれども、遣い魔って一体何なの?」

「遣い魔ってのは……まだあの壁ができる前……東の国と西の国で、でかい戦争が起きていた時代に作られた物だ。東の国は北の国と同盟を結び、魔法に特化していた。西の国は南の国と手を組み、獣人のパワーと豊かな資源を使った武器で対抗していたが……やはり魔法の方が優勢だった。そこで西の国が新しく開発した武器が遣い魔だ。西の国の住人は魔力はあるが、魔法を使うことの出来る奴が、極端に少なかったようだからな。そこで血を使うことで無理矢理に魔法を行使する。これで東の国が優勢だった戦局が、西の国に押され始めたんだ。なんてたって遣い魔には魔法が効かねぇ。そんな事があってこの国にも、東の国でも魔導師以外に、国を守る騎士が存在するようになったんだ」

魔法が効かない……。
あぁ……だからあの時ヘビに当たらなかったのね。
戦争時代に開発されたものが、今もなお西の国では残っている……。
彼の言葉に考え込んでいると、レックスの腕が私の体を包みこんだ。
突然の事に慌てて顔を上げると、彼は優しい笑みを浮かべている。

「薬草について聞きたかった、てのはわかったが……俺に会いたいと思ってくれて嬉しかったよ」

そう優し気に語る彼の瞳は静かに揺らいでいる。

「ふふっ……あなたが元気そうで安心した。まだ北の国は帰ることは出来ていないけれど……必ず戻るわ」

そう笑みを浮かべて見せると、彼の顔が徐々に近づいてくる。

「えっ、ちょっ、ちょっと待って!!」

その様子に慌てて彼の胸を押し返すと、抱きしめる腕の力が強くなった。

「夢へ入るのに、相当な魔力を消費しただろう、俺の魔力をやるよ。このまま戻れば魔力切れとまではいかないが……しんどいだろう。まぁ……夢の中で魔力を与えられるのかはわからないがな……」

「えっ、そっ、それは大丈夫よ、心配してくれてありがとう。夢の中だとしても、あなたの婚約者に申し訳ないわ」

「……その心配はない、婚約はすでに破棄されたんだ。……正直に言えば、俺はあんたが好きだ。魔力の補充は口実で、あんたを抱きたい。夢の中でも構わない、あんたが欲しいんだ」

ストレートなその言葉にカッと頬が熱くなると、私は慌てて顔をそむける。

「どうして私……なの?彼女の方が長く一緒に居たのでしょう?過ごした時間もそんなに長くないわ……」

「あぁ……それは……。はぁ……これはあんまり言いたくなかったんだが、あんたは俺の初恋相手に似ているんだ。昔……俺がまだやんちゃだった頃だな、勉強が嫌で屋敷から街へ逃げ出した。その時に街中で女が一人、男に絡まれているのを見つけたんだ。ブロンドの髪にターコイズの瞳、あんたとは全く別人なんだろうけれど、なんていえばいいんだろうな……雰囲気が似てるんだ。彼女は男に絡まれながらも、怖がる様子を見せる事なく、むしろ立ち向かおうとしていた。大の男相手に、普通なら恐怖に怯えるはずだろう……。でもその女は揺らぐことない真っすぐな強い瞳で、男たち睨み返していた。俺はその姿に惹かれたんだ。……あれ以来何度か街へ出かけてみたが、その女にもう一度会うことはなかった。名前だけでも聞いておけばよかった、と何度後悔したか……。ははっ、俺の夢ってのもあるんだろうけどな……今あんたが着ているそのローブは、あの時に出会った女と同じだ。その姿をみると、本当によく似ている」

その言葉に自分の姿に目を向けてみると、紺色のローブが着せられていた。
このローブ……それに金髪に水色の瞳……。
それってまさか……過去の世界に行った私の事……?

確かに私はレックスに出会ったわ。
でもあれは……。
違う……あれはまだ世界が歪む前……正しい世界で起きた事実。
あまりの衝撃的な事に大きく目を見張り固まっていると、レックスの顔が目と鼻の先まで近づいてきていた。
そのまま彼の唇が重なると、甘い口づけが落とされる。

「うぅぅん……ッッ、……んんんッ……はぁ……ぅぅう……ッッ」

彼の舌が奥へ奥へと侵入してくると、甘い快楽が私を包みこんでいく。
熱い彼の舌に翻弄される中、渋れるような刺激に、徐々に脚から力が抜けていった。
私はしがみ付くように彼を握りしめると、腰に回された腕に力が入る。
舌はかき乱す様に激しく動き回る中、ようやく解放された時には、私は自分の脚で立っていることもできなくなっていた。
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