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第五章
新章6:立ちはだかる壁
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私はフカフカのベッドの上で目覚めると、腕にしっかりと巻き付いたミサンガが、目の前に映し出される。
はぁ……こうやって見ると、只の紐なのに……。
昨日外そうと試行錯誤してみたけれど、結局外すことは出来なかった。
外すことが出来ないのなら……何か別の方法で、身の安全を確保しないと……。
彼がいつ来るかわからないわ……。
私は徐に体を起こすと、薄暗い部屋の中、窓際へとやってくると、カーテンを開け放つ。
サンサンとした心地よい光を体に浴びると、私は大きく体を伸ばしていった。
その日はシナンを連れ広い王宮を案内され、夜は部屋で魔法の訓練を行っていた。
そうして何事もなく数日たったある日、朝目覚め着替えていると、トントントンとノックの音が部屋に響いた。
私は慌ててシャツのボタンを留めながらにはい、と返事を返してみると、扉が静かに開いていく。
「おはようございます。朝食をお持ち致しました」
メイドはニッコリと笑みを浮かべると、ワゴンを押しながらに部屋の中へと入ってくる。
そうしてテーブルへ並べていくと、香ばしい匂いが鼻を擽った。
「いつもありがとうございます」
私は匂いに誘われるようにメイドの傍へ行くと、そのまま椅子へと腰かける。
ここへ来て豪華な物が食べられるのは幸せね。
そんな事を考えながらパンをちぎっていると、メイドはごゆっくり、と静かに部屋を後にした。
一人になった部屋で用意されたフォークを手に取ると、肉らしきものを切り分けていく。
そうして優雅な朝食を堪能していると、またトントントンとノックの音が響いた。
「魔法使い、女王が呼んでいる。さっさと行くぞ」
「へぇ!?カミール?あっ、ちょっと待ってすぐに準備するわ」
扉の向こうから舌打ちが聞こえると、早くしろと言わんばかりにバンッと強く扉が叩かれる。
ちょっと何なのよ……何も聞いてないわよ……。
私は急いで出かける準備を済ませると、部屋を飛び出した。
廊下へ出ると、カミールとその隣にシナンがひょっこりと顔を出す。
「お待たせしてごめんなさい。シナン、おはよう」
「お姉さん、おはようございます!」
シナンは嬉しそうに私をギュッと抱きしめると、鼻をクンクンと鳴らした。
「お姉さんから美味しそうな匂いがします」
「ふふっ、さっきまで朝食を食べていたからね。シナンはもう朝食を頂いた?」
「おぃ、さっさと行くぞ」
カミールは私へ冷たい視線を向け、深く息を吐き出すと、さっさと廊下を進んでいく。
そんな彼の様子に顔を引きつらせる中、シナンは私の手を握りしめると、彼の背を追うように歩き始めた。
騎士や貴族だろう人たちとすれ違う中、階段を上り最上階までやってくると、カミールは一番奥の部屋へで立ち止まった。
近くにあった窓を覗き込んでみると、6階ぐらいだろうか……美しい街並みが一望できる。
街の向こうには青く澄んだ海が広がり、太陽の光でキラキラと輝いていた。
美しい景色に見惚れる中、カミールは扉をノックすると、中から騎士が現れ私たちの姿を確認していく。
コソコソと何か話し、騎士がこちらを窺いながらに頷くと、カミールを先頭に私たちは部屋の中へと入って行った。
中は広々した空間で、エスニックな絨毯に、アジアンなアンティークがいくつも並べられている。
部屋の窓からは来るときに見た壁が映し出され、日当たりはあまりよくない。
騎士に連れられるように進んでいくと、部屋の奥には何かを隠しているのか……大きなパーテーションが目に映った。
騎士は私達を待機させ、先に布の向こうへ向かうと、微かに話し声が耳にとどく。
コッソリ聞き耳を立てていると、バサッと布が大きく開かれた。
その先へ視線を向けると、そこにはニコニコと笑みを浮かべたパトリシアの姿があった。
「ようこそ、魔法使い様。こちらへどうぞ」
パトリシアは私の手を取ると、楽し気に中へと引っ張っていく。
パーテーションの中は思ったよりも広く、私は辺りをキョロキョロ見渡していると、部屋の奥から人影が現れる。
その人影に目を凝らしてみると、そこにはマーメイドドレスを着た女王の姿が映し出された。
「ご機嫌よう魔法使いさん、どうぞおかけになって」
女王の声にパトリシアは私の腕を強く引っ張ると、そのまま椅子へと誘っていく。
そうして彼女の向かいの席へ座らされると、何とも言えない緊張が走った。
全員席へとつくと、後ろについてきていた騎士たちが幕の外へと下がっていく。
一体……何が始まるのかしら……。
「突然呼び出してごめんなさい。でもどうしても早々に確認したい事があったの」
女王はどこからか小さな四角いの箱を取り出すと、私の前へ置いて見せる。
「これが何かご存知かしら?」
長方形の箱をマジマジと眺めてみると、微かに魔力を帯びているのを感じる。
これって……ワリッドが使っていた物と似ているわね。
微量な魔力が中央の黒い石から感じる。
「無線機……でしょうか?」
そう恐る恐るに答えてみると、女王は満足げにほほ笑んで見せた。
「ふふっ、さすが魔法使いね。まぁ~こんなもの魔法があれば必要ないでしょう。まぁ、それは置いといて……。今日お呼びしたのは、これで東の国と話をしてもらう為ですの。あなたの事を確認しておきたくて」
……壁の向こう側と連絡が取れるの!?
私は女王の言葉に驚き顔を上げると、彼女はニッコリと笑みを深めて見せた。
はぁ……こうやって見ると、只の紐なのに……。
昨日外そうと試行錯誤してみたけれど、結局外すことは出来なかった。
外すことが出来ないのなら……何か別の方法で、身の安全を確保しないと……。
彼がいつ来るかわからないわ……。
私は徐に体を起こすと、薄暗い部屋の中、窓際へとやってくると、カーテンを開け放つ。
サンサンとした心地よい光を体に浴びると、私は大きく体を伸ばしていった。
その日はシナンを連れ広い王宮を案内され、夜は部屋で魔法の訓練を行っていた。
そうして何事もなく数日たったある日、朝目覚め着替えていると、トントントンとノックの音が部屋に響いた。
私は慌ててシャツのボタンを留めながらにはい、と返事を返してみると、扉が静かに開いていく。
「おはようございます。朝食をお持ち致しました」
メイドはニッコリと笑みを浮かべると、ワゴンを押しながらに部屋の中へと入ってくる。
そうしてテーブルへ並べていくと、香ばしい匂いが鼻を擽った。
「いつもありがとうございます」
私は匂いに誘われるようにメイドの傍へ行くと、そのまま椅子へと腰かける。
ここへ来て豪華な物が食べられるのは幸せね。
そんな事を考えながらパンをちぎっていると、メイドはごゆっくり、と静かに部屋を後にした。
一人になった部屋で用意されたフォークを手に取ると、肉らしきものを切り分けていく。
そうして優雅な朝食を堪能していると、またトントントンとノックの音が響いた。
「魔法使い、女王が呼んでいる。さっさと行くぞ」
「へぇ!?カミール?あっ、ちょっと待ってすぐに準備するわ」
扉の向こうから舌打ちが聞こえると、早くしろと言わんばかりにバンッと強く扉が叩かれる。
ちょっと何なのよ……何も聞いてないわよ……。
私は急いで出かける準備を済ませると、部屋を飛び出した。
廊下へ出ると、カミールとその隣にシナンがひょっこりと顔を出す。
「お待たせしてごめんなさい。シナン、おはよう」
「お姉さん、おはようございます!」
シナンは嬉しそうに私をギュッと抱きしめると、鼻をクンクンと鳴らした。
「お姉さんから美味しそうな匂いがします」
「ふふっ、さっきまで朝食を食べていたからね。シナンはもう朝食を頂いた?」
「おぃ、さっさと行くぞ」
カミールは私へ冷たい視線を向け、深く息を吐き出すと、さっさと廊下を進んでいく。
そんな彼の様子に顔を引きつらせる中、シナンは私の手を握りしめると、彼の背を追うように歩き始めた。
騎士や貴族だろう人たちとすれ違う中、階段を上り最上階までやってくると、カミールは一番奥の部屋へで立ち止まった。
近くにあった窓を覗き込んでみると、6階ぐらいだろうか……美しい街並みが一望できる。
街の向こうには青く澄んだ海が広がり、太陽の光でキラキラと輝いていた。
美しい景色に見惚れる中、カミールは扉をノックすると、中から騎士が現れ私たちの姿を確認していく。
コソコソと何か話し、騎士がこちらを窺いながらに頷くと、カミールを先頭に私たちは部屋の中へと入って行った。
中は広々した空間で、エスニックな絨毯に、アジアンなアンティークがいくつも並べられている。
部屋の窓からは来るときに見た壁が映し出され、日当たりはあまりよくない。
騎士に連れられるように進んでいくと、部屋の奥には何かを隠しているのか……大きなパーテーションが目に映った。
騎士は私達を待機させ、先に布の向こうへ向かうと、微かに話し声が耳にとどく。
コッソリ聞き耳を立てていると、バサッと布が大きく開かれた。
その先へ視線を向けると、そこにはニコニコと笑みを浮かべたパトリシアの姿があった。
「ようこそ、魔法使い様。こちらへどうぞ」
パトリシアは私の手を取ると、楽し気に中へと引っ張っていく。
パーテーションの中は思ったよりも広く、私は辺りをキョロキョロ見渡していると、部屋の奥から人影が現れる。
その人影に目を凝らしてみると、そこにはマーメイドドレスを着た女王の姿が映し出された。
「ご機嫌よう魔法使いさん、どうぞおかけになって」
女王の声にパトリシアは私の腕を強く引っ張ると、そのまま椅子へと誘っていく。
そうして彼女の向かいの席へ座らされると、何とも言えない緊張が走った。
全員席へとつくと、後ろについてきていた騎士たちが幕の外へと下がっていく。
一体……何が始まるのかしら……。
「突然呼び出してごめんなさい。でもどうしても早々に確認したい事があったの」
女王はどこからか小さな四角いの箱を取り出すと、私の前へ置いて見せる。
「これが何かご存知かしら?」
長方形の箱をマジマジと眺めてみると、微かに魔力を帯びているのを感じる。
これって……ワリッドが使っていた物と似ているわね。
微量な魔力が中央の黒い石から感じる。
「無線機……でしょうか?」
そう恐る恐るに答えてみると、女王は満足げにほほ笑んで見せた。
「ふふっ、さすが魔法使いね。まぁ~こんなもの魔法があれば必要ないでしょう。まぁ、それは置いといて……。今日お呼びしたのは、これで東の国と話をしてもらう為ですの。あなたの事を確認しておきたくて」
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