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第3章 七番勝負の開始
第36話 カラスの先手番を研究したら
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「角頭歩か…」
悩まし気な顔をするのは、七番勝負で2戦目の相手となる蔦本浜辺五段。
佐倉から送られた棋譜や動画を見た感想だ。
棋譜に添付されたメモには、目新しいものを好むらしいクロは次に角頭歩戦法を指すのでは、とある。
「まあ、確かになあ」
クロが対局する動画をじっくり見た。
翌日、蔦本を中心に集まった「後手番でクロに勝つ会」の面々は、棋譜や動画を見てそれぞれの意見を述べた。
なお、会の名称は会員によって異なる。
ただし、
「後手番でクロに勝とう会」
「後手番でクロに勝てたらいいな会」
「後手番の対策を考えよう会」
「後手番で食い下がろう会」
「後手番で引き分けを目指そう会」
「後手番は捨ててクロをかく乱しよう会」
と次第に弱気な名称となっている。
これは棋士同士の対局でも、後手番の不利を感じている棋士が多いことが原因だ。
他には
「後手番っておいしいのかい?」
なんて名称を掲げた会員もいた。
クロ対策の意見も分かれた。
「ここは角頭歩に絞って対策を練るべきだ!」
「そこまで気にしなくても良いんじゃないか?」
「クロの駒落ちを研究した方が良さそうな…」
「こっちの得意な局面に引っ張り込む策を考えよう」
「それこそ角交換を逆手に取るような戦法はどう?」
「それより腹が減ったなあ」
などなど。
そしてジャンケンで負けた蔦本が弁当を買いに行くことになる。
「えーと、生姜焼きが2、で1つがダブル、シャケ弁が3、デミバーグが1、大盛り幕の内が1、カツカレーが2、そっちは決まった?ああ…から揚げ4個入りと。うん?から揚げ2個追加って、それなら6個入りがあるよ。豚汁欲しい人ー、1、2、3…7個ね。他は?ミニうどん…そんなのあるの?え…餅を追加?いやいや、それは無いから」
それぞれ満腹になった後に検討を再開する。
皆で相談した結果、佐倉が指した角頭歩振り飛車に絞って対策を練ることになった。先手、つまりクロが角頭歩の後に飛車を振ったと仮定して、その後に分かれ道になりそうな局面を絞り、将棋ソフトを駆使して最善手を追及する。
指し手の候補は無数に分かれるものの、局面をひとつひとつ追って要所要所で絞っていけば最善手の追及は難しくない。それぞれ優勢、もしくは勝勢、あるいは詰みまでも追いかける。
でもって、それを、丸暗記、と。
「しかし、どこかで手順を外されたら、どうしようか…」
蔦本が嘆く。
「角頭歩に絞るのが賭けだからな」
「まあ、その時は地力勝負だな」
「他人事と思って…」
一同から笑いが起こる。
「カラスに連敗はできんだろ」
「あーっと、ネットでは七番勝負で負け越したら坊主だって書き込みもあったな」
「対戦する7人が?それとも俺達棋士全員が?」
「うーん、福岡さんを除いた6人かな」
「おっ、逃げたぞ」
笑い声が起こる。
皆が帰った後も蔦本は研究を続ける。
角頭歩からの振り飛車には一応の準備ができたと感じた。
「万が一、いや百が一くらいで研究を外されたら、本当に地力勝負だなあ」
蔦本はパソコンの前から離れた。
悩まし気な顔をするのは、七番勝負で2戦目の相手となる蔦本浜辺五段。
佐倉から送られた棋譜や動画を見た感想だ。
棋譜に添付されたメモには、目新しいものを好むらしいクロは次に角頭歩戦法を指すのでは、とある。
「まあ、確かになあ」
クロが対局する動画をじっくり見た。
翌日、蔦本を中心に集まった「後手番でクロに勝つ会」の面々は、棋譜や動画を見てそれぞれの意見を述べた。
なお、会の名称は会員によって異なる。
ただし、
「後手番でクロに勝とう会」
「後手番でクロに勝てたらいいな会」
「後手番の対策を考えよう会」
「後手番で食い下がろう会」
「後手番で引き分けを目指そう会」
「後手番は捨ててクロをかく乱しよう会」
と次第に弱気な名称となっている。
これは棋士同士の対局でも、後手番の不利を感じている棋士が多いことが原因だ。
他には
「後手番っておいしいのかい?」
なんて名称を掲げた会員もいた。
クロ対策の意見も分かれた。
「ここは角頭歩に絞って対策を練るべきだ!」
「そこまで気にしなくても良いんじゃないか?」
「クロの駒落ちを研究した方が良さそうな…」
「こっちの得意な局面に引っ張り込む策を考えよう」
「それこそ角交換を逆手に取るような戦法はどう?」
「それより腹が減ったなあ」
などなど。
そしてジャンケンで負けた蔦本が弁当を買いに行くことになる。
「えーと、生姜焼きが2、で1つがダブル、シャケ弁が3、デミバーグが1、大盛り幕の内が1、カツカレーが2、そっちは決まった?ああ…から揚げ4個入りと。うん?から揚げ2個追加って、それなら6個入りがあるよ。豚汁欲しい人ー、1、2、3…7個ね。他は?ミニうどん…そんなのあるの?え…餅を追加?いやいや、それは無いから」
それぞれ満腹になった後に検討を再開する。
皆で相談した結果、佐倉が指した角頭歩振り飛車に絞って対策を練ることになった。先手、つまりクロが角頭歩の後に飛車を振ったと仮定して、その後に分かれ道になりそうな局面を絞り、将棋ソフトを駆使して最善手を追及する。
指し手の候補は無数に分かれるものの、局面をひとつひとつ追って要所要所で絞っていけば最善手の追及は難しくない。それぞれ優勢、もしくは勝勢、あるいは詰みまでも追いかける。
でもって、それを、丸暗記、と。
「しかし、どこかで手順を外されたら、どうしようか…」
蔦本が嘆く。
「角頭歩に絞るのが賭けだからな」
「まあ、その時は地力勝負だな」
「他人事と思って…」
一同から笑いが起こる。
「カラスに連敗はできんだろ」
「あーっと、ネットでは七番勝負で負け越したら坊主だって書き込みもあったな」
「対戦する7人が?それとも俺達棋士全員が?」
「うーん、福岡さんを除いた6人かな」
「おっ、逃げたぞ」
笑い声が起こる。
皆が帰った後も蔦本は研究を続ける。
角頭歩からの振り飛車には一応の準備ができたと感じた。
「万が一、いや百が一くらいで研究を外されたら、本当に地力勝負だなあ」
蔦本はパソコンの前から離れた。
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