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第3章 七番勝負の開始
第44話 カラスと研修会の昇級を祝ったら
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「し・よ・う・き・ゆ・うー(昇級)!」
「昇級ーーーーー!」
鈴香と歩美が大はしゃぎして将棋協会の建物から出てきた。
その後から2人の母親が微笑みつつ付いてくる。
2人に「気を付けてー」などと言っているものの、耳に入っていないようだ。
鈴香と歩美がはしゃいでいる理由はひとつ。
叫び声で分るように、今日の対局で2人そろって昇級したからだ。
研修会にEクラスで入会した2人。毎月2回行われる例会では4局指すことになっている。
相手は他の研修会員だったり、奨励会員だったり、棋士や女流棋士だったりする。
勝ったり、負けたり、勝ったり、勝ったり、負けたり、勝ったりしてきた。
その良いところを抜き出した成績で11勝4敗となったことでDクラスへの昇級へと至る。
「うふふ」
鈴香がニンマリ笑う。
「役に立ったよね、羽根」
歩美は「そう…かもね」と渋々うなずいた。
2人はポケットからハンカチを取り出す。
ゆっくり開くと、どちらからも3センチくらいの白い羽根が出てくる。
「やっぱりお守りなんだよ」
「まあ、ね。クロにありがとって言っておいて」
「オッケー!」
「ちょっとだけだから、良いでしょ」
歩美と別れた後、鈴香は祖父の家に寄るように母にお願いした。
「本当にちょっとだけだからね」
「はーい」
「じいちゃーん!昇級できたよ!」
居間に飛び込んできた歩美を祖父である馬場が迎える。
「そうか!」
馬場が歩美を抱きとめた。
「クロ!羽根が役に立ったよ!ありがとね」
歩美がクロの頭を撫でる。
クロは「クワア」とうれしそうに鳴いた。
「昇級の1番はどんなだった?」
馬場に望まれて歩美がD級に上がった将棋を並べ始める。
盤を挟んで馬場が座り、クロは盤の横で見守った。
「ふむ、相手が四間飛車か」
「うん、で、私は居飛車の急戦にしようかなーって」
駒をパチパチと進める。
歩美は一旦進めた銀を引くと王様を固める。
「ん?急戦は諦めた?」
「うーん、なんだか厳しいなって」
歩美が穴熊に囲うと、相手も穴熊にもぐる。
「相穴熊か。持久戦だな」
「うん」
その後、歩美が間合いを計るような駒の動きを再現していると、クロが「クワッ」と鳴いて盤に飛び乗った。
「あっ!」
クロは盤上の歩をくわえると、1つ前の升目に置いた。
「カア」
ひと声鳴いて自慢げに歩美と馬場を見る。
「この手が良いの?」
「そうみたいだなあ」
歩美と馬場は半信半疑ながら、クロの戦績を顧みると「良い手なんだろう」とのことで落ち着いた。
「ここから攻めるってことかあ」
歩美はその後の攻め筋を考えるが、なかなか思いつかない。
「うーん」
馬場も手を出しあぐねる。
「ねえ、クロォ、こっから先はどうするのよー」
歩美がクロに尋ねるものの、クロは頭を動かすばかりで、それ以上には駒を動かそうとはしない。
「佐倉さんに棋譜とクロの指し手を送っておくよ。何かアドバイスを貰えると思う」
「うん、お願い」
歩美は改めて勝った将棋を並べ直す。
「ここで相手が投了っと」
「そうか、よくやったな」
歩美が満面の笑みを浮かべる。
「これで辻井八冠に一歩近づいたかな」
馬場が「うーん」と腕組みする。
「確かに一歩進んだとは思うんだけど、ずっーと前を辻井八冠は全力疾走してそうだなあ」
「えーっ!そんなの嫌だあ」
投げ出した足をバタバタさせる。
「そう言ってもなあ…。辻井八冠はパソコンを自作して研究してるんだし、水瀬九段との研究会も続いてるようだしなあ。将棋に打ち込むのに最高の環境と言っても良さそうだな」
「私は学校もあるのにー」
「でもな、辻井八冠だって高校までちゃーんと行ってたんだぞ」
歩美が足をバタつかせるのを止める。
「そっか、そうだよね」
納得した歩美は駒を駒箱にしまうと、母親と一緒に帰って行った。
「さてと…」
馬場はパソコンを立ち上げると、歩美の棋譜に合わせてクロが指摘した手を添えて佐倉に送る。
「まあ、最善手なんだろうなあ」
馬場のつぶやきが聞こえたように、クロが「クワア」と鳴いた。
「昇級ーーーーー!」
鈴香と歩美が大はしゃぎして将棋協会の建物から出てきた。
その後から2人の母親が微笑みつつ付いてくる。
2人に「気を付けてー」などと言っているものの、耳に入っていないようだ。
鈴香と歩美がはしゃいでいる理由はひとつ。
叫び声で分るように、今日の対局で2人そろって昇級したからだ。
研修会にEクラスで入会した2人。毎月2回行われる例会では4局指すことになっている。
相手は他の研修会員だったり、奨励会員だったり、棋士や女流棋士だったりする。
勝ったり、負けたり、勝ったり、勝ったり、負けたり、勝ったりしてきた。
その良いところを抜き出した成績で11勝4敗となったことでDクラスへの昇級へと至る。
「うふふ」
鈴香がニンマリ笑う。
「役に立ったよね、羽根」
歩美は「そう…かもね」と渋々うなずいた。
2人はポケットからハンカチを取り出す。
ゆっくり開くと、どちらからも3センチくらいの白い羽根が出てくる。
「やっぱりお守りなんだよ」
「まあ、ね。クロにありがとって言っておいて」
「オッケー!」
「ちょっとだけだから、良いでしょ」
歩美と別れた後、鈴香は祖父の家に寄るように母にお願いした。
「本当にちょっとだけだからね」
「はーい」
「じいちゃーん!昇級できたよ!」
居間に飛び込んできた歩美を祖父である馬場が迎える。
「そうか!」
馬場が歩美を抱きとめた。
「クロ!羽根が役に立ったよ!ありがとね」
歩美がクロの頭を撫でる。
クロは「クワア」とうれしそうに鳴いた。
「昇級の1番はどんなだった?」
馬場に望まれて歩美がD級に上がった将棋を並べ始める。
盤を挟んで馬場が座り、クロは盤の横で見守った。
「ふむ、相手が四間飛車か」
「うん、で、私は居飛車の急戦にしようかなーって」
駒をパチパチと進める。
歩美は一旦進めた銀を引くと王様を固める。
「ん?急戦は諦めた?」
「うーん、なんだか厳しいなって」
歩美が穴熊に囲うと、相手も穴熊にもぐる。
「相穴熊か。持久戦だな」
「うん」
その後、歩美が間合いを計るような駒の動きを再現していると、クロが「クワッ」と鳴いて盤に飛び乗った。
「あっ!」
クロは盤上の歩をくわえると、1つ前の升目に置いた。
「カア」
ひと声鳴いて自慢げに歩美と馬場を見る。
「この手が良いの?」
「そうみたいだなあ」
歩美と馬場は半信半疑ながら、クロの戦績を顧みると「良い手なんだろう」とのことで落ち着いた。
「ここから攻めるってことかあ」
歩美はその後の攻め筋を考えるが、なかなか思いつかない。
「うーん」
馬場も手を出しあぐねる。
「ねえ、クロォ、こっから先はどうするのよー」
歩美がクロに尋ねるものの、クロは頭を動かすばかりで、それ以上には駒を動かそうとはしない。
「佐倉さんに棋譜とクロの指し手を送っておくよ。何かアドバイスを貰えると思う」
「うん、お願い」
歩美は改めて勝った将棋を並べ直す。
「ここで相手が投了っと」
「そうか、よくやったな」
歩美が満面の笑みを浮かべる。
「これで辻井八冠に一歩近づいたかな」
馬場が「うーん」と腕組みする。
「確かに一歩進んだとは思うんだけど、ずっーと前を辻井八冠は全力疾走してそうだなあ」
「えーっ!そんなの嫌だあ」
投げ出した足をバタバタさせる。
「そう言ってもなあ…。辻井八冠はパソコンを自作して研究してるんだし、水瀬九段との研究会も続いてるようだしなあ。将棋に打ち込むのに最高の環境と言っても良さそうだな」
「私は学校もあるのにー」
「でもな、辻井八冠だって高校までちゃーんと行ってたんだぞ」
歩美が足をバタつかせるのを止める。
「そっか、そうだよね」
納得した歩美は駒を駒箱にしまうと、母親と一緒に帰って行った。
「さてと…」
馬場はパソコンを立ち上げると、歩美の棋譜に合わせてクロが指摘した手を添えて佐倉に送る。
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馬場のつぶやきが聞こえたように、クロが「クワア」と鳴いた。
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