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第4章 棋士の立場
第63話 カラスがタイトルホルダーと対戦したら(その2)
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「佐藤先生、3分経過しました」
中盤を過ぎたところで、佐藤巧叡王の手が止まった。
通常の対局であれば、3分程度の消費時間は短いうちに入るのだが、今回の七番勝負では長考となる。
佐藤は「はい」と応えて、手を進めた。
解説室に画面が変わる。
解説の守口敏内九段が難しい顔をして大盤を見つめる。
聞き手の浜内貴理子女流三段が話しを振った。
「佐藤先生、随分と考えましたね」
「3分どころか、3~4カ月くらい考えていたようにも思えました」
守口の言葉に浜内はもちろんのこと、周囲のスタッフからも笑い声が上がった。
「それだけ大事な局面ではあるんですけどね」
「先手番のクロさんの攻勢になりそうでしょうか」
守口が「ええ」と大盤に手を伸ばす。
「攻め手はいろいろありそうですが…」
いくつかの歩を突き捨てた後、銀を出る手、角を回る手、飛車をさばく手などを挙げていく。
そう解説しているうちに、クロが歩を前に出した。
「あ、当たっていますね」
浜内が指摘すると、守口が「ははっ」と照れたように笑う。
コトン
パチリ
コトッ
パチン
カタッ
パチリ
守口の解説通りに、クロが歩を前に出すと、その歩を佐藤が取るのを3度繰り返す。
コツン
クロは飛車をさばく手を選択した。
「これは守口先生が指摘した手のひとつですね」
「ええ、一番大胆な手だと思います」
パシッ
佐藤も読み筋だと言わんばかりに、ほとんど考えないで応じる。
そこからもパタパタと手が進み、局面は中盤から終盤の入り口に差し掛かった。
「クロさんの攻勢でしたけど、佐藤先生も負けずに攻め合いになりましたね」
「ええ、どちらが攻め切るかですが…」
大盤を見る守口の難しい顔は変わらない。
「先手も後手も攻め切るのは難しいような…」
「ソフトの形勢判断も、ほぼ互角のままです」
コトリ
パチン
コトッ
ピシッ
そこから何手か進んで終盤に突入する。
「あれっ!?」
聞き手の浜内が声を上げた。
守口が「どうしました?」と尋ねると、浜内がソフトの数値を指差す。
「これって…」
「あーなるほどねえ」
形勢判断の数値がクルクル変わっていく中で、千日手を示す数値が時折出てくるようになった。
「ああ、そうか!」
大盤で守口が再現する。
「ここで佐藤さんが桂馬で銀を取ると、取った銀をこうして…」
パタパタと手を進めていく。
佐藤が打った銀をクロが銀で取る。
その銀を佐藤が取り返す。
クロが王将を守って銀を打って受ける。
そこへ佐藤がまた銀を打つ。
「これは千日手ですねえ」
浜内も納得した表情をみせた。
「もっとも、これ以外の手順もいろいろありますしね」
そう守口は言ったものの、局面は予想した方向に進んで行く。
「どこかで変化はできませんか?」
「いえ、できますよ」
守口は大盤で千日手に向かわない手順を見せていく。
「こうすればクロさんの攻め、佐藤さんの受けになりますし、逆もあるかな…」
しかしそれらの手はことごとく外れていく。
ピシッ
コチリ
パチッ
コトッ
佐藤が盤上の銀を駒台に乗せると、桂馬を指でつまんで進める。
ひときわ高く「ピシリ」と音がした。
「うーん、これは…」
相変わらず難しい顔をする守口に浜内が「千日手に?」と聞いた。
「ええ、なりそうです」
少し前に守口が解説した手順がそのまま再現される。
同一局面が4回現れたところで、差し手を読み上げる岡田女流二段が困ったような顔をみせた。
「ちょっと行ってきます」
「はい、お願いいたします」
解説と共に立会役も兼ねている守口が解説室から出て行った。
---------------------------------------------------------------------
長いこと放置して申し訳ありませんでした。
何とか再開することができました。 (^^;)ゞアセアセ
今後は毎日…と言いたいところですが、何とか無理のない範囲で頑張っていきたいと思います。
同時に「【R18】入れ替わり農民の殿様ハーレム物語」も執筆しています。
タイトルで分るように、全くジャンルが異なりますが、よろしければご一読ください。
m(_ _)m
中盤を過ぎたところで、佐藤巧叡王の手が止まった。
通常の対局であれば、3分程度の消費時間は短いうちに入るのだが、今回の七番勝負では長考となる。
佐藤は「はい」と応えて、手を進めた。
解説室に画面が変わる。
解説の守口敏内九段が難しい顔をして大盤を見つめる。
聞き手の浜内貴理子女流三段が話しを振った。
「佐藤先生、随分と考えましたね」
「3分どころか、3~4カ月くらい考えていたようにも思えました」
守口の言葉に浜内はもちろんのこと、周囲のスタッフからも笑い声が上がった。
「それだけ大事な局面ではあるんですけどね」
「先手番のクロさんの攻勢になりそうでしょうか」
守口が「ええ」と大盤に手を伸ばす。
「攻め手はいろいろありそうですが…」
いくつかの歩を突き捨てた後、銀を出る手、角を回る手、飛車をさばく手などを挙げていく。
そう解説しているうちに、クロが歩を前に出した。
「あ、当たっていますね」
浜内が指摘すると、守口が「ははっ」と照れたように笑う。
コトン
パチリ
コトッ
パチン
カタッ
パチリ
守口の解説通りに、クロが歩を前に出すと、その歩を佐藤が取るのを3度繰り返す。
コツン
クロは飛車をさばく手を選択した。
「これは守口先生が指摘した手のひとつですね」
「ええ、一番大胆な手だと思います」
パシッ
佐藤も読み筋だと言わんばかりに、ほとんど考えないで応じる。
そこからもパタパタと手が進み、局面は中盤から終盤の入り口に差し掛かった。
「クロさんの攻勢でしたけど、佐藤先生も負けずに攻め合いになりましたね」
「ええ、どちらが攻め切るかですが…」
大盤を見る守口の難しい顔は変わらない。
「先手も後手も攻め切るのは難しいような…」
「ソフトの形勢判断も、ほぼ互角のままです」
コトリ
パチン
コトッ
ピシッ
そこから何手か進んで終盤に突入する。
「あれっ!?」
聞き手の浜内が声を上げた。
守口が「どうしました?」と尋ねると、浜内がソフトの数値を指差す。
「これって…」
「あーなるほどねえ」
形勢判断の数値がクルクル変わっていく中で、千日手を示す数値が時折出てくるようになった。
「ああ、そうか!」
大盤で守口が再現する。
「ここで佐藤さんが桂馬で銀を取ると、取った銀をこうして…」
パタパタと手を進めていく。
佐藤が打った銀をクロが銀で取る。
その銀を佐藤が取り返す。
クロが王将を守って銀を打って受ける。
そこへ佐藤がまた銀を打つ。
「これは千日手ですねえ」
浜内も納得した表情をみせた。
「もっとも、これ以外の手順もいろいろありますしね」
そう守口は言ったものの、局面は予想した方向に進んで行く。
「どこかで変化はできませんか?」
「いえ、できますよ」
守口は大盤で千日手に向かわない手順を見せていく。
「こうすればクロさんの攻め、佐藤さんの受けになりますし、逆もあるかな…」
しかしそれらの手はことごとく外れていく。
ピシッ
コチリ
パチッ
コトッ
佐藤が盤上の銀を駒台に乗せると、桂馬を指でつまんで進める。
ひときわ高く「ピシリ」と音がした。
「うーん、これは…」
相変わらず難しい顔をする守口に浜内が「千日手に?」と聞いた。
「ええ、なりそうです」
少し前に守口が解説した手順がそのまま再現される。
同一局面が4回現れたところで、差し手を読み上げる岡田女流二段が困ったような顔をみせた。
「ちょっと行ってきます」
「はい、お願いいたします」
解説と共に立会役も兼ねている守口が解説室から出て行った。
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長いこと放置して申し訳ありませんでした。
何とか再開することができました。 (^^;)ゞアセアセ
今後は毎日…と言いたいところですが、何とか無理のない範囲で頑張っていきたいと思います。
同時に「【R18】入れ替わり農民の殿様ハーレム物語」も執筆しています。
タイトルで分るように、全くジャンルが異なりますが、よろしければご一読ください。
m(_ _)m
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