日常理論

「ヘキサゴン知らないの?」
「だから、六角形のことじゃなくて?」

他愛もない会話をしていた。
最近君が苛立っていることは感じていた。
だからこそ、少しでも空気を和らげようと思っただけだったのだ。

「六角形?違うよ、クイズ番組の名前。でも、君の歳だと見た事ないのか。」

他意はなかった。バカにしたわけでも、マウントを取ったわけでもない。
しかし突然に、君は怒りに顔を歪ませた。(それこそ般若のようだった)

「お前のそーゆー気の抜けたところが嫌いなんだよ」と怒鳴って出て行ってしまった。

黒い傘を手に取り玄関を飛び出る。
肌に纏わりつく様な湿気を切り走る。
彼女の姿は追いきれない。(さすが陸上インターハイ経験者)

呆然と立ち尽くし、そうだったと思い出す。
災害はいつだって不意に現れて全てを瞬く間に崩壊へと導く。
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