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1章⭐︎リオンシュタット初心者編⭐︎

森の野菜を調べよう!

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-side オーウェン-



『お肉!お肉!早く、食べたいぜ!』
「そうだな」


 その前に、なんの心の準備もなく、衝撃的な風景を見せてしまったため、放心状態の、ロンをどうにかしないといけないようだ。
 本当にすまんかったとは思っている。


 家に着いた俺は、トムとレムに紅茶の用意を任せ、ソファーに座る。疲れていたので、こういう時に世話係がいるのは本当に助かる。


「ロン?」
「はひっ!?」
「大丈夫か?とりあえず、紅茶でも飲んで落ち着こう」
「はっ!はぃぃぃぃ!おちっ、おちっ……、あちっ!」


 ……本当に大丈夫だろうか?この子。
 こんな事で驚いていたら、魔境はとても苦労するだろう。……おっと、こんな感想が出る時点で、俺もリオンシュタットに染まりつつあるのかもしれない。
 ロンは、紅茶を飲み慣れていないのか、焦っているだけなのか、分からないが、舌を火傷したようで、[ヒール]と唱えていた。


「ゆっくりでいい。落ち着いたら、今後の事も含めて話そう」
「はぃぃ……、そ、その、ありがとうございます!」
「大丈夫」


 むしろ、俺が、前触れもなく、驚かせすぎたのが8割方悪いからな。こちら側から謝りたいくらいである。


「あ、あの……、私のことは大丈夫なので、森の方の調査に行ってください。師匠もきっと早く報告して欲しいだろうから……」
「しかし……」
「大丈夫です。何かあれば、ポーション飲んで元気出します!」


 それは、大丈夫じゃないやつでは?
 そう思ったが、ロンの方も容易に引き下がりそうもないので、トムとレムを置いていく事にした。護衛は、シルフがいれば充分だ。




 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢




 ここの森で、実っている野菜は、一般に流通している野菜とは異なる野菜だった。
 正直、ツヤッツヤの新鮮なお野菜ばかりだ。後で、エリーゼさんにも、報告をするが、その前に鑑定をして、特殊な特性を持っている野菜を把握しておきたい。


「まずはこちらからだ」
『俺!食ってみるぜ!』
「助かる」


 食いしん坊の、シルフの部下に食べて貰うことにした。


 エルムシュルーム:特別なキノコで、発光するキノコの一種です。夜間になると光を放ち、森の中を明るく照らします。また、食用であり、特有の香りと風味を持っています。食べると体が発光します。


『美味しいぜ!』
『美味ですわ!』
『美味しい』
「ほえーー!」


 ピッカーー!とシルフと、その部下達は光っている。


『これ、迷子の子供が食べたら、遠くからでも、一発で親は発見できるな』
『確かに~!結構、便利なのでは?』
『状況が限定的すぎるよ。幼い子供が生きていくのが厳しいリオンシュタットでは、試せないと思う』
「そもそも、迷子になったと泣く前に、キノコを頬張る子供なんか、いてたまるか」
『『『それはそう』』』


 と言うわけで、次。


 シルバーキャロット: 通常のにんじんとは異なり、シルバーキャロットは銀色の皮を持つ野菜です。これを食べると、一時的に体力が増加し、精霊の魔法を使う力を高めることができると信じられています。


『うおおおお!力がみなぎるぜ!』


 そう言って、シルフの部下は、風魔法を扱ってみせる。
 

「おおーー!」


 中々の、高威力の風魔法だ。
 ただ、鑑定を見る限り、人間が使っても意味はなさそう。はい次。


 フェアリーリーフ: 美しい葉が透明であり、人間が食べることで透明になることができると言われています。冒険者たちはこれを使って敵から身を隠すことがあります。


『ん……?姿が消えないぞ?』
「精霊には、効果がないのか?一応、冒険者だし、俺も食ってみるか。うまっ!」
『だね。--って、主人?どこにいる?』
「ここだけど?」
『声しか聞こえない』
「まじで食べると姿が消えるんだ。というか、どこの冒険者だよ?こんな、貴重な葉っぱを平然と食べていたのは……」


 どうやら、本当に姿が消えたらしい。
 鑑定で、出てくるって事は過去の冒険者は、食べていたんだろうけど、最初に食べた人、チャレンジャーすぎないか?
 見た目は、ただの葉っぱだぞ?これ。
 加工の仕方によっては、暗殺とかにも使えるやばい葉っぱだ。有用な可能性ありっと。
 はい次。


 スターデュストポテト: 夜空を連想させるような斑点模様の皮を持つジャガイモです。食べると夢の世界に連れて行かれると信じられており、夢の中での冒険や予知に使用されます。
なお夢は、大体幻覚です。たまに当たる。たまに食べた人が夢から戻ってこなくなります。


「……って、こんなやばい特性を持つ野菜食えるかあ!!」


 夢の世界って、幻覚を見るとかではないのか?多分そうだ。
 何でもかんでも、食えばいいって訳ではないと言う事が分かった。
 こんな野菜、燃やしてしまおう。


『ああああ!なんて事をしているんだい?』
「シルフ、これは夢の世界に連れて行かれる効果があると言われるやばいジャガイモなんだ」
『知ってるよ!それ!食べると、夢の中で女神様が、不思議な国で、願い事を叶えてくれるジャガイモだよ!?』


 何その、メルヘンな食べ物。
 というか、いるんだ、神様。
 あるんだ……、不思議な国。
 通りで、帰ってこない人がいる訳……。


 オチ担当のお野菜調査が終わった後、俺は精霊の野菜調査100本ノックを行った後で、家に帰るのだった。
 正直、野菜より肉が食いたくなってきた。



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