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彼に会いたくて
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目覚めた時にアンリはいなかった。
アンリの部屋は一部屋だから、いるかいないかすぐに分かる。部屋には鍵がかかっていて、だが外に出ようと思えば内側からも開けられる。
外は危ないかもしれないし、アンリと会えないかもしれない。待つのが吉だろう。
小さな小窓に近づく。今は昼間のようだ。しかし小窓は高すぎて空しか見えない。賑やかな雰囲気だけ感じられる。テーブルにのったら怒られるかなあ。
この世界の様子が気になる。
困っていたら、ガチャリとドアが開いた。
「起きてたんだね、ミア」
柔らかな微笑みが私に向けられる。
「おかえりなさい、アンリ」
私は駆け寄る。アンリの帰りがすごく嬉しい。ニコニコしながら側によると、アンリが目を伏せる。
「やばい、ミア可愛い」
やっぱり女好きのアンリだから歯の浮くようなセリフがすぐ出てくるんだわ。どうせ慣れっこだろうからと私も好き勝手言うことにする。
「抱っこして」
面食らったようにアンリは目を開いて、仕方ないなという感じで私を抱き上げる。
「お姫様は警戒心がなさすぎるよ、誰にでもおねだりしちゃだめだぞ」
「アンリにしかしないわ」
アンリは私をベッドまで運び、自分の髪もほどいた。
「ミアは何か思い出した?まあ、無理に思い出さなくてもいいんだけど」
「この国のことは色々思い出したけど…」
というか小説で履修したんだけど。
「自分のことはさっぱり」
アンリは安堵したような、何とも言えない表情になる。
「思い出せなかったら、その…」
言いにくそうに、アンリはくちごもる。
「その…?」
私はその続きが聞きたい。
「ずっと俺が面倒みるから遠慮すんなよ」
「わたくしに出来る事はないかしら」
あまりに世話をかけて、嫌われるのは怖い。
「ベッドで、そんなこと言って大人の男を煽んないの」
アンリは軽口をたたくように笑い、頭をポンポンする。アンリにとっては私なんて対象外のお子様なんだろうな。ペットの拾ってきた猫扱いでも、側にいられたらなんでもいい。
「で、自分のこと以外は何を思い出したの?」
「んー、と」
付け焼き刃の登場人物の名前ぐらいである。
「ジュリアン・デュ・ヘルツェード?」
その名を聞いてアンリは笑い出した。
「あはは、この国の王太子の名前だね。あとは?」
あとは誰だっけ。
「ドラコ・リントヴルム」
「そいつは怖い、伝説の魔王だね」
「ユティカ」
その名を聞いた、アンリは押し黙った。
「それは聞いたことあるな…誰だっけ、あ」
胸にの傷をなぞるように手を当てる。
「この傷を治してくれた娘がそう名乗ってたなあ」
アンリは空色の目で私をまっすぐに見た。
「知り合い?」
「知り合いじゃないわ、一方的に知ってるだけ。ユティカは男爵家の娘でピンク色の髪で、聖女の証が出てて、あと暴漢に襲われたとこを貴方に助けられて聖癒魔法で、傷を癒したことぐらいしか知らないわ。あと、それで2人は恋に落ちる…」
急に饒舌になった私にアンリは驚いたみたいだ。
「最後だけ違うよ、彼女は確かに可愛らしかったけど恋には落ちてない。これからも傷を癒したいと言われたけど、うちにはお姫様がいるからちゃんと断った。ねえ、記憶がないのは本当?」
「自分が誰か分からないのは本当」
私は自重気味に笑う。嘘はついていない。
「でも、この話を総合するに君はやっぱり特別な女の子だから、この部屋には置いておけないな」
アンリの部屋は一部屋だから、いるかいないかすぐに分かる。部屋には鍵がかかっていて、だが外に出ようと思えば内側からも開けられる。
外は危ないかもしれないし、アンリと会えないかもしれない。待つのが吉だろう。
小さな小窓に近づく。今は昼間のようだ。しかし小窓は高すぎて空しか見えない。賑やかな雰囲気だけ感じられる。テーブルにのったら怒られるかなあ。
この世界の様子が気になる。
困っていたら、ガチャリとドアが開いた。
「起きてたんだね、ミア」
柔らかな微笑みが私に向けられる。
「おかえりなさい、アンリ」
私は駆け寄る。アンリの帰りがすごく嬉しい。ニコニコしながら側によると、アンリが目を伏せる。
「やばい、ミア可愛い」
やっぱり女好きのアンリだから歯の浮くようなセリフがすぐ出てくるんだわ。どうせ慣れっこだろうからと私も好き勝手言うことにする。
「抱っこして」
面食らったようにアンリは目を開いて、仕方ないなという感じで私を抱き上げる。
「お姫様は警戒心がなさすぎるよ、誰にでもおねだりしちゃだめだぞ」
「アンリにしかしないわ」
アンリは私をベッドまで運び、自分の髪もほどいた。
「ミアは何か思い出した?まあ、無理に思い出さなくてもいいんだけど」
「この国のことは色々思い出したけど…」
というか小説で履修したんだけど。
「自分のことはさっぱり」
アンリは安堵したような、何とも言えない表情になる。
「思い出せなかったら、その…」
言いにくそうに、アンリはくちごもる。
「その…?」
私はその続きが聞きたい。
「ずっと俺が面倒みるから遠慮すんなよ」
「わたくしに出来る事はないかしら」
あまりに世話をかけて、嫌われるのは怖い。
「ベッドで、そんなこと言って大人の男を煽んないの」
アンリは軽口をたたくように笑い、頭をポンポンする。アンリにとっては私なんて対象外のお子様なんだろうな。ペットの拾ってきた猫扱いでも、側にいられたらなんでもいい。
「で、自分のこと以外は何を思い出したの?」
「んー、と」
付け焼き刃の登場人物の名前ぐらいである。
「ジュリアン・デュ・ヘルツェード?」
その名を聞いてアンリは笑い出した。
「あはは、この国の王太子の名前だね。あとは?」
あとは誰だっけ。
「ドラコ・リントヴルム」
「そいつは怖い、伝説の魔王だね」
「ユティカ」
その名を聞いた、アンリは押し黙った。
「それは聞いたことあるな…誰だっけ、あ」
胸にの傷をなぞるように手を当てる。
「この傷を治してくれた娘がそう名乗ってたなあ」
アンリは空色の目で私をまっすぐに見た。
「知り合い?」
「知り合いじゃないわ、一方的に知ってるだけ。ユティカは男爵家の娘でピンク色の髪で、聖女の証が出てて、あと暴漢に襲われたとこを貴方に助けられて聖癒魔法で、傷を癒したことぐらいしか知らないわ。あと、それで2人は恋に落ちる…」
急に饒舌になった私にアンリは驚いたみたいだ。
「最後だけ違うよ、彼女は確かに可愛らしかったけど恋には落ちてない。これからも傷を癒したいと言われたけど、うちにはお姫様がいるからちゃんと断った。ねえ、記憶がないのは本当?」
「自分が誰か分からないのは本当」
私は自重気味に笑う。嘘はついていない。
「でも、この話を総合するに君はやっぱり特別な女の子だから、この部屋には置いておけないな」
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