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第四章.ダンジョン攻略大作戦

12.自然界の掟

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当初の目的では指定された薬草を採取することだったが、その必要は無くなった。

何故ならそれ以上のアイテムを手に入れたからだ。


「なんと強運なのだお前は」

「凄いです!流石です!」


棚ぼた状態になっている俺は良いのだろうかとも思ったが、収穫があったので良しとしよう。

「しかし、変だな」

「ええ…こんな貴重なキノコはCランクの森に生えているなんてありえないのですが」

二人も当初から疑問に思っていたが、俺は確信をした。


「この地図、可笑しくないか」

「え?」


俺は森に入った時からやたらと魔獣のレベルが高いことに気づいていた。

Cランクの森に生息するはずのスライムは一向に見当たらなかったし、他にも違和感を感じていた。


「ん?待て…」

地図を太陽の光に照らすと文字がにじみ出していく。


「これは!」

「別の文字が浮かんできました!」

「ああ‥これは!」


太陽の光に翳すと別の地図に変化する。


「おい、この地図はCランクの地図じゃない!全部でたらめだ…うまく似せているが」

「えっ!」

「ああ、どうりで変だと思ったんだ」

森に入った時は気づかなかった。
おそらく魔法で地図を上書きしていたんだろう。

「じゃあゲートに入るときに私達は入ったのは別の入り口だったんですか?」

「たぶん…あの時だ」

地図が別のモノにすり替わったとすればあの時しかない。

「アイツ等か!」

「私とぶつかったあの人!」

ワザとぶつかり俺達の地図をすり替えたんだろう。

森で遭難するか、魔獣に食い殺されたとしても、自己責任になるからな。

「アイツ等、よくもふざけた真似を」

「そんなどうして…」

カシャ!


振り替えた拍子にミツバさんのリボンから何かが落ちる。

「これは?」

「何だ、この水晶は…いや、待て!」

レントン様はリボンについている小さな水晶を見て声を荒げた。


「これは魔獣を呼び寄せる水晶ではないか!魔獣との訓練に騎士達が使うモノだ…ご丁寧に真珠のサイズにしてあるとは…最初から狙っていたのか!」

「じゃあ、オークが襲ってきたのは」

「間違いない、この水晶の所為だ。やたらとミツバを標的にしていると思ったが…」

これではっきりした。
俺達は最初から仕組まれていたんだ。

この森に入り、遭難させるか、魔獣に襲われるように仕向けるか。


「ですが、こんな魔力をどうやって…」

「思い当たる人物がいる。言いたくはないが」

レントン様は犯人を特定していた。

同時に信じたくない気持ちでいっぱいだった。


「微かに魔力を感じる…この魔力はマリエだ」

「えっ…」

「クソっ!何故だ…どうして、こんなことを!」



かつては愛した女性であったからか、レントン様は辛そうに顔を顰めながらも震えていた。


ここまでするのか?
あの女は一時でも情を重ねたレントン様もいるのに、どうしてこんな酷い真似ができるのか。

そして彼女達はどうしてこんな真似をしたのか解らなかった。





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