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第四章.ダンジョン攻略大作戦
閑話3.因果応報
しおりを挟む以前から、下級貴族出身であるリナはマリエと顔見知りだった。
そこでマリエから話を持ちかけられた。
リナは下級貴族出身で、魔力も低く、治癒師としても優秀ではなかった。
逆に平民でありながら、強い魔力を持ち、聖女候補に選ばれているミツバを憎んでいたので、同じくミツバの存在を憎いんでいるマリエに協力した。
とはいっても地図を奪ってあることをするだけだった。
些細な悪戯であるので、後から問題になっても責任はないとも言われた。
何故なら、レントンはミツバに騙されている。
だから目を覚まさせる為にも力を貸して欲しいとのことだったが、フセインはミツバとレントンがどうなろうともどうでも良かった。
‥‥が。
(マリエ嬢はこの俺を頼ってくれたんだ)
以前からマリエに好意を持っていたフセインはマリエの頼みごとを聞きながらレントンに失態を重ねさせ、簡単なダンジョン攻略で恥をかかせたやろうと思った。
別に遭難しても、死ぬようなことはない。
相手は王族だし、すぐに捜索隊が来るはずだ。
そう思っていたが、フセインはダンジョン攻略も、冒険者をちゃんと理解してなかった。
***
「ゴブリンが増えて来たぞ!」
「なんでだ!どうして…何かがゴブリンを引き寄せているのか!」
「やけに雌が多いです‥きゃああ!」
わらわらと増えるコブリンの中に体格のいい雌ゴブリンが手を伸ばし、フセインの胸ぐらを掴む。
まるでうっとりとした表情だったが、フセインはぞっとする。
「いやぁぁ!」
「何をする!」
リナは雄のコブリンに抱えられてしまう。
ポールは抵抗を試みるも、力で押さえつけられる。
「いや…やめて!」
ガクガクと震えるリサは雄のコブリンが何をしようとしているのか想像がついた。
殺そうとはしていないが、下から上まで品定めのような目で見ていた。
雄のコブリンは森に迷い込んだ人間を襲い、自分達の巣に連れ帰ることがある。
気に入れば自分の子供を産ませたりもする。
直ぐに、その視線に気づいたリナは、捕まってしまえばどうなるか解っていたので恐怖心を抱いた。
「いや…やめて」
ガタガタと震えながら恐怖に怯えるも、縄で両腕拘束された状態では逃げられなかった。
「フセイン様!助け…」
「おい、コブリン!そいつは好きにしていい。俺達は助けてくれ!」
「そうだ!こんな女で良いなら好きにしろ」
助けを求めようとしたリナだったが、フセインとポールは我が身可愛さにリナを売った。
「そんな!」
「そもそも、お前の所為でこんな目にあったんだ!俺達に詫びろ!」
「そうだ、所詮貴様程度の女等、コブリンしか相手にしてくれんわ!」
あんなまりな言い草だった。
全てはリサが悪い、だからリサが犠牲になるべきだと思ったのだが、二人は気づかない。
雌のコブリンが手を緩めたことで納得したのだと思った矢先。
「シャー!!」
「ひっ!」
雌のコブリンは発情したのか、フセインに覆いかぶさった。
「ぎゃあああ!」
「何だ!」
もう一体の雌コブリンはポールに抱きつき押し倒し、そのまま巣に連れ帰った。
こうして彼等は無残な姿でコブリンの巣に連れて行かれることになるのだった。
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