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第五章.栄光と堕落は紙一重

17.予兆

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早朝の会議を終えた後から、何かの報せだろうか。


朝一番にモーニングコーヒーを用意したが、カップが真っ二つに割れてしまった。

それだけでなく、レイラの為に用意した刺しゅう入りのハンカチに染みがついたりと、悪いこと続きだった。


「今日の星占いが悪い」

教室で何時もの様に本を読んでいるかと思えばレントン様は星占いを読み顔を顰める。

「今日のおとめ座は10位だと…なんということだ」

「いや、星占い如きで、何嘆いてるんですか」

「まったくなんという軟弱、占いは所詮占いにすぎませんわ」


現実主義リアリストであるハルとレイラは、ある程度の迷信や言い伝えを信じても最終的に自分でどうにかするタイプだった。

だから、占いに左右されることはない。

「何だと!俺は幼少期から星占いの通りにして来た。ちなみに今日のラッキーアイテムはクッションだ!」

「それで今日は、クッションを」

「ちなみに、ベルンハルトのラッキーアイテムだ」

親切だな。
態々ラッキーアイテムを用意してくれたのか。

「何ですか、これは」

レントン様が差し出したのは塩だった。

「今日の獅子座は厄災が現れるらしい…塩で厄災を払うと良いそうだぞ?東帝国では悪鬼に豆を撒く習慣がるからな」

「それって節分じゃ…」

「流石だな、エリオル!東帝国の由緒正しき伝統行事を知っていたか。そうだぞ、節分と言って、悪鬼から身を守るべく、行われ…その日は国民も皇族もその行事に勤しまなくてはならない」

「レントン様はうんちくだけは立派ですね。それだけ向学心王政ならば、もっと有効活用すれば良いものを」

「ラナリア!貴様は俺を馬鹿にしているのか!」

さらりと嫌味を言うラナは最近、どんどん毒舌になって来たな。
まぁ、学園内だからある程度許されるのともあるが、レントン様も友人として心を許しているから、無礼講だった。


「さぁ、ありがたく受け取るがいい!遠慮はいらんぞ!」

「なんてありがた迷惑な…」

大量の塩を渡されうんざりするも、捨てるなんて真似をしないハルはやっぱり優しいな。


「次は選択授業だったな」

時計を確認すると始業のチャイムが鳴る五分前だった。

「行きますわよベルン、遅れては示しがつきません。次の授業は乗馬です」

「解っている。一年背の指導をしなくてはならないからな」


騎士科を専攻している二人は乗馬必須だった。
乗馬をしながら戦闘できるように訓練をするのだが、新入生の指導も行っていた。


「新入生の前で無様な姿を見せるなよ」

「誰に言ってますの?」

「抜かりはありませんよ」


二人の事だから新入生をあっという間に虜に慕うんだろうな。


そんな風な事を思っていたが―――。






「「今年は厄日だ!!」」


授業が終わり、生徒会室に駆け込んできた。


「二人共、どうしたんだ?」

「随分とボロボロだな」


一時間前まではとは随分と変わり果てていた。


「申し訳ありません…ポーションを…どうか」

「ミツバぁぁぁあ!」

もっと酷いのは、ミツバだった。

屍状態になって倒れこむ。


一体何があったんだ!


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