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第五章.栄光と堕落は紙一重

22.馬鹿集団二号

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対策を考えると言ったが、確実な方法は無かった。
今は大きな問題ができているわけではないから、注意をする程度だろう。


「なんとかしてやりたいけど、下手に手を出すのものな」

俺から注意しても、ミツバの立場が悪くなる一方だった。



生徒会の仕事をしながら、廊下を見ると。


一人の女子生徒が走っているのを見かけた。

「何をそんなに急いでいるんだ?」

人通りのある場所で、前を見ないで走ってぶつかったらどうするんだろうか?

そんなことを考えていると。


「きゃああ!」

走っていた女子生徒は何もない所で転んだ。

「申し訳ありません」

「いいえ、大丈夫ですか?」

ワザとらしいな。
転ぶ前にミツバにぶつかりそうになっていたのを見た。


「ええ、大丈夫です…きゃあ!」

立ち上がろうとしたら再び転ぶ。

「えっ…あの」

「ごめんなさぁい…」

涙目で訴えながらびくびくする。

ミツバは首をかしげている。

何なんだ?


ギャグか?

コントの練習でもしているのか?


「カルメン嬢!!」

「大丈夫か!」

そこに、同級生と思われる男子生徒が現れる。

‥っていうかカルメンだったのか?
随分とけばけばしくなったな。




「大丈夫か?」

「ええ…大丈夫です」

声をかける男子生徒はミツバを睨む。

何も言わないが疑いの目を向けようとするが、ミツバは言いにくそうに告げる。


「あの、危ないから早く立った方がいいですよ」

「「「は?」」」

ミツバは睨まれている事にも気づかずに三人に忠告をした。

何故ならその床は…


「そこ、鳥の巣の真下なので」

「え?」


ミツバが忠告すると同時に落ちて来たのは鳥の糞だった。

「きゃあああ!」

「「わぁぁぁ!」」


頭に落ちて来た糞に三人は悲鳴を上げる。


「この時間は、窓際を避けて通るようにと注意したのですが…」

「そんなの聞いていないわよ!」

「うわぁ!臭い…」

「何だ!」

異臭を放ち続ける匂いにしかめっ面になる彼等だったが、ちゃんと聞いていないのが悪い。


「何?臭い…」

「やだ、頭に鳥の糞をつけて…」

「信じられない」

通りかかった生徒は、カサランドラが声を張り上げるのを見て冷たい視線を向けた。

この学園は貴族がほとんどだった。
王家お膝元の名門校の生徒として恥じない行動をするようにと教師から指導を受けているのだから、廊下で大きな声を上げる等論外だった。


「廊下で声を張り上げるなんて、はしたないですわ」

「お育ちを疑いますわ。一般科の平民の方の方がまだ、礼儀作法がきっちりしていますわね」

「ええ、貴族の恥ですわ。関わらない方がいいかも知れませんわ」

ヒソヒソと話しながら生徒達は距離を保ち、視線をそらしている。


自分で自分の首を絞めるとか馬鹿だろ?

馬鹿すぎるだろ?

これは…あれだな?

馬鹿集団マリエ達二号じゃないか?



ただでさえ、あの女だけでも迷惑なのに、また面倒な連中が増えたな。


この先が思いやられると思いながらも、今は自滅してくれたので良しとしよう。



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