93 / 101
90.本当の敵は身内~エラノーラside
しおりを挟む当初から、この男とは相容れない気がしていましたわ。
ええ、本能的に相容れない何かを感じてましたけど。
「まさか、貴方が異常なほどの兄を愛している変態だっとは」
「兄を好きで何が悪い!俺は幼い頃から兄上を一途に慕っていたんだ…なのに妃がこんな猪女だなんて!」
「王太子妃に向かって無礼ですわね」
「俺は第二王子だ」
この男、開き直りましたわ。
さっきまでの態度は何処に行ったのか。
「ルゴニス様、落ち着いてください」
「ローゼ、君だって思わないか?アイリス妃のような方が姉君だったら」
「何を言ってますの」
「素晴らしい響きですわ」
こっちも同じですの?
私の第一印象を壊しましたわ。
「いや…まぁ、解ってはいたが」
「兄君の為に泥を被るようあ真似をされる時点で、かなりのお兄様大好きなのは解ってましたが」
呑気ですわね!
特にアイリスは解っていたような口ぶりだわ。
「気性が激し過ぎる。自己主張も強いし」
「王太子妃たるもの、他者に負けてはなりませんわ。舐められます」
「そういうのは心の底に秘めてこそだろう。女性はひっそりと戦う者だ。彼女のように」
ここでアイリスを引き合いに出すとは何事ですの。
「前言撤回ですわ!やっぱり貴方とは分かり合えません」
「同感だ。俺もだ」
やはり国外に追放した方が良いのではないかしら?
王子に戻してもトラブルの元のような気がしますけど。
「二人共その辺にしてくれ」
「殿下…」
「ルゴニス、私の妻をあまり苛めないでくれ」
「はい、申し訳ありません」
この男!
なんて切り替えの早い男なんですの!
「とにかく、害虫は駆除した。宴を始めようではないか」
「ええ、仕切り直しよ」
両陛下の支持により、中断された宴は再開され事になりました。
「踊ろうか」
「はい」
色々騒動はありましたが、これはシメリス帝国と同盟を結べました。
私達を敵視していた貴族派のほとんども罪に問う事ができましたし、私に服薬していた不妊の毒もローゼさんのおかげで解毒する事もできました。
クレイル殿下の病気も、遠くない内にシメリス帝国で開発している薬が完成すれば、治す事も出来ると知らされ安堵しました。
「こうしてみると、イライザは悪魔ではなく天使にも見えるな」
「いいえ、悪魔ですわ」
アイリスが国外追放の身にななたなければ、このような結末にならなかったかもしれませんが。
「私は多かれ早かれあの二人は一介の騎士と妻で終わるとは思っていませんでした。何らかの形で帝国とのパイプ役を担ったかもしれません」
もしなんて考えたとしても意味がないけれど。
アイリスは辛い状況でも生きる道を探すでしょうし、転んでもただでは起きないわ。
「すべては人の為に行動した故です。天は見ていてくださったのですわ」
「そうだな」
この先待っているのは平坦な道ではありません。
私もそうですが、大国の皇太子妃となりアイリスは困難な道が待っているでしょう。
それでも、アイリスならば生き抜ける気がするのです。
「アイリスは私にとって天使でしたが、ただの天使ではありませんでしたね」
「ああ、そうだな」
天使は種を蒔き花を咲かせますが、アイリスは種を蒔くだけはなく花を育てるべく奔走しました。
その花がやがて美しく咲きほこり、次代に伝わる事でしょう。
70
あなたにおすすめの小説
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます
との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。
(さて、さっさと逃げ出すわよ)
公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。
リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。
どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。
結婚を申し込まれても・・
「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」
「「はあ? そこ?」」
ーーーーーー
設定かなりゆるゆる?
第一章完結
〈完結〉ここは私のお家です。出て行くのはそちらでしょう。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」マニュレット・マゴベイド男爵令嬢は、男爵家の婿である父から追い出される。
そもそも男爵の娘であった母の婿であった父は結婚後ほとんど寄りつかず、愛人のもとに行っており、マニュレットと同じ歳のアリシアという娘を儲けていた。
母の死後、屋根裏部屋に住まわされ、使用人の暮らしを余儀なくされていたマニュレット。
アリシアの社交界デビューのためのドレスの仕上げで起こった事故をきっかけに、責任を押しつけられ、ついに父親から家を追い出される。
だがそれが、この「館」を母親から受け継いだマニュレットの反逆のはじまりだった。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
(完結)妹の為に薬草を採りに行ったら、婚約者を奪われていましたーーでも、そんな男で本当にいいの?
青空一夏
恋愛
妹を溺愛する薬師である姉は、病弱な妹の為によく効くという薬草を遠方まで探す旅に出た。だが半年後に戻ってくると、自分の婚約者が妹と・・・・・・
心優しい姉と、心が醜い妹のお話し。妹が大好きな天然系ポジティブ姉。コメディ。もう一回言います。コメディです。
※ご注意
これは一切史実に基づいていない異世界のお話しです。現代的言葉遣いや、食べ物や商品、機器など、唐突に現れる可能性もありますのでご了承くださいませ。ファンタジー要素多め。コメディ。
この異世界では薬師は貴族令嬢がなるものではない、という設定です。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる