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91.借金イライザside
しおりを挟む騎士団に拘束された後に私達が連れてこられたのは我が家だったが中には調度品は一切なかった。
「ここは…」
「どうなっているの!」
「何もないぞ!」
玄関に入ってからに至るまで家具は勿論、美術品にも何もない。
「すべて差し押さえさせていただきました。この邸も売却になりますので」
「は?」
一緒に同行した文官秘書が見せたのは借用書だった。
「以前から借金の返金を延長しているようですね」
「これは…」
「ああ、誤解がないように申し上げますが。こちらの借金は利息も法律範囲内です。そして一番最近の借金がこちらです。貸し付けでお買い求めになったそうですが、既に決算不可でしたので」
「なっ…何だ!この金額は!」
「ちなみに、見積書をお出しして確認の上にサインもいただいております」
真っ青な表情をするお父様。
何をそんなに驚いているか解らなかった。
「お父さ…」
「サビィーネ!お前はこれまでこんなに使い込んでいたのか!」
「え?」
お父様がいきなりお母様を怒鳴りつけ借用書を投げた。
「きゃあ!」
「私に内緒で借金を重ねてはこんなに使い込んでいたのか…ローズマリーを早く嫁がせたかったのは、謝金の返済か?どうしたらここまで金を使える。赤字女が!」
「止めてください」
「しかも、この金額は何だ!ドレスと宝石だけでこんな金額に!」
見積書に書かれていた金額は確かに安くないかもしれないが、我がステンシル侯爵家は潤っているから支払えるはずだわ。
「大げさだわお父様、これぐらい支払え…」
「払えるわけないだろ!あんな騒動を起こして犯罪者となった私達は無一文だ!あげくにこんな借金地獄を背負うとは生き地獄だぞ!貴様等を娼館に入れても一生返済できないだろう!」
「娼館って…何を」
「当然だろう。私達は両国の王族を暗殺未遂した罪になる。サビィーネに至っては実行犯だ。しかも実の姉を殺し、姪を長年に渡り虐げたんだ。すべて貴様の…いや貴様達の所為だ。知らんぞ…私は知らん」
「だって、侯爵家の財産は…」
「イライザが皇太子妃になれば金を工面して貰えると思った。後はアイリスを金持ちの家に嫁がせ、足らずはローズマリーの嫁ぎ先に工面してもらう予定だった。それを」
「そんな酷い!お父様は私を何だと思っているのよ」
「黙れ、そもそも三女などいてもないなくても構わんのだ!贅沢ばかりしてなんの役にも立たずにいるんだ。これでは金を作るアイリスの方がずっと役に立つ…所詮はお前の娘だからな」
なんて最低な男なの。
娘を売ろうと考えるなんて人間じゃないわ。
「最低な男!」
「妹の婚約者を寝取ろうとした時点で最低だろうが」
自分の事を棚に上げて、私達を責め続けるこの男に怒りを覚えた。
だけど…
「お姉様の所為だわ」
背後でぽつりとつぶやくローズマリーの声が聞こえた。
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